グローバル・マーケット・ウォッチ:アルゼンチンとトルコの後に続く国は | ピクテ投信投資顧問株式会社

グローバル・マーケット・ウォッチ:アルゼンチンとトルコの後に続く国は 新興国 アフリカ 中南米 ブラジル 新興国株式 新興国債券

2018/09/20新興国

ポイント

これまで新興国の悪い話というと、トルコとアルゼンチンが主役でした。しかし、新興国の経済危機が問題になってから、南アフリカランドとブラジルレアルが、次に下落した新興国の通貨となっています。この状況を詳しく見ていきましょう。

次に経済危機に陥る新興国は

ピクテが独自に開発した新興国の経済的なぜい弱度を測るデータによると、南アフリカについては今後の見通しを見直す必要があり、ブラジルについてはそうでもなさそうです。これら2カ国の現状はどうなっているのか、そして南アフリカランドとブラジルレアルは下落するのか、検証していきましょう。

米ドルに対する新興国通貨のぜい弱度スコア (縦軸:%、2018年4月中旬以降の対米ドルの下落率、横軸:10のリスク要因に対する四分位ランク)

出所:ピクテ・グループ

なんとか健全性を保つ

トルコ、アルゼンチン、南アフリカ、ブラジルの4カ国の中で、ブラジルの経済情勢が一番健全と見られます。一方で、アルゼンチン、トルコおよび南アフリカは、深刻な経常収支の赤字を抱えていますが、ブラジルの収支は相対的に安定しています。またブラジルは、3,700億米ドルに及ぶ外貨準備を保有していて、これは27ヵ月分の輸入金額と同水準で、ブラジルレアルの通貨防衛に役立っています。

問題点としては、GDPの76%に達する公的債務があり、これは新興国の中ではエジプトに次ぐ高い水準であり、最も楽観的な見通しでも、今後数年間はこの水準が上昇する見通しです。

ただし、この公的債務の概ね95%は国内居住者が保有しています。様々な要因から、非居住者が保有するケースと比較すると、ブラジルの債務状況はより安定的に推移する見通しです。

ブラジルの公的債務の保有状況(%、GDP比、灰色:非居住者保有比率、緑:居住者保有比率、折れ線:公的債務の対GDP比率推移)

出所:ピクテ・グループ

ブラジルの財政収支 (%、GDP比、12ヵ月移動平均、灰色の棒グラフ:プライマリーバランス、緑の棒グラフ:利息支払い、折れ線グラフ:財政収支、数字は2018年6月現在)

出所:ピクテ・グループ

大統領選挙が焦点に

ブラジルの経済情勢に大きな影響を与えているのが、2018年10月に予定されている大統領選挙です。10月7日に投票が行われ、10月28日に決選投票となります。

大統領候補者は、独自の政策を打ち出しています。現段階では、労働党公認でルラ元大統領の後継となるフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長と、最近選挙運動中に襲撃された極右のジャイル・ボルソナロ下院議員の二人の候補者の支持率が拮抗しています。

“ブラジルの経済的なぜい弱性は、来月の大統領選挙の行方が不透明なため”

ピクテの見方として、どちらの候補が勝利しても、公的債務が問題視されると見ています。しかしながら、財政改革の規模と範囲は、大統領に当選した人物の政治的および個人的な思想にかかっています。

南アフリカの活力が失われつつある

大西洋の反対側の南アフリカは、グローバルな経済成長といった観点からすると、ブラジルよりもぜい弱と考えられます。理由としては、マクロ経済のファンダメンタルズの弱さと政治的混乱によるものです。

2018年2月に大統領に選出されたラマポーザ大統領の、いわゆる「ハネムーン」期間は終了し、南アフリカランドは再び下落しています。経済指標からすると、南アフリカは2018年第2四半期において、2009年以来の景気後退局面に入りました。また、今月後半に予定されている、ジンバブエのような土地収用政策を可能とする憲法改正についても、南アフリカランドの下落要因となっています。

国内問題として、財政収支の赤字が深刻となっています。また発表された増税策は、国有企業の財務状況の悪化に伴い、急増してきた公的支出の縮小にはつながらないと見ています。

南アフリカの財政収支 (%、GDP比、棒グラフ:財政収支、折れ線グラフ:4四半期移動平均)

出所:ピクテ・グループ

南アフリカの公的債務 (%、GDP比、棒グラフ:公的債務、折れ線グラフ:4四半期移動平均)

 

出所:ピクテ・グループ

対外的には、経常収支の赤字は高水準にとどまっています。この状況は、国内需要が伸び悩み、株式や債券から構成されるポートフォリオでファイナンスされていることから、グローバルな貸借市場の状況やソブリン格付によって不安定な状況となっています。南アフリカランドの下落は、既に目標の上限に接近しているインフレ率の上昇につながります。このような現状は、中央銀行の財政政策の調整力を弱めることとなります。

最後に

ブラジルも南アフリカも、今後の情勢を注意深く見守る必要があります。来月あたり、南アフリカの経済危機のきざしに注意が必要です。ブラジルと比較して、南アフリカの方が、よりグローバルな要因から影響を受けると見ています。例えば、中国と米国は南アフリカの二番目、三番目の貿易相手国であることから、米中の貿易摩擦や政治的緊張感の高まりによって、より経済的に打撃を受けると見ています。また、既に悪化している財政状況の改善に向けて、現政権がどれだけ取り組むことができるかについても不透明です。

ご参考:現地通貨建て新興国債券インデックス構成国騰落率 (円ベース、2018年8月末現在)

現地通貨建て新興国債券インデックス:JPモルガンGBI-EMグローバル・ディバーシファイド指数

※円換算為替レートはWMロイターを使用

出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

ご参考:新興国株式インデックス構成国騰落率 (円ベース、2018年8月末現在)

 

新興国株式インデックス:MSCIエマージング・マーケット指数(Net)

※円換算為替レートはWMロイターを使用

出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

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