インド:2018年4-6月期GDPは市場予想を上回るも、逆風が継続 | ピクテ投信投資顧問株式会社

インド:2018年4-6月期GDPは市場予想を上回るも、逆風が継続 アジア インド 新興国

2018/09/18新興国

ポイント

インドの2018年4-6月期実質GDP(国内総生産)成長率は、前期比+1.9%(前期比年率8.0%)、前年同期比+8.2%と、市場のコンセンサス予想を上回り、G20(20ヵ国地域首脳会議)のメンバー国中、最も高い伸びを記録しました。ただし、外部環境による逆風が続くことから、年末までの経済成長は伸びの鈍化が予想されます。

インドの実質GDP成長率(前年比と前期比)

2011年1-3月期~2018年4-6月期

出所:ピクテ・グループ

政策面の逆風和らぐ

インドの2018年度(2017年4月~2018年3月)GDP成長率は前年比+6.7%と、10年前のグローバル金融危機以降の平均(同+7.5%)を下回りました。低成長の主な要因となったのは、インド政府が発動した二つの施策です。

一つは、政府が、2016年11月、「不正資金(ブラック・マネー)」を使った不法行為の根絶を目的として、高額紙幣(500ルピーおよび1,000ルピー紙幣)を一夜のうちに無効とする「現金使用制限キャンペーン(キャッシュレス・キャンペーン)」を発動したことです。13億人強の人口を擁するインド全国で、2ヵ月をかけ、旧紙幣から新紙幣への交換が行われました。インド経済は、予想通り、(高額紙幣廃止発表後の)数週間にわたって大量の現金不足に見舞われ、また、現金決済に依存する地下経済の規模が極めて大きいことから、実体経済は極度の混乱に陥りました。

もう一つは、全国一律の物品サービス税(付加価値税、GST)が導入されたことです。(誤解のないよう)明確にしておきたいのは、GSTが、長期的には、インド経済に大きな恩恵をもたらす公算が高いということです。GSTは、全国共通市場を構築し、簡素化された全国一律の税法下での事業活動を容易にすると考えられるからです。これまでは、州ごとにGSTが異なり、必ずしもGST間の互換性があったわけではありません。一方、(2017年7月1日施行の)新しいGSTの導入は(主に技術的な要因が理由だったとしても)スムーズに行われたとはいえず、短期的には、事業活動に大規模な混乱をもたらしました。

もっとも、現金使用の制限とGSTの導入という二つの施策の影響(「逆風」)は2017年末に向けて徐々に薄れ始め、インド経済は回復に転じています。2018年4-6月期の高成長は、インド経済の回復基調が続く状況を示唆していると考えられます。

2018年4-6月期GDPの内訳

2018年4-6月期実質GDPの業種セクター別内訳では、製造業セクターの成長率が前年同期比+13.5%となり、2017年4-6月期の同-1.8%、2018年1-3月期の同+9.1%を大きく上回りました。サービス・セクターは、概ね、安定成長でした。金融・保険・不動産・事業サービス・セクターも前年同期比+6.5%と1-3月期の同+5%を上回りました。一方、商業・ホテル・運輸・通信セクターは同+6.7%と、1-3月期の同+6.8%を僅かに下回りました。GDPの14%を占める農業セクターは同+5.3%と堅調で、2017年7-9月期以降の改善基調を維持しました。

インドのGDPセクター別内訳(前年比)

2012年1-3月期~2018年4-6月期

出所:ピクテ・グループ

支出面の内訳では家計消費がけん引役となり、GDP寄与度が(GDP成長率8.2%のうち4.7%と)50%を上回りました。総固定資本形成も前年同期比+10%と、1-3月期の同+14.4%には及ばなかったものの好調さを維持しました。一方、輸出から輸入を引いた純輸出(外需)は、ここ数四半期の基調からは改善したとはいえ、引き続き、マイナス寄与となりました。

インドのGDP需要項目別要因(前年比)

2013年1-3月期~2018年4-6月期

出所:ピクテ・グループ

外部環境による下押し圧力(逆風)

政策の影響による景気下振れ(政策面の逆風)の反動の剥落や、外部環境による逆風がインド経済を下押す状況の継続が見込まれるため、年末までは、緩やかな経済成長が予想されます。

逆風の一つは、原油価格の高止まりがインド経済の重石となる状況が続いていることです。ここ数四半期間、インドの輸入全体の20%以上を原油が占めていることに加え、原油価格とインドの貿易収支は高い相関を示す傾向が見られます。原油価格が2016年年初に付けた底値から上昇に転じて以降、インドの貿易赤字は(2016年半ばの50億ドルから2018年7月の160億ドルと)拡大基調を辿っており、過去数四半期の経常赤字拡大の最大の要因となっています。

原油価格(左軸)とインドの貿易収支(右軸、逆目盛り)

2001年~2018年

出所:ピクテ・グループ

また、原油価格の上昇は、物価の上昇をもたらしており、インドの2019年度のインフレ率は前年度を上回ると見られます。

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げもインド経済に吹き付ける逆風です。GDP比の経常赤字の拡大(2017年1-3月期の0.6%に対し、2018年1-3月期は1.9%)が嫌気され、インドは海外資本の流出と通貨安に見舞われています。また、海外直接投資(FDI)の大幅な縮小と有価証券投資流出の加速により、海外純投資は、5月以降、マイナスとなっています。

海外からインドへの投資額

2015年1月~2018年6月

出所:ピクテ・グループ

経常赤字の拡大、インフレの上昇、通貨の下落、資本の流出の同時生起に対処するため、インド準備銀行(インドの中央銀行、RBI)は金融引き締め策への転換を余儀なくされ、6月初め以降の2度の利上げで政策金利を計50ベーシス・ポイント(0.5%)引き上げていますが、今年度末までに、さらなる利上げが見込まれます。金融引き締めの継続は、今後数四半期にわたってインド経済を下押す可能性があります。

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