2015年10月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2015年10月の新興国ソブリン債券市場 グローバル 新興国債券

2015/11/13新興国債券

10月の市場概観

10月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで前月末比上昇しました。(図1参照)

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の想定以上に年内利上げの可能性が示唆されたこと、住宅着工など米国の一部の経済指標が好調であったことなどを背景に下落(利回りは上昇)しました。一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、欧州の資源関連会社の財務懸念が後退したこと、中国人民銀行が追加の金融緩和を実施したこと、株式市場が反発しリスク回避の動きが後退したことなどを背景に大幅に縮小しました。そのため、米国国債は下落(利回りは上昇)したものの、ドル建て新興国債券市場は上昇(利回りは低下)しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.30%低下し6.02%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.40%縮小し、3.93%となりました。(図2、3参照)

地域・国別動向

地域別では、全ての地域が上昇しました。中南米が市場平均を上回って上昇しました。一方、アフリカや欧州、アジア、中近東は市場平均を下回る上昇にとどまりました。(図4参照)

国別では、59ヵ国が上昇し、4ヵ国が下落しました。(図5参照)

ベネズエラは今後、支払期限を迎える債務について返済の意思を示したことなどが好感されました。アルゼンチンは大統領選挙で野党候補が健闘した結果、11月に決選投票が実施されることとなり、改革への期待が高まったことなどから上昇しました。ブラジルは、レアル安に対する懸念を受け、中央銀行が対策を示唆したことなどがプラス要因となりました。

主な格付けの変更

主な格付け(外貨建て長期債または発行体格付け)の変更については、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが新たにアンゴラにBa2を付与しました。スタンダード&プアーズがウクライナを選択的デフォルト(債務不履行)からB-としました。またフィッチはブラジルをBBBからBBB-に格下げした他、ウクライナを一部債務不履行としました。

為替

10月のドル・円為替市場は、前月末比94銭円安・ドル高の120円90銭となりました。月前半、9月の米雇用統計で失業率の低下や賃金の上昇を背景に一時的に円安・ドル高となる局面もありました。しかしながら、月中旬に米9月小売売上高が軟調であったこと、米地区連銀経済報告がドル高の悪影響に言及していたことを受け円高・ドル安となる局面もありましたが、その後公表された米9月の住宅着工が好調であったこと、中国人民銀行が追加金融緩和を発表したことを受け円安・ドル高に転じ、月を通せば円安・ドル高となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は先進国市場に比べて、借金残高が少ないこと、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や資源価格の低迷なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

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