2016年5月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年5月の新興国ソブリン債券市場 グローバル 新興国債券

2016/06/15新興国債券

5月の市場概観

5月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで下落しました。(図1参照)

ドル建て新興国ソブリン債券市場のベースとなる米国国債は、4月の雇用統計で非農業部門雇用者数が伸び悩んだことなどが上昇(利回りは低下)要因となった一方、政策当局者の発言などを背景に利上げ観測が高まったことが下落(利回りは上昇)要因となり、月間では小幅な値動きとなりました。一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、経済データの動向により変動の大きい展開となりましたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、経済回復が確認されれば6月の利上げが適切になるとの認識が示されたことなどを背景に小幅ながら拡大しました。 JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.09%上昇し5.81%となりました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.08%拡大し3.97%となりました。(図2、3参照)

地域・国別動向

地域別では、中近東が上昇し、アジアと欧州は市場平均を上回った一方、アフリカと中南米は市場平均以上の下落率となりました。(図4参照)

国別では、36ヵ国が上昇、29ヵ国が下落しました。(図5参照)

モザンビークは隠れ債務が発覚し、同国の債務不履行(デフォルト)リスクが高まったことなどを背景に、大きく下落しました。一方、原油価格の上昇などを受けて、イラクなど産油国は堅調な動きとなりました。

主な格付けの変更

主な格付け(外貨建て長期債または発行体格付け)の変更については、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ホンジュラスをB3からB2に格上げしました。またモザンビークをネガティブ・ウォッチとした一方で、南アフリカのネガティブ・ウォッチを解除しました。フィッチはハンガリーをBB+からBBB-に、アルゼンチンを一部債務不履行からBにそれぞれ格上げした一方、モザンビークをCCCからCCに格下げしました。スタンダード&プアーズは、アルゼンチンを選択的債務不履行からB-に格上げした一方、モザンビークをB-からCCCに格下げし、ネガティブ・ウォッチとしました。

為替

ドル・円為替市場は、前月末比1円19銭円安・ドル高の110円94銭となりました。月初、日本当局による為替介入は控えられるとの観測や4月の米ISM製造業景況指数が予想を下回ったことを受け円高・ドル安が進行しました。しかし、複数の米地区連銀総裁が早期の利上げを支持するコメントをしたこと、原油価格が上昇傾向で米国のインフレ率上昇期待が高まったことなどを受け円安・ドル高に転じました。また米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、経済回復が確認されれば6月の利上げが適切になるとの認識が示されたことなども円安・ドル高要因となりました。月を通しては円安・ドル高となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は政府債務 残高(対GDP比)の水準が先進諸国に比べ低く、相対的に健全な国が多いことや、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や資源価格の低迷なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

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