2016年2月の新興国株式市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年2月の新興国株式市場 新興国株式 グローバル

2016/03/11新興国株式

ポイント

2月の新興国株式市場はほぼ横ばいとなりました。世界経済の先行き懸念や欧州の銀行セクターにおける信用不安の拡大などが下落要因となった一方、原油価格に底打ち感が見られたことや、中国やユーロ圏などにおける追加金融緩和観測などがプラス要因となりました。

2月の新興国株式市場

2月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間でほぼ横ばいとなりました。新興国株式市場は、米ISM製造業景況指数や中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が製造業の悪化を示す内容となったことや、世界経済の先行き不安や需給環境の悪化を背景とした原油価格の下落、欧州の銀行セクターにおける信用不安の拡大などを受けリスク回避の動きが強まり、月半ばにかけて下落しました。しかしその後は、サウジアラビアやロシアなどの産油国による生産調整協議への期待などを受け原油価格に底打ち感が見られたことや、中国やユーロ圏などにおける追加金融緩和観測などを背景に世界の株式市場は反発しました。こうした流れの中で新興国株式市場は月間では先進国株式を上回りました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

しかし、当面は米国の金融政策や中国の経済・政策動向、原油価格動向などに市場の注目が集まることが予想されます。市場の先行き不透明感はリスク回避の姿勢を強め、新興国株式市場にマイナスの影響を及ぼすため当面注意が必要と考えます。中国経済の先行きについては最近の預金準備率の引き下げも含めて景気刺激策の効果により大きな下振れは回避され、今後安定化に向かうと予想されます。中国経済の先行き見通しに対する過度な懸念が後退していけば、新興国株式市場全体にとってプラスの効果をもたらすと考えます。また、ここ最近では原油・商品市況にも持ち直しの兆しがみられていますが、こうした動きがより鮮明となれば新興国株式に対する投資家心理は大きく改善されていくものと期待されます。

新興国株式の様々なバリュエーション(投資価値評価)をみると、特に株価純資産倍率(PBR)などの資産ベースのバリュエーション中心に過去平均や先進国よりも割安な水準となっています。市場の先行き不透明感が後退した場合には大きく反発する可能性があると考えます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

月間の国別市場

国別(現地通貨ベース)では、原油価格の底打ち期待などから、カタール、UAE、コロンビアなどの株価の上昇率が大きくなりました。

ブラジルはマクロ経済環境の悪化が継続する中、大手格付け機関ムーディーズ・インベスターズ・サービスがブラジルの格付けを投資不適格級に引き下げたことなどはマイナスの影響となりましたが、月後半以降の原油や商品市況の反発や汚職事件の捜査の進展により政治的不透明感が払拭されるとの期待などを受けて、市場平均を上回って上昇しました。

台湾は世界的な株式市場や原油・商品市況の回復によりリスク回避の動きが和らいだことなどから、主力の情報技術セクターを中心に上昇し、市場平均を上回りました。ロシアも原油価格の反発を受けて上昇となりました。

一方、中国は、上旬から中旬にかけては1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)などで景気の悪化が示唆されたほか、世界的にリスク回避の動きが強まったことなどを受けて下落しました。その後、1月の新規融資額が過去最大と予想以上に拡大したことや追加的な景気刺激策への期待などを背景に反発しましたが、月間では市場平均を下回る推移に留まりました。

韓国も原油純輸入国であることから原油価格の上昇は経済にとってマイナスとなることなどから、相対的に低調となりました。

同じく原油純輸入国であるインドは原油価格の上昇がマイナスとなったほか、来年度予算案の発表を前に、改革の進展に対する懐疑的な見方が広がったことなどや予想を下回る企業決算の発表などを受けて下落しました。

月間の業種別市場

業種別では、原油・商品市況の持ち直しから素材やエネルギーセクターの上昇率が大きくなりました。一方、生活必需品や一般消費財・サービス、ヘルスケアなどは市場平均を下回って下落しました。(図表6参照)

バリュエーション水準

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、株価収益率 (PER)では、依然として先進国を下回る水準にあります(図①参照)。また、株価純資産倍率(PBR)でも、先進国を下回る水準にあります(図②参照)。今後の株価動向には注意が必要と考えますが、株価の調整は、長期的な投資機会を提供するものと考えます。

新興国各国の経済状況

リーマン・ショック後の世界的な景気後退を経て、2009年半ば以降は内需関連の成長が寄与し、高い成長率で回復しました(図④参照)。景況感については、中国は景況感の分かれ目である50近辺を推移しています(図⑤参照)。

新興国の経済成長

先進国各国の経済成長見通しは低成長が予想されるものの、新興国平均では2016年に+4.5%の成長が見込まれています。中でも、中国とインドは内需拡大などが寄与し6~7%台の高成長となる見通しです(図⑥参照) 。

インフレと政策金利

新興国の物価動向は政策金利の動向を見る上で重要な指標です。アジアの主要国を中心に金融緩和傾向となっています。(図⑦~⑫参照)

原油、商品市況

商品市況は、世界景気の不透明感や需給見通しの悪化などを背景に低調に推移しています(図⑬、図⑮、図⑯ 参照)。

金については新興国における実需に加え、安全資産としての需要もあります(図⑭参照)。原油や商品価格の下落はブラジルや南アフリカなどの資源を輸出する資源国の経済にとってマイナス要因となる一方、その下落が消費を中心にプラス要因となる国もあり、注目の指標のうちの一つです。

リスク

新興国経済のリスクの高さを示す指標のひとつであるドル建て新興国債券と米国債との利回り格差は、世界的な信用不安が高まった2008年に急拡大しましたが、その後、世界経済の回復期待などを背景にリスク回避の動きが弱まる中で縮小してきました(図⑰参照)。その後、ユーロ圏諸国の債務問題で一時拡大しました。

直近では、中国の景気減速懸念などがリスクの拡大要因となっています。

新興国株式投資 ~ 新興国高配当株式に注目

新興国株式投資において特に注目したいのは、配当利回りの高い銘柄(新興国高配当株式)です(図⑱参照)。

かつて新興国であった日本では、1970年から1980年にかけて大卒初任給は約2.9倍に、1人あたりGDP(国内総生産)は約2.9倍、消費者物価指数は約2.3倍に拡大しました(図⑳参照) 。

この間、日本株式市場では経済成長を反映し、株価は日本株式平均で3.2倍に上昇、なかでも高配当の日本株式は6.5倍に上昇し、配当利回りの高い銘柄がより高い収益を得ることができました(図⑲参照)。

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