グローバル・マクロ・ウォッチ:新興国2つの危機〜アルゼンチン・トルコ〜 | ピクテ投信投資顧問株式会社

グローバル・マクロ・ウォッチ:新興国2つの危機〜アルゼンチン・トルコ〜 欧州/ユーロ圏 中南米 新興国

2018/08/15新興国

ポイント

最近の新興国市場の下落の中心はアルゼンチンとトルコです。投資家は、両国の経済情勢の見通しについて、金融政策と政府の方針に注目する必要があると考えます。

債務問題は大したことはない

アルゼンチンとトルコは、巨額の財政および経常赤字をかかえています。ただし、以下のGDPに対するセクター毎の債務比率(先進国および新興国)のグラフが示すように、アルゼンチンとトルコのGDPに対する債務は相対的に低水準です。問題の本質は、アルゼンチンとトルコ各政府のインフレ抑制策が、投資家の信頼感を失っていることです。

GDPに対するセクター毎の債務比率(先進国および新興国)

 

アルゼンチン:まだ解決策が残っている

アルゼンチンのマクリ政権は、インフレ率を抑えることができて、2019年半ばの大統領選挙での勝利を見据えて、2017年後半に政策金利を引き下げました。しかし、この利下げは次期尚早であり、アルゼンチン・ペソの下落を抑えるために政策金利を13パーセンテージ・ポイント引き上げたことから、投資家の中央銀行に対する信頼感を失う結果となりました。

アルゼンチンの消費者物価上昇率、インフレ目標、政策金利

 

このような金融政策をはじめとする政策上の混乱によって、中央銀行総裁が辞任に追い込まれ、外貨準備が大幅に減少しました。経済成長率の予想は当初の半分程度となり、アルゼンチンは国際通貨基金(IMF)の財政援助を要請するまで追い込まれました。

しかしながら、もしアルゼンチン政府が中期的にインフレ抑制に取り組むならば、最悪期は脱したと見ています。ピクテの見方では、必要な財政改革が実施されているものの、実現に向けて相当政治的な持久力が必要であり、特にアルゼンチン経済がインフレに陥りやすいことに注意が必要と考えます。

アルゼンチンのインフレ目標は、より信頼できる水準である現行の15%以上に設定すべきと見ています。

トルコ:解決策がなくなるおそれ

トルコは、再選されたエルドアン大統領の政策では悲観的な見方をせざるを得ないと見ています。

第一に、トルコの経常収支の内訳(各部門ごとのGDP比)のグラフが示すように、巨額で慢性的な経常収支の赤字です。トルコの民間部門(家計および企業)は、国内における高い消費性向と低い貯蓄率によって、債務比率が相当高くなっています。トルコは、経常収支の赤字を主として海外からの投資で補わざるを得ませんが、トルコリラに対する米ドル、ユーロ、日本円の投資家の信頼感は大きく落ち込んでいます。

トルコの経常収支の内訳(各部門ごとのGDP比)

 

対外収支の不均衡に加えて、トルコ経済の主な問題点は年率15%を超え、急上昇しているインフレ率です。高いインフレ率の原因は、米ドルに対して2018年年初来56%も継続して下落しているトルコリラとエネルギー価格の上昇です。インフレ率が今後とも上昇し、トルコリラが継続して下落するならば、金融引締めは喫緊の課題となります。しかしながら、トルコ中央銀行は市場の予想に反して、2018年7月の政策金利の引き上げを見送りました。

トルコの消費者物価指数、食料品および食料品以外のインフレ率

  

アルゼンチンとは異なり、ピクテはトルコの経済政策がうまく機能するとは、あまり期待していません。現政権は、インフレ抑制策よりも景気刺激策を優先していることから、金融政策がうまく機能しないと考えます。さらに、エルドアン大統領が娘婿であるアルバイラク氏を新財務省に任命したことは、中央銀行の政権からの独立性に疑問を呈することとなりました。

結論として、トルコ経済のぜい弱性や政治的な問題は、経済を危機的状況に追い込むかもしれません。ピクテの見方として、トルコ経済の現状は経常収支危機をもたらす可能性があると見ています。

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