2016年6月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年6月の新興国ソブリン債券市場 グローバル 新興国債券

2016/07/14新興国債券

6月の市場概観

6月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで上昇しました。(図1参照)

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、5月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回ったこと、米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長が講演で利上げ時期の後退を示唆したことなどを受け上昇(利回りは低下)しました。一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、英国国民投票を受け拡大する局面もありましたが、英国の欧州連合(EU)離脱の新興国への影響は限定的との見方から、利回りを求めての新興国債券の購入意欲は根強く小幅ながら縮小しました。そのため、月を通して、ドル建て新興国債券市場は上昇(利回りは低下)しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.43%低下し5.38%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.09%縮小し3.88%となりました。(図2、3参照)

地域・国別動向

地域別では、中南米、アフリカが市場平均を上回る上昇率となった一方、アジア、欧州は市場平均を下回る上昇にとどまりました。(図4参照)

国別では、62ヵ国が上昇、3ヵ国が下落しました。(図5参照)

モザンビークは債務不履行(デフォルト)リスクの高まりなどを背景に、前月に続き下落しました。一方、原油価格が1バレル50ドル近い水準で推移したことなどが好感され、ベネズエラなどの産油国は前月に続き堅調な動きとなりました。

主な格付けの変更

主な格付け(外貨建て長期債または発行体格付け)の変更については、格付け会社のフィッチはセルビアをB+からBB-に格上げした一方、ナイジェリアをBB-からB+に格下げしました。

 

為替

ドル・円為替市場は、前月末比8円03銭円高・ドル安の
102円91銭となりました。月初、5月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回ったこと、米連邦準備制度理事会(FRB)イエレン議長が講演で利上げ時期の後退を示唆したことを受け円高・ドル安が進行しました。また、月半ばに開催された日銀金融政策決定会合で追加金融緩和が見送られたことも円高・ドル安要因となりました。その後、欧州連合(EU)残留支持派の英下院議員の殺害事件をきっかけに、一時的に円安・ドル高となる局面もありましたが、23日の英国国民投票では市場の大方の予想に反し離脱派が勝利しリスク回避姿勢が急激に高まったことで再び円高・ドル安が進行しました。月を通しては大幅な円高・ドル安となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は政府債務残高(対GDP比)の水準が先進諸国に比べ低く、相対的に健全な国が多いことや、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や資源価格の低迷なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

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