2015年11月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2015年11月の新興国ソブリン債券市場 グローバル 新興国債券

2015/12/15新興国債券

11月の市場概観

11月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで前月末比ほぼ横ばいとなりました。(図1参照)

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大幅に上回ったことなどが下落(利回りは上昇)要因となりましたが、原油価格の下落傾向等が上昇(利回りは低下)要因となり小幅な動きとなりました。一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、米国の雇用統計を受け景気回復期待が高まったことなどが縮小要因となった一方、地政学リスクの高まりなどが拡大要因となり、月を通せば小幅な動きとなりました。そのため、ドル建て新興国債券市場は小幅な動きとなりました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.06%上昇し6.08%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.03%縮小し、3.90%となりました。(図2、3参照)

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

地域・国別動向

地域別では、欧州が上昇した一方、中近東やアフリカ、中南米は下落しました。(図4参照)

国別では、26ヵ国が上昇し、37ヵ国が下落しました。(図5参照)

ウクライナはロシアによる債務再編の提案に加え、インフレ率が低下傾向にあることや格付け会社による格上げなどが好感され上昇しました。ベネズエラは12月6日に実施予定の議会中間選挙で野党が勝利するとの観測から改革期待が高まり、上昇要因となりました。一方、モザンビークやモンゴルは格付け会社による格下げが影響し下落しました。

主な格付けの変更

主な格付け(外貨建て長期債または発行体格付け)の変更については、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスがウクライナをCaからCaa3に、コートジボワールをB1からBa3に格上げしました。フィッチはウクライナを一部債務不履行からCCCに格上げした一方、モンゴルをB+からB、モザンビークをB+からBにそれぞれ格下げしました。またスタンダード&プアーズはモンゴルをB+からBに格下げしました。

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為替

11月のドル・円為替市場は、前月末比1円92銭円安・ドル高の122円82銭となりました。月前半、米雇用統計で非農業部門雇用者数が大幅に上昇したことや賃金の上昇が市場予想を上回ったこと、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会証言で経済は順調との見解を示し年内利上げ開始期待が強まったことなどを背景に円安・ドル高が進行しました。しかしながら、月中旬にパリの同時多発テロを受けリスク回避姿勢が高まったこと、トルコ軍がロシア戦闘機を撃墜したことで地政学リスクが高まったことなどを背景に円安・ドル高の進行が抑えられましたが、月を通してみると円安・ドル高となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は先進国市場に比べて、借金残高が少ないこと、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や資源価格の低迷なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

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