2015年6月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2015年6月の新興国ソブリン債券市場 グローバル 新興国債券

2015/07/13新興国債券

6月の市場概観

6月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで前月末比下落しました。(図1参照)

図1: 新興国ソブリン債券と米国国債の
価格推移(米ドルベース)

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、5月の米ISM製造業総合景況指数が改善したことや5月の米雇用者数が予想を上回る伸びとなったことなどを背景に下落(利回りは上昇)しました。また、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が債券市場はボラティリティが高くなった局面に順応する必要があると発言したことも米国国債市場の下落(利回りは上昇)要因となりました。月後半には、ギリシャの支援交渉の進展を巡り上下する場面もありましたが、月を通しては下落(利回りは上昇)しました。

一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、ギリシャ債務返済懸念などを受けたリスク回避姿勢の高まりを背景に拡大し、ドル建て新興国債券市場は下落(利回りは上昇)しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.30%上昇し5.81%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.09%拡大し、3.53%となりました。(図2、3参照)


図2: 新興国ソブリン債券と米国国債の利回り推移

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成


図3: 新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差推移

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

地域・国別動向

地域別では、全ての地域で下落しました。中近東、欧州、アジアは市場平均を上回った一方、中南米やアフリカは市場平均よりも大きく下落しました。(図4参照)

図4: 2015年6月地域別パフォーマンス
(米ドルベース)

 

※地域・国別パフォーマンス:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド地域・国別指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

国別では、10ヵ国が上昇し、53ヵ国が下落しました。(図5参照)


図5: 2015年6月国別パフォーマンス
(米ドルベース)

 

※地域・国別パフォーマンス:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド地域・国別指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

ウクライナは、通貨クリブナの安定や国際通貨基金(IMF)による金融支援期待などが好感され上昇しました。ロシアは通貨ルーブルの安定などが寄与し、市場平均よりも小幅な下落にとどまりました。一方、インドネシアは2016年の経済成長見通しの引き下げに加え、自動車販売や輸出の落ち込みなどが影響し軟調な動きとなりました。

主な格付けの変更

主な格付けの変更については、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスがパキスタンをCaa1からB3に格上げしました。またスタンダード&プアーズがウルグアイをBBB-からBBBに、ジャマイカをB-からBにそれぞれ格上げしました。

為替

ドル・円為替市場は、前月末比1円28銭円高・ドル安の122円45銭となりました。月初、米国雇用統計などを受け米国の利上げ観測が高まったため円安ドル高が進行しました。その後、黒田日銀総裁が衆議院財務金融委員会で、ここから更に実質実効為替レートが円安に振れていくことはありそうにないなどと発言したことを受け122円台まで円高・ドル安が進行しました。またギリシャ債務問題の先行きが不透明となったことも円高・ドル安傾向を下支えし、月を通しても円高・ドル安となりました。

図6: 新興国ソブリン債券価格(円換算)と円/米ドル指数の推移

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数、世界国債: JPモルガン世界国債指数、ユーロ国債: JPモルガンEMU国債指数、日本国債: JPモルガン日本国債指数、新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッド
※ 為替は、対顧客電信売買相場の仲値
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は先進国市場に比べて、借金残高が少ないこと、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性には注意が必要と考えています。また借入コストの増大や資源価格の動向についても一部の国にとっては懸念材料となる可能性があります。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。


債券価格、為替、利回り動向(ご参考)

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数、世界国債: JPモルガン世界国債指数、ユーロ国債: JPモルガンEMU国債指数、日本国債: JPモルガン日本国債指数、新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッド
※ 為替は、対顧客電信売買相場の仲値
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

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