2015年9月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2015年9月の新興国ソブリン債券市場 グローバル 新興国債券

2015/10/16新興国債券

9月の市場概観

9月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで前月末比下落しました。(図1参照)

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で世界経済の不透明な見通しなどを背景に利上げの見送りが決定されたこと、独自動車メーカーの不正発覚などを背景に株式市場が軟調な展開となる中、安全資産への需要が高まり、上昇(利回りは低下)しました。また、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、中国の景気減速懸念を背景とした世界経済の先行き不安や独自動車メーカーによる不正などを受け株式市場が下落したこと、欧州資源会社の一部に債務不安が台頭したこと等を背景に拡大したため、米国国債は小幅上昇(利回りは低下)したものの、ドル建て新興国債券市場は下落(利回りは上昇)しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.30%上昇し6.32%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.45%拡大し、4.33%となりました。(図2、3参照)

 

地域・国別動向

地域別では、欧州が上昇した一方で、中近東、中南米、アフリカは市場平均以上の下落となりました。(図4参照)

国別では、17ヵ国が上昇し、46ヵ国が下落しました。(図5参照)

ウクライナはインフレ圧力の後退や同国通貨の安定などが寄与し、前月に引き続き上昇しました。一方、ブラジルは経済が低迷し、財政再建が遅れる中、格付け会社スタンダード&プアーズが同国の外貨建て長期債格付けをBBB-からBB+に引き下げたことなどが影響し大きく下落しました。

主な格付けの変更

主な格付け(外貨建て長期債または発行体格付け)の変更については、格付け会社のスタンダード&プアーズがウクライナを選択的デフォルト(債務不履行)としました。また韓国をA+からAA-に格上げした一方、ブラジルをBBB-からBB+に格下げしました。ムーディーズ・インベスターズ・サービスはザンビアをB1からB2 に格下げした他、新たにイラクにCaa1を付与しました。フィッチはアンゴラをBB-からB+に格下げした他、新たにパキスタンにBを付与しました。

為替

9月のドル・円為替市場は、前月末比1円22銭円高・ドル安の119円96銭となりました。月前半、8月の米雇用統計で失業率の低下や賃金の上昇を背景に米国利上げ開始観測が高まり一時的に円安・ドル高となる局面もありました。しかしながら、月中旬に米連邦公開市場委員会(FOMC)で世界経済の不透明な見通しなどを背景に利上げの見送りが決定されたこと、独自動車メーカーがディーゼルエンジンの排ガス規制を不正に回避していた問題を受け株式市場が下落したことを受けリスク回避姿勢が強まったことなど円高・ドル安要因が市場の動向を左右する展開となりました。月を通せば円高・ドル安となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は先進国市場に比べて、借金残高が少ないこと、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や資源価格の低迷なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

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