2015年7月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2015年7月の新興国ソブリン債券市場 グローバル 新興国債券

2015/08/12新興国債券

7月の市場概観

7月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで前月末比上昇しました。(図1参照)

図1: 新興国ソブリン債券と米国国債の
価格推移(米ドルベース)

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、月初から米雇用統計で雇用者数の増加が予想を下回ったことや、賃金の伸びが前月比で横ばいにとどまったことなどを背景に上昇(利回りは低下)しました。

その後、ギリシャ金融支援を巡る交渉が合意に達するとの観測からリスク回避姿勢が後退し、下落(利回りは上昇)する場面もありましたが、中旬以降は原油価格が軟調でインフレ期待が後退したことなどを背景に上昇(利回りは低下)し、月間でも上昇(利回りは低下)しました。また、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、中国株の急落や商品市況の悪化などを受けて拡大しましたが、米国国債の上昇(利回り低下)やクーポン収入を背景にドル建て新興国債券市場は上昇しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.01%低下し5.80%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.14%拡大し、3.67%となりました。(図2、3参照)


図2: 新興国ソブリン債券と米国国債の利回り推移

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

図3: 新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差推移

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

地域・国別動向

地域別では、全ての地域で上昇しました。欧州が市場平均を上回った一方、中南米やアフリカは市場平均よりも小幅な上昇にとどまりました。(図4参照)

図4: 2015年7月地域別パフォーマンス
(米ドルベース)

 

※地域・国別パフォーマンス:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド地域・国別指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

  国別では、37ヵ国が上昇し、26ヵ国が下落しました。(図5参照)


図5: 2015年7月国別パフォーマンス (米ドルベース)

 

※地域・国別パフォーマンス:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド地域・国別指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

ウクライナは、通貨フリブナの安定やインフレ圧力の後退などが好感され、前月に引き続き上昇しました。一方、エクアドルは原油価格の下落などが、ザンビアは財政赤字の拡大などを背景に格下げされたことが影響し、それぞれ大きく下落しました。

主な格付けの変更

主な格付けの変更については、格付け会社のスタンダード&プアーズがホンジュラスをBからB+に格上げしました。一方、モザンビークをBからB-に、ザンビアをB+からBにそれぞれ格下げした他、バハマに対してネガティブ・ウォッチを付与しました。またフィッチがボリビアをBB-からBBに格上げした一方、エルサルバドルをBB-からB+に格下げしました。

為替

ドル・円為替市場は、前月末比1円59銭円安・ドル高の124円4銭となりました。月初、米6月雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことや賃金の伸びが前月比横ばいにとどまったこと、中国株が大幅に下落したことなどを受け円高・ドル安となりました。しかし、月中旬に米国議会証言でイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内の利上げ開始が適切との見解を示したこと、月末には米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で雇用判断の前進が確認されれば米連邦準備制度(Fed)が年内の利上げを実施するとの観測が強まったことなどを受け円安・ドル高の展開となり、月を通しては円安・ドル高となりました。

図6: 新興国ソブリン債券価格(円換算)と円/米ドル指数の推移

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数、世界国債: JPモルガン世界国債指数、ユーロ国債: JPモルガンEMU国債指数、日本国債: JPモルガン日本国債指数、新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッド
※ 為替は、対顧客電信売買相場の仲値
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は先進国市場に比べて、借金残高が少ないこと、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性には注意が必要と考えています。また借入コストの増大や資源価格の動向についても一部の国にとっては懸念材料となる可能性があります。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。


債券価格、為替、利回り動向(ご参考)

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数、世界国債: JPモルガン世界国債指数、ユーロ国債: JPモルガンEMU国債指数、日本国債: JPモルガン日本国債指数、新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッド
※ 為替は、対顧客電信売買相場の仲値
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

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