2016年4月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年4月の新興国ソブリン債券市場 新興国債券 グローバル

2016/05/18新興国債券

4月の市場概観

4月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで上昇しました。(図1参照)

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、産油国の増産凍結期待や原油の需給回復期待などを受け原油価格が底堅く推移したことや、水準は低いものの米国のインフレ期待に上昇の兆しが見られたことなどを受け下落(利回りは上昇)しました。一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、米国の利上げペースは緩やかとの観測や新興国からの資本逃避懸念が後退したことなどを背景に大幅に縮小しました。そのため、ドル建て新興国債券市場は上昇(利回りは低下)しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.15%低下し5.71%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.20%縮小し3.89%となりました。(図2、3参照)

地域・国別動向

地域別では、中南米が市場平均を上回る上昇率となった一方、欧州、アフリカ、中近東、アジアは市場平均を下回る上昇にとどまりました。(図4参照)

国別では、62ヵ国が上昇、3ヵ国が下落しました。(図5参照)

アルゼンチンは、同国政府が米国で165億ドル規模の債券を発行し、2002年の債務不履行(デフォルト)以来の国際債券市場への復帰を果たしたことが好感され上昇しました。

主な格付けの変更

主な格付け(外貨建て長期債または発行体格付け)の変更については、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、トリニダードトバゴをBaa2からBaa3に、ザンビアをB2からB3に、モザンビークをB3からCaa1に格下げしました。またロシアのネガティブ・ウォッチを解除しました。スタンダード&プアーズは、トリニダードトバゴをAからA-に格下げしました。またモザンビークを、一時、CCから選択的デフォルトとした後、B-へ格上げしました。

為替

ドル・円為替市場は、前月末比2円93銭円高・ドル安の109円75銭となりました。月初、3月末にイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が早期の利上げ再開に慎重な見解を示し、ドル安傾向となった流れを受けたこと、安倍首相が為替介入は控えるべきと発言したことなどを受け円高・ドル安が進行しました。しかし、原油価格の落ち着きが見られたこと、日銀の追加金融緩和期待が高まったことなどを背景に円安・ドル高となる局面も見られました。その後、市場の期待に反し日銀が金融政策を据え置いたこと、米国の1-3月期GDP (国内総生産)成長率が低水準にとどまるなど米国の景気回復に鈍化の兆しが見られたことなどを受け円高・ドル安が進行しました。月を通しては円高・ドル安となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は政府債務残高(対GDP比)の水準が先進諸国に比べ低く、相対的に健全な国が多いことや、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や資源価格の低迷なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

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