新興国ソブリン債券市場(15年5月号) | ピクテ投信投資顧問株式会社

新興国ソブリン債券市場(15年5月号) グローバル 新興国債券

2015/05/14新興国債券

4月の市場概観

4月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで前月末比上昇しました。(PDF図1参照)

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、3月の米国雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回ったことやギリシャの債務返済に対する不安などから上昇(利回りは低下)基調で推移しました。しかし月後半は、米国のインフレ率が先行き上昇するとの期待が高まったことや、米連邦公開市場委員会(FOMC)で2015年1-3月期の景気減速は一時的な要因と示唆され利上げが意識される展開となったことから下落(利回りは上昇)し、月間でも下落(利回りは上昇)しました。

一方、米国国債と新興国債券のスプレッド(利回り格差)は、グローバルな景気回復期待の高まりなどを背景に大幅に縮小し、ドル建て新興国債券市場は上昇(利回りは低下)しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.17%低下し5.40%となりました。 JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.29%縮小し、3.40%となりました。(PDF図2、3参照)

地域・国別動向

地域別では、欧州、中南米、中近東が市場平均よりも高いパフォーマンスとなった一方、アジアとアフリカは市場平均を下回るパフォーマンスにとどまりました。(PDF図4参照)

国別では、49ヵ国が上昇し、14ヵ国が下落しました。(PDF図5参照)

ベネズエラは原油価格の上昇に加え、同国が債務不履行を回避できるとの見方が強まり上昇しました。ロシアは、通貨ルーブルが安定感を取り戻していることなどを背景に上昇しました。一方、トルコは経常赤字が市場予想を上回って拡大したことなどが嫌気され下落しました。

主な格付けの変更

主な格付けの変更については、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスがエジプトをCaa1からB3に格上げした一方、ベラルーシをB3からCaa1、トリニダードトバゴをBaa1からBaa2にそれぞれ格下げしました。またスタンダード&プアーズは、ウクライナをCCC-からCCに格下げしました。

為替

ドル・円為替市場は、前月末比1円17銭円高・ドル安の119円00銭となりました。月初、3月の米国雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回ったことなどを受け円高・ドル安が進行する局面も見られましたが、米国の年内利上げの可能性が意識され円安・ドル高に転じました。しかし月中頃、内閣官房参与の浜田氏がドル高に対し警戒的な発言をしたことや米小売売上げが予想を下回ったことを受け円高・ドル安となりました。その後もドル高が米国の企業業績に与える影響が意識されてドルの上値が重い展開となり、月を通しても円高・ドル安となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は先進国市場に比べて、借金残高が少ないこと、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性には注意が必要と考えています。また借入コストの増大や資源価格の下落についても一部の国にとっては懸念材料となる可能性があります。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

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