グローバル・マーケット・ウォッチ:中国の株式投資にはロングショート戦略が有効 | ピクテ投信投資顧問株式会社

グローバル・マーケット・ウォッチ:中国の株式投資にはロングショート戦略が有効 新興国 新興国株式 新興国債券 アジア

2019/02/25新興国

ポイント

株式投資には、買い(ロング)や売り(ショート)といった手法があります。中国株式に対しては、ロングとショートを同時に持つ、ロングショート戦略が効果的と考えます。

昨年2018年は、中国株式に資金を投じた投資家にとって不満の残る年となりました。経済の減速と、米中の緊張の激化を背景に、市場が相次ぐ下落に見舞われたからです。構造改革を通じた経済の成長という従来からの確信に自信が持てなくなり、冷え込んだ投資家心理が市場を下押しました。その結果、国内上場銘柄で構成されるA株指数の年間騰落率は前年比-24.6%、香港上場銘柄で構成されるH株指数は同-14.7%と、いずれも二桁のマイナスに終わりました。

投資家が地政学リスクと国内問題を同時に懸念する状況を勘案すると、今年2019年も昨年と同様の状況が展開される可能性があるかもしれません。ピクテは、グレイター・チャイナ(中国本土、香港、台湾)圏を投資対象とし、ロングショート戦略を採用していますが、今年一年を通じてボラティリティの高い状況が続くと見ています。

中国株式のロングショートの運用担当者は、慎重な見方を崩していません。中国、香港、台湾ひいてはアジア全域が、トレンドを見て方向性に賭けるロングオンリーの投資家にとって難しい市場になると考えています。米中の貿易戦争や国内経済の減速を別にすると、企業の経営状況やバリュエーションを測るものさしとなる3月の決算期を特に注視しています。

当面のところは、株価変動の高止まりが予想されることから、市場の細かい変動にはこだわらず、ボトムアップ分析による割安銘柄と割高銘柄の相対価値ポジションを構築することで、ロングショート戦略への確信度をポートフォリオに反映させたいと考えます。

グレイターチャイナ圏の市場には、先行きが期待される優良銘柄が多数存在することを重視すべきだと考えます。正常な市場環境では、株価が上昇し、ロングオンリーの投資家に高いリターンをもたらすことのできる銘柄です。プラスのリターンが実現できるとの十分な確信があるならば、ボトムアップ分析による銘柄選択を行ってポートフォリオを構築することは難しくないはずです。ただし、銘柄の厳選が鍵です。例えば、ポートフォリオに組み入れた医薬品銘柄のロング・ポジションは、特定の医薬品の価格決定力が低いという理由で投資家に見放されていたのですが、新薬候補(パイプライン)の将来性が過小評価されていると判断して組み入れたものです。このような逆張り投資が、これまでのところ、順調に利益をあげています。

成長株については、中国および国内経済の変革が続いていることから、ヘルスケア銘柄や高付加価値品メーカーが、将来、構造改革の勝者になると見ています(図表をご参照下さい)。ただし、消費セクター全般に特に強気の見方をしているわけではありません。テクノロジー・セクターは、次世代通信5Gへの移行期にあることから、材料に乏しく、精彩を欠く状況が続くと考えます。

中国の一人当たり医療費の推移と国内総生産(GDP)比(棒グラフ:一人当たり医療費(左軸、人民元)、折れ線グラフ:GDP比(右軸、%))、2008年~2020年(2018年以降は予測)

 

出所:ピクテ・グループ

市場心理は引き続きぜい弱で、多くの銘柄の目先の方向性は、総じて不透明だと見ています。また、長期的には勝者となることが期待される銘柄も、冷え込んだ市場心理と市場全体を下押すマクロ要因の影響から逃れられそうにありません。

ボトムアップ運用の観点では、全ての投資家と同様、利益の可視性に注目します。市場に逆風が吹きつける状況では、消費セクターのバランスシートと政府債務の圧縮に慎重な姿勢を崩していません。大型の高額製品は、売上が伸び悩む可能性があるとみています。

どんな投資家でも、とりわけ市場環境が厳しい局面では、すべての卵を一つのかごには入れたくないと考えるはずです。このような環境で採用される典型的な戦略は、株式の成長期待と、債券のディフェンシブな特性を組み合わせることで資産の分散を図る戦略です。市場の動揺時には株式の組入れを減らし、可能な限り債券に資産の保全を求めることができると考えるからです。

ところが、2008年のリーマンショック以降、株式と債券の逆相関は薄れています。複数の資産を組み合わせたロングオンリー戦略の多くは、株式と債券が同時に上昇あるいは下落するため、分散効果を殆ど発揮していません。二つの資産クラスがいずれも下落するため、資産を保全する能力が大幅に損なわれているのです。

株式と債券を組み合わせても、ポートフォリオの分散効果が得られないのは、両者の逆相関が働いていないからです。金利の上昇が米国から欧州、更には中国ひいてはアジア全域に広がる環境では、量的引締めも状況の改善に資するとは思われません。

ピクテの中国株式ロングショートは、構造改革がもたらす長期的な恩恵と、市場の下落局面におけるポートフォリオの保全の両方を提供できると考えます。つまり、中国A株およびH株のロング・ポジションに加えて、中国の影響によって好業績となった世界株式を一部組入れています。また、ショートポジションを構築して、市場あるいは個別銘柄の下落に備えたり、絶対ベースまたは相対ベースの資産の下落局面で、リターンが向上するデリバティブを用いた運用を行うことも可能です。

長期的な観点からすると、中国の成長の恩恵を享受するため、中国市場への投資を続けたいと考えますが、投資家を相場の下落から守ることも重要です。市場がリスクオンの環境である時には、ネットのロング・ポジションを増やしますが、市場の下落に備えて、下げの影響も加えてリターンを改善することも可能です。

グレイターチャイナ圏の株価の上昇と下落の幅が、S&P500株価指数等の先進国市場よりも広いという傾向が見られるため、ロングショート戦略によって追加的な恩恵を享受することが可能です。上昇が期待される銘柄と、下落に転じる銘柄(「落ちた天使」)の両方が、超過リターンをもたらす可能性があるからです。貿易摩擦が投資家の頭を離れず、金融引き締めが支配的な環境では、株価の変動幅が大きい状況は変わらないと考えます。

中国A株およびH株で構成される投資候補銘柄群(ユニバース)は、広範な業種セクターおよび企業を含み、時価総額の規模も様々です。ピクテでは、ボトムアップ手法によるセクター別分析を行い、経済成長と構造改革の恩恵が期待される企業を認識すると同時に、このような流れから取り残される可能性の高い企業を見極めます。次に、方向性(トレンド)を確認し、勝者のロングポジションと敗者のショートポジションを組み合わせたペアトレードを通じて相対価値取引を実行します。

銘柄のポジションには、現物株で構築する場合の他、特にショートポジションの場合、株式に類似したリターンを提供するデリバティブで構築する場合があります。ポートフォリオの市場に対する感応度は、指数の先物またはオプションを用いて管理することが可能です。

ロングショート戦略の成功の鍵はリスク管理です。ピクテは、新興国市場に投資を行い、しかも日次ベースで流動性の高い運用を投資家に提供しているため、リスク管理が特に重要です。

ロングポジションにしてもショートポジションにしても、流動性の高い大型銘柄を投資対象としているため、必要に迫られれば、迅速にポジションを解消することが可能です。

“確信度の高いロングショート戦略を実行するため、市場の細かい変動は気にかけません。”

ピクテの運用において、個々の運用担当者が有する豊富な経験を、難しい市場を乗り切るための指針としています。当社の世界の各拠点で運用に携わる他の運用チームや、運用チーム以外の組織も活用しています。運用担当者が、時間の全てを戦略の執行と銘柄や市場の投資機会の発掘に費やすことが出来るのは、事務管理業務やトレーディング業務を担当部門に任せられるからです。

中国が海外の投資家に市場を開放したいと望んでいることは、ピクテにも好都合です。かつての中国は、どの銘柄をいつショートできるかについて制限を設けていたからです。中国本土(上海・深セン)と香港間の株式相互取引(ストック・コネクト)プログラムが創設されたことで、自由に使える投資手法も増えています。また、MSCIが中国を株価指数の構成国に採用したことは、新しい市場と指数を用いたショートポジションの構築が、従来以上に活用されることを意味します。

年内は、運用担当者の豊富なスキルや能力に、これまで以上に頼る必要に迫られるかもしれませんが、市場、個別銘柄ともに大幅な調整を強いられたことから、過小評価された有望銘柄を発掘する機会が多数存在します。同時に、正当な理由があって株価が下落した銘柄も散見されます。難しいのは、注目する銘柄が、前者と後者のどちらなのか、株価の上昇あるいは下落の理由は何なのかを見抜き、適切なポジションを構築することです。

投資の好機が多数あるとしても、どれが本物の好機なのか、あるいは株価の下落は正当なのかどうかを見極めることが重要です。建設的な見方をポートフォリオに反映させたいと考える一方で、最悪の事態と株価の下落に備えることは必須だと考えます。

ピクテが注目するのは、地政学ではなく、常に、銘柄選択です。とはいえ、世界の市場では、どんな悪材料も、投資家心理や域内市場の流動性に影響を及ぼします。投資資金の流入は、市場の方向性を瞬時に変えることが出来るからです。

※当資料で使用したMSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。

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