新興国ソブリン債券市場(15年6月号) | ピクテ投信投資顧問株式会社

新興国ソブリン債券市場(15年6月号) グローバル 新興国債券

2015/06/10新興国債券

5月の市場概観

5月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで前月末比下落しました。(PDF図1参照)

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、ワシントンの講演で米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長が債券利回りについて、利上げを始めれば、国債利回りが急激に上昇する可能性があると発言したことなどを受け大幅に下落(利回りは上昇)しました。月後半には、5月の米ミシガン大学消費者マインド指数が低下したことなどから上昇(利回りは低下)する局面もありましたが、月を通しては下落(利回りは上昇)しました。

一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、ギリシャ債務返済懸念などを受けたリスク回避姿勢の高まりを背景に拡大し、ドル建て新興国債券市場は下落(利回りは上昇)しました。 JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.11%上昇し5.51%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.04%拡大し、3.44%となりました。(PDF図2、3参照)

地域・国別動向

地域別では、欧州、中近東がプラスとなったほか、アフリカは下落したものの市場平均は上回りました。一方、アジア、中南米は市場平均よりも大きく下落しました。(PDF図4参照)

国別では、24ヵ国が上昇し、39ヵ国が下落しました。(PDF図5参照)

ロシアは、通貨ルーブルの安定化に加え、外貨準備を増やす動きなどが好感され上昇しました。一方、インドネシアは2015年1-3月期の経済成長率が減速したことなどを背景に軟調な動きとなりました。また、ベネズエラは原油価格が依然として低水準で推移する中、同国経済の低迷や債務返済に対する懸念などを背景に下落しました。

主な格付けの変更

主な格付けの変更については、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスがジャマイカをCaa3からCaa2に、リトアニアをBaa1からA3に格上げしました。またスタンダード&プアーズがドミニカ共和国をB+からBB-に格上げしました。一方、フィッチがガボンをBB-からB+に格下げしました。

為替

ドル・円為替市場は、前月末比4円73銭円安・ドル高の123円73銭となりました。月前半は狭い範囲での取引となりましたが、その後、日本の機関投資家や投信による外国証券購入が増加するとの観測が台頭したこと、米国の4月の住宅着工件数が市場予想を大幅に上回ったこと、米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長が年内の利上げ開始が適切との見解を示したことなどを受け円安・ドル高傾向が強まり、月を通しても円安・ドル高となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は先進国市場に比べて、借金残高が少ないこと、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性には注意が必要と考えています。また借入コストの増大や資源価格の動向についても一部の国にとっては懸念材料となる可能性があります。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

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