2015年10月の新興国株式市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2015年10月の新興国株式市場 グローバル 新興国株式

2015/11/11新興国株式

ポイント

10月の新興国株式市場は、資源価格の上昇や欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による追加金融緩和を示唆する発言などを受け、上昇しました。

10月の新興国株式市場

10月の新興国株式市場は月間で上昇しました。上旬は資源価格が上昇したことに加え、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が利上げに慎重な内容だったことなどが好感され上昇しました。中旬にかけては、9月の中国の輸入が減少したことなどを受け中国の景気減速に対する懸念が高まったことなどを背景に一時、下落する場面もありましたが、中国の利下げ、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による追加金融緩和を示唆する発言などを受け、更に上昇する動きとなりました。なお月末に開催された10月の米FOMCの声明では年内の利上げの可能性が示されましたが、株式市場の大きな下げ要因とはなりませんでした。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、豊富な若い労働人口などを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。しかし、当面は米国の利上げ開始時期を巡る見方や中国の経済・政策動向に市場の注目が集まることが予想されます。また、世界景気の先行き不透明感が高まるなか、新興国の企業業績は下方修正傾向にあります。特に、中国経済の減速が予想以上に長引いた場合には、商品市況や世界経済へのマイナスの影響が拡大する可能性もあります。米国の利上げ時期を巡る不透明感はリスク回避の動きを高め、新興国株式市場にマイナスの影響を及ぼしてきました。今後、米国の利上げが新興国の資金調達に影響がない程度に緩やかに進めば、世界経済の先行き不透明感も払拭され、新興国株式にプラスになると見ています。株式の様々なバリュエーション(投資価値評価)は過去平均や先進国よりも割安な水準となっており、新興国株式からは資金が流出し、市場センチメント(市場心理)も最低水準まで落ち込んでいます。こうしたなかでも、中国や韓国、台湾、インドなど主要新興国では依然利下げ余地があり景気や株価を下支えするものと期待されます。このため、世界景気の回復により需要が回復した場合には、大きく株価が反発する可能性があるとみており、株価の下落は長期的な投資機会を提供するものと考えます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

月間の国別市場

中国は9月の輸出入が引き続き減少するも、利下げ実施や税制上の優遇措置、新エネルギー・環境保護政策など一段の財政刺激策の推進が好感され、市場平均以上に上昇しました。インドネシアは景気刺激策が好感され上昇しました。トルコはエネルギーや商品価格の低迷の恩恵を受け経常赤字が改善したことなどを背景に上昇しました。ブラジルは小売売上や鉱工業生産が落ち込むなど弱い経済指標の発表や商品価格の低迷を背景に市場平均を下回る上昇にとどまりました。インドは、主要企業の市場予想を下回る決算の発表や輸出入の減少などを背景に市場予想を下回る上昇率となりました。(図表4・5参照)

 

                                                                                                                          ※新興国株式:MSCI新興国株価指数、国別株価指数:MSCI新興国各国株価指数                              

                                                                                                                           ※トムソン・ロイター・データストリームの提供する為替レートを使用

                                                                                                                            出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

月間の業種別市場

エネルギー、情報技術(IT)、一般消費財・サービスなどは市場平均以上に上昇しました。一方、通信、公益、生活必需品などのディフェンシブ(景気の変動に左右されにくい)セクターなどは上昇したものの市場平均を下回りました。(図表6参照)

バリュエーション水準

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、株価収益率(PER)では、依然として先進国を下回る水準にあります(図①参照)。また、株価純資産倍率(PBR)でも、先進国を下回る水準にあります(図②参照)。今後の株価動向には注意が必要と考えますが、株価の調整は、長期的な投資機会を提供するものと考えます。

新興国各国の経済状況

リーマン・ショック後の世界的な景気後退を経て、2009年半ば以降は内需関連の成長が寄与し、高い成長率で回復しました(図④参照)。景況感については、中国は景況感の分かれ目である50近辺を推移しています(図⑤参照)。

新興国の経済成長

先進国各国の経済成長見通しは低成長が予想されるものの、新興国平均では2015年に+4.0%の成長が見込まれています。中でも、中国とインドは内需拡大などが寄与し6~7%台の高成長となる見通しです(図⑥参照) 。

 

インフレと政策金利

新興国の物価動向は政策金利の動向を見る上で重要な指標です。アジアの主要国を中心に金融緩和傾向となっています。(図⑦~⑫参照)

 

原油、商品市況

商品市況は、世界景気の不透明感や需給見通しの悪化などを背景に低調に推移しています(図⑬、図⑮、図⑯参照)。金については新興国における実需に加え、安全資産としての需要もあります(図⑭参照)。原油や商品価格の下落はブラジルや南アフリカなどの資源を輸出する資源国の経済にとってマイナス要因となる一方、その下落が消費を中心にプラス要因となる国もあり、注目の指標のうちの一つです。

リスク

新興国経済のリスクの高さを示す指標のひとつであるドル建て新興国債券と米国債との利回り格差は、世界的な信用不安が高まった2008年に急拡大しましたが、その後、世界経済の回復期待などを背景にリスク回避の動きが弱まる中で縮小してきました(図⑰参照)。その後、ユーロ圏諸国の債務問題で一時拡大しました。直近では、中国の景気減速懸念などがリスクの拡大要因となっています。

新興国株式投資 ~ 新興国高配当株式に注目

新興国株式投資において特に注目したいのは、配当利回りの高い銘柄(新興国高配当株式)です(図⑱参照)。かつて新興国であった日本では、1970年から1980年にかけて大卒初任給は約2.9倍に、1人あたりGDP(国内総生産)は約2.9倍、消費者物価指数は約2.3倍に拡大しました(図⑳参照) 。この間、日本株式市場では経済成長を反映し、株価は日本株式平均で3.2倍に上昇、なかでも高配当の日本株式は6.5倍に上昇し、配当利回りの高い銘柄がより高い収益を得ることができました(図⑲参照)。

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