2016年2月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年2月の新興国ソブリン債券市場 新興国債券 グローバル

2016/03/14新興国債券

2月の市場概観

2月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで上昇しました。(図1参照)

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長の議会証言を受け利上げペースは緩やかとの観測が台頭したこと、原油価格の動向が不透明でリスク回避姿勢が高まったことなどを背景に上昇(利回りは低下)しました。一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、米国の利上げペースは緩やかとの観測から新興国からの資本逃避懸念が後退したことなどを背景に小幅ながら縮小しました。そのため、ドル建て新興国債券市場は上昇(利回りは低下)しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.23%低下し6.28%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.09%縮小し4.54%となりました。(図2、3参照)

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

地域・国別動向

地域別では、中南米、アフリカが市場平均を上回った一方、アジア、中近東、欧州は市場平均を下回る上昇にとどまりました。(図4参照)

国別では、59ヵ国が上昇し、5ヵ国が下落しました。(図5参照)

ベネズエラはガソリンの値上げや通貨ボリバルの引き下げの発表を受け、補助金の削減や歳入の落ち込みの抑制による財政改善への期待が高まったことから大幅に上昇しました。アルゼンチンは一部の債権者と和解案で基本合意に至るなど債務問題が前進していることやマクリ政権による財政再建などへの期待から上昇しました。一方、ベリーズは金融サービスセクターへの不安が主要産業である観光などに悪影響を及ぼすと格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが指摘したことなどが影響し下落しました。

主な格付けの変更

主な格付け(外貨建て長期債または発行体格付け)の変更については、格付け会社のスタンダード&プアーズは、コスタリカをBBからBB-に、ブラジルをBB+からBBに、カザフスタンをBBBからBBB-にそれぞれ格下げしました。フィッチは、スリランカをBB-からB+に、アゼルバイジャンをBBB-からBB+に格下げした一方、ジャマイカをB-からBに格上げしました。またベラルーシを新たにB-に格付けしました。ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ブラジルをBaa3からBa2に格下げしました。またアゼルバイジャンをBaa3からBa1に格下げし、同時にネガティブ・ウォッチとしました。

 

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為替

ドル・円為替市場は、前月末比7円25銭円高・ドル安の113円62銭となりました。月初、1月末に日銀がマイナス金利導入を公表した影響で120円台の円安水準での取引となりましたが、マイナス金利の適用範囲が限定的であること、銀行収益への悪影響などが懸念され急激に円高・ドル安に転じました。また、米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長の議会証言を受け米国の利上げペースは緩やかとの見通しが台頭したこと、原油価格の先行きの不透明感などを背景にリスク回避姿勢が強まったことも円高・ドル安をサポートする要因となり、月を通してみると大幅に円高・ドル安となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は政府債務残高(対GDP比)の水準が先進諸国に比べ低く、相対的に健全な国が多いことや、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や資源価格の低迷なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

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