2016年7月の新興国ソブリン債券市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年7月の新興国ソブリン債券市場 新興国債券 グローバル

2016/08/15新興国債券

7月の市場概観

7月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで上昇しました。(図1参照)

ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回ったこと、米小売売上高や鉱工業生産が堅調であったことなどを受け小幅ながら下落(利回りは上昇)しました。一方、米国国債と新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、英国首相が短期間でメイ氏に決まるなど、英国の欧州連合(EU)離脱の新興国への影響は限定的との見方が強まったことや、利回りを求めた新興国債券の購入意欲は根強い事を背景に大幅に縮小しました。そのため、月を通して、ドル建て新興国債券市場は上昇(利回りは低下)しました。

JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数における新興国ソブリン債券の利回りは前月末比0.21%低下し5.17%となりました。JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドでみた米国国債との利回り格差は0.20%縮小し3.68%となりました。(図2、3参照)

地域・国別動向

地域別では、中南米、アジア、アフリカが市場平均を上回る上昇率となった一方、中近東、欧州は市場平均を下回る上昇にとどまりました。(図4参照)

国別では、59ヵ国が上昇、6ヵ国が下落しました。(図5参照)

トルコは、軍の一部によるクーデター未遂事件の発生などが影響し、下落しました。一方、エルサルバドルやモンゴルなどは英国の欧州連合(EU)離脱による悪影響に対する懸念が後退する中、利回りを追求する動きの中で選好され、堅調な動きとなりました。

主な格付けの変更

主な格付け(外貨建て長期債または発行体格付け)の変更については、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスがモザンビークをCaa1からCaa3に格下げした他、トルコにネガティブウォッチを付与しました。スタンダード&プアーズはトルコをBB+からBBに格下げしました。またフィッチはレバノンをBからB-に、ボリビアをBBからBB-にそれぞれ格下げしました。

※地域・国別パフォーマンス:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド地域・国別指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

為替

ドル・円為替市場は、前月末比1円51銭円安・ドル高の104円42銭となりました。月初、6月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回ったこと、参院選で自民党が大勝したためアベノミクス再開への期待が高まったこと、日銀が国債購入の拡大やマイナス金利政策の拡大など追加金融緩和政策の実施により政府の財政政策を支援するという思惑が広がったことなどを受け円安・ドル高が進行しました。しかし、今年度の財政政策の規模は期待を下回るとの観測や、月末の日銀金融政策決定会合で国債購入やマイナス金利拡大などの追加金融緩和が見送られたため円高・ドル安となる局面もありました。月を通しては円安・ドル高となりました。

今後の新興国ソブリン債券市場見通し

中長期的には、新興国ソブリン債券市場は政府債務残高(対GDP比)の水準が先進諸国に比べ低く、相対的に健全な国が多いことや、新興国の潜在的な成長力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれること、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと見ています。

短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べてスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料となる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や資源価格の動向なども大きな懸念材料となる可能性があり注意が必要です。しかし、そのような場合であっても、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によってリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

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