2015年8月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2015年8月の新興国ソブリン債券市場 グローバル 新興国債券

2015/09/10新興国債券

8月の市場概観

8月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで前月末比下落しました。(図1参照)

図1: 新興国ソブリン債券と米国国債の
価格推移(米ドルベース)

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は原油価格が低下傾向で期待インフレ率が低下したことや、中国が事実上の人民元切り下げに踏み切ったことや中国の景気指標が悪化したことで世界的な景気減速が懸念されたこと、株式市場が軟調であったことなどを背景に上昇(利回りは低下)しました。一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、中国による事実上の人民元切り下げや、中国景気の悪化懸念を受けリスク回避姿勢が強まったことを背景に拡大したため、ドル建て新興国債券市場は下落(利回りは上昇)しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.22%上昇し6.02%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.21%拡大し、3.88%となりました。(図2、3参照)


図2: 新興国ソブリン債券と米国国債の利回り推移

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

図3: 新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差推移

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

地域・国別動向

地域別では、欧州が上昇した一方で、アジア、中近東、中南米、アフリカは市場平均以上の下落となりました。(図4参照)

図4: 2015年8月地域別パフォーマンス(米ドルベース)

※地域・国別パフォーマンス:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド地域・国別指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

  国別では、10ヵ国が上昇し、53ヵ国が下落しました。(図5参照)

図5: 2015年8月国別パフォーマンス(米ドルベース)

 

※地域・国別パフォーマンス:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド地域・国別指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

ウクライナは同国政府が債務削減で欧米の民間債権者団と合意したことやインフレ圧力の後退などが寄与し、前月に引き続き上昇しました。一方、エクアドルは格付け会社スタンダード&プアーズが原油価格の下落が財政を圧迫するとの見方などから同国の格付けを引き下げたことなどが影響し大きく下落しました。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

主な格付けの変更

主な格付けの変更については、格付け会社のスタンダード&プアーズがスロバキアをAからA+に格上げしました。一方、エクアドルをB+からBに格下げしました。ムーディーズ・インベスターズ・サービスはモザンビークをB1からB2に、ブラジルをBaa2からBaa3にそれぞれ格下げしました。またフィッチはウクライナをCCからCに格下げしました。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

為替

ドル・円為替市場は、前月末比2円86銭円高・ドル安の121円18銭となりました。月初、7月の米ISM非製造業景況指数が高水準となったことなどを受け円安・ドル高となりました。しかし、月中旬に中国が事実上の人民元切り下げに踏み切ったことや中国の景気指標が悪化したことで世界的な景気減速が懸念されたこと、また、原油価格の下落に伴い米国国債利回りが低下したこと、世界的に株式市場が急落したことなどを受けリスク回避姿勢が強まり急激に円高・ドル安へと転じました。その後、中国当局が利下げに踏み切り株式市場が急反発したことなどを受け円安・ドル高の局面も見られましたが、月を通せば円高・ドル安となりました。

図6: 新興国ソブリン債券価格(円換算)と円/米ドル指数の推移

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数
※ 為替は、対顧客電信売買相場の仲値
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は先進国市場に比べて、借金残高が少ないこと、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や資源価格の下落なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

債券価格、為替、利回り動向(ご参考)

 

※ 新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数、世界国債: JPモルガン世界国債指数、ユーロ国債: JPモルガンEMU国債指数、日本国債: JPモルガン日本国債指数、新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッド※ 為替は、対顧客電信売買相場の仲値
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

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