2015年12月の新興国株式市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2015年12月の新興国株式市場 新興国株式 グローバル

2016/01/21新興国株式

ポイント

12月の新興国株式市場は下落しました。米国の利上げ観測や中国景気の減速懸念、OPEC総会で原油の減産が 合意に至らなかったことなどが下落要因となりました。

12月の新興国株式市場

新興国株式市場は、月半ばにかけて米国の利上げ観測や、期待外れの内容となった欧州中央銀行(ECB)による追加金融緩和、景気の弱さを示す中国の貿易統計などを背景に下落しました。また石油輸出国機構(OPEC)総会で原油の減産合意に至らなかったことも、エネルギー株を中心に下落要因となりました。月後半は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げ後も米国経済が堅調であるとの認識を示したことや、米国の在庫減少を受けた原油価格の反発などがプラス要因となり、上昇したものの、月間では下落となりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。しかし、当面は米国の金融政策や中国の経済・政策動向には市場の注目が集まることが予想されます。また中東情勢の悪化や北朝鮮の動向など地政学リスクも台頭してきています。市場の先行き不透明感はリスク回避の姿勢を強め、新興国株式市場にマイナスの影響を及ぼすため当面注意が必要と見ています。また、新興国の大きなリスクは、資源価格の低迷継続とドル高の進行です。ドル高は資源価格安につながるうえ、新興国企業のドル建て負債額はリーマンショック時よりも数倍に拡大しており、利払い負担が増しているため注意が必要です。一方、足元の経済環境を勘案すると今後米国の利上げのペースは穏やかになると見られ、ドル安方向に向かう可能性があるとの見方もあります。新興国株式の様々なバリュエーション(投資価値評価)は過去平均や先進国よりも割安な水準となっていますが、新興国株式からは資金が流出しています。中国や韓国、台湾、インドなど主要新興国では依然利下げ余地があり、こうした政策は景気や株価を下支えするものと期待されます。また、中国の政策効果も期待されます。世界景気の回復により需要が回復した場合には、新興国株式は大きく株価が反発する可能性があるとみており、株価の下落は長期的な投資機会を提供するものと考えます。また、新興国への資金流入により、新興国通貨高・ドル安への転換を後押しすれば、資金調達コスト負担の低下や資源価格高を通じて新興国経済に更にプラスとなるものと期待されます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

月間の国別市場

国別(現地通貨ベース)ではエネルギー価格や商品市況の下落を背景に、ロシア、南アフリカ、ブラジル、ペルーなどの下落率が大きくなりました。

南アフリカはネネ財務相の解任で政治的不透明感が高まったこともマイナス要因となりました。

ブラジルは米格付け会社2社が続けて同国を投資不適格級に格下げしたことやレビ財務相の交代で政治的不透明感が高まったこともマイナス要因となりました。

タイは中国を中心としたアジア地域の外需の減少懸念や通信セクターの競争激化などを背景に下落しました。

中国は、下落したものの市場よりも小幅な下げに留まりました。 中国の製造業関連の経済指標は減速を示す一方、消費関連の指標は底堅い数値を示しました。 一方、原油の純輸入国であるインドは原油価格の下落の恩恵を受けるとの見方やインド準備銀行(中央銀行)が政策金利を据え置いたものの、金融緩和拡大の可能性を示したことなどから上昇しました。

インドネシアは中央銀行の目標範囲までインフレ率が低下し、利下げ期待が高まったことから上昇しました。

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月間の業種別市場

業種別では、エネルギー、資本財・サービス、生活必需品などが市場平均以上に下落しました。一方、ヘルスケアなどは市場平均を上回りました。(図表6参照)

バリュエーション水準

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、株価 収益率 (PER)では、依然として先進国を下回る水準にあります(図①参照)。また、株価純資産倍率(PBR)でも、先進国を下回る水準にあります(図②参照)。今後の株価動向には注意が必要と考えますが、株価の調整は、長期的な投資機会を提供するものと考えます。

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新興国各国の経済状況

リーマン・ショック後の世界的な景気後退を経て、2009年半ば以降は内需関連の成長が寄与し、高い成長率で回復しました(図④参照)。景況感については、中国は景況 感の分かれ目である50近辺を推移しています(図⑤参照)。

新興国の経済成長

先進国各国の経済成長見通しは低成長が予想されるものの、新興国平均では2015年に+4.0%の成長が見込まれています。中でも、中国とインドは内需拡大などが寄与し6~7%台の高成長となる見通しです(図⑥参照) 。

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インフレと政策金利

新興国の物価動向は政策金利の動向を見る上で重要な指標です。アジアの主要国を中心に金融緩和傾向となっています。(図⑦~⑫参照)

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原油、商品市況

商品市況は、世界景気の不透明感や需給見通しの悪化などを背景に低調に推移しています(図⑬、図⑮、図⑯ 参照)。

金については新興国における実需に加え、安全資産としての需要もあります(図⑭参照)。原油や商品価格の下落はブラジルや南アフリカなどの資源を輸出する資源国の経済にとってマイナス要因となる一方、その下落が消費を中心にプラス要因となる国もあり、注目の指標のうちの一つです。

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リスク

新興国経済のリスクの高さを示す指標のひとつであるドル建て新興国債券と米国債との利回り格差は、世界的な信用不安が高まった2008年に急拡大しましたが、その後、世界経済の回復期待などを背景にリスク回避の動きが弱まる中で縮小してきました(図⑰参照)。その後、ユーロ圏諸国の債務問題で一時拡大しました。

直近では、中国の景気減速懸念などがリスクの拡大要因となっています。

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新興国株式投資 ~ 新興国高配当株式に注目

新興国株式投資において特に注目したいのは、配当利回りの高い銘柄(新興国高配当株式)です(図⑱参照)。

かつて新興国であった日本では、1970年から1980年にかけて大卒初任給は約2.9倍に、1人あたりGDP(国内総生産)は約2.9倍、消費者物価指数は約2.3倍に拡大しました(図⑳参照) 。

この間、日本株式市場では経済成長を反映し、株価は日本株式平均で3.2倍に上昇、なかでも高配当の日本株式は6.5倍に上昇し、配当利回りの高い銘柄がより高い収益を得ることができました(図⑲参照)。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

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