2016年1月の新興国株式市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年1月の新興国株式市場 新興国株式 グローバル

2016/02/18新興国株式

ポイント

1月の新興国株式市場は下落しました。中国の景気減速や世界経済の先行きに対して懸念が高まりリスク回避の動きが広がったことや、原油をはじめとした商品市況の悪化などが下落要因となりました。

1月の新興国株式市場

1月の新興国株式市場は月間で下落しました。12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の悪化や人民元の中央レート引き下げなどを背景に中国の景気減速懸念が高まったことに加え、12月の米ISM製造業景況指数の悪化などを受けて世界経済の先行き懸念が高まり、リスク回避の動きが高まるなか、新興国からの資金流出は拡大し、月初から中旬にかけて大きく下落しました。また需給悪化懸念から原油価格が急落するなど商品市況の悪化も株式市場下落の一因となりました。下旬には、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が追加金融緩和を示唆したことや原油価格の反発などを背景に株式市場も反発しましたが、月間では大幅な下落となりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

しかし、当面は米国の金融政策や中国の経済・政策動向、原油価格動向などに市場の注目が集まることが予想されます。市場の先行き不透明感はリスク回避の姿勢を強め、新興国株式市場にマイナスの影響を及ぼすため当面注意が必要と見ています。原油価格の急落は景気悪化懸念を伴い新興国株式にマイナスの影響を及ぼしていますが、新興国全体では原油純輸入国が多く存在し、原油価格の下落は結果的には製造業のコスト負担の軽減や消費の拡大に繋がると期待されます。

新興国株式の様々なバリュエーション(投資価値評価)は特に株価純資産倍率(PBR)など資産ベースのバリュエーション中心に過去平均や先進国よりも割安な水準となっています。一方、新興国株式からは資金が流出しています。こうした環境下、中国人民銀行(中央銀行)は大規模な資金供給を実施しており、韓国、台湾、インドなど主要新興国も依然利下げ余地があることから、こうした政策は景気や株価を下支えするものと期待されます。このため、世界景気の回復により需要が回復した場合には、新興国株式は大きく株価が反発する可能性があるとみており、株価の下落は長期的な投資機会を提供するものと考えます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

月間の国別市場

国別(現地通貨ベース)では、中国は12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)で製造業活動が5ヵ月連続縮小したことや、人民元の中心レートの大幅引き下げを受け、経済成長が鈍るなか当局が人民元安を容認しているとの懸念が高まったことなどを背景に下落しました。本土市場ではサーキットブレーカーが発動され、売買停止となりました。その後、サーキットブレーカー制度を当局が停止し、中国人民銀行(中央銀行)が人民元の中心レートを引き上げたことが好感され一時、反発したものの、政府の取り組みについて投資家の信頼感が後退し再び続落しました。その後も中国人民銀行(中央銀行)は公開市場操作(オペ)を通じて約3年ぶりの大規模な資金供給を行ったものの、景気減速が進むとの懸念を和らげるには至りませんでした。

ブラジルは、商品相場の下落や11月の同国の鉱工業生産の減少幅が市場予想を上回ったこと、同国の輸出商品に対する需要が中国の景気減速を受けて一段と鈍化するとの懸念が拡大したことなどから、主要企業の財務状況の悪化懸念が高まり下落しました。

インドは、同国の12月PMIが製造業活動の約2年ぶりの縮小を示したことや、主要銀行が不良債権の増加を明らかにしたことなどがマイナス要因となり下落しましたが、医薬品や電力の上昇に支えられ市場平均を上回りました。

タイは、暫定政権による鉄道などのインフラ整備の拡大や足元の経常収支の黒字維持、潤沢な外貨準備、インフレ率の低下による利下げ期待などを背景に上昇しました。

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月間の業種別市場

業種別では、金融などが市場平均以上に下落しました。一方、生活必需品、電気通信サービス、ヘルスケアなどのディフェンシブ(景気の変動に左右されにくい特性)性の高いセクターなどは市場平均を上回りました。(図表6参照)

バリュエーション水準

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、株価収益率 (PER)では、依然として先進国を下回る水準にあります(図①参照)。また、株価純資産倍率(PBR)でも、先進国を下回る水準にあります(図②参照)。今後の株価動向には注意が必要と考えますが、株価の調整は、長期的な投資機会を提供するものと考えます。

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新興国各国の経済状況

リーマン・ショック後の世界的な景気後退を経て、2009年半ば以降は内需関連の成長が寄与し、高い成長率で回復しました(図④参照)。景況感については、中国は景況感の分かれ目である50近辺を推移しています(図⑤参照)。

新興国の経済成長

先進国各国の経済成長見通しは低成長が予想されるものの、新興国平均では2016年に+4.5%の成長が見込まれています。中でも、中国とインドは内需拡大などが寄与し6~7%台の高成長となる見通しです(図⑥参照) 。

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インフレと政策金利

新興国の物価動向は政策金利の動向を見る上で重要な指標です。アジアの主要国を中心に金融緩和傾向となっています。(図⑦~⑫参照)

 

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原油、商品市況

商品市況は、世界景気の不透明感や需給見通しの悪化などを背景に低調に推移しています(図⑬、図⑮、図⑯ 参照)。

金については新興国における実需に加え、安全資産としての需要もあります(図⑭参照)。原油や商品価格の下落はブラジルや南アフリカなどの資源を輸出する資源国の経済にとってマイナス要因となる一方、その下落が消費を中心にプラス要因となる国もあり、注目の指標のうちの一つです。

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リスク

新興国経済のリスクの高さを示す指標のひとつであるドル建て新興国債券と米国債との利回り格差は、世界的な信用不安が高まった2008年に急拡大しましたが、その後、世界経済の回復期待などを背景にリスク回避の動きが弱まる中で縮小してきました(図⑰参照)。その後、ユーロ圏諸国の債務問題で一時拡大しました。

直近では、中国の景気減速懸念などがリスクの拡大要因となっています。

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新興国株式投資 ~ 新興国高配当株式に注目

新興国株式投資において特に注目したいのは、配当利回りの高い銘柄(新興国高配当株式)です(図⑱参照)。

かつて新興国であった日本では、1970年から1980年にかけて大卒初任給は約2.9倍に、1人あたりGDP(国内総生産)は約2.9倍、消費者物価指数は約2.3倍に拡大しました(図⑳参照)。

この間、日本株式市場では経済成長を反映し、株価は日本株式平均で3.2倍に上昇、なかでも高配当の日本株式は6.5倍に上昇し、配当利回りの高い銘柄がより高い収益を得ることができました(図⑲参照)。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

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