2016年3月の新興国株式市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年3月の新興国株式市場 新興国株式 グローバル

2016/04/14新興国株式

ポイント

3月の新興国株式市場は、原油・商品価格の上昇やドル高基調の一服感に加え、ユーロ圏の追加金融緩和策の発表や米国の利上げペースの後退などが追い風となり、先進国株式を大きく上回って上昇しました。

3月の新興国株式市場

新興国株式市場は月初、2月末に中国が預金準備率の引き下げを発表したことや、米国の2月の非農業部門雇用者数が市場予想を上回って増加したことなどを受けて世界的な株高となる中、上昇しました。また、中国の全国人民代表大会においてインフラ投資計画の拡大など景気のてこ入れに前向きな姿勢が示されたことや、米ドル高基調の一服感、産油国における生産調整期待などを背景に原油や商品価格が上昇したことも追い風となりました。さらに、欧州中央銀行(ECB)による追加金融緩和の発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げペースの後退が示唆され、中旬にかけても上昇基調が続きました。その後、ベルギーのテロ事件や原油・商品価格の反落などからマイナスの影響を受ける局面もありましたが、月末にかけて米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が追加利上げに慎重な姿勢を示したことなどを受けてさらに上昇し、月間でも先進国株式を大きく上回る上昇率となりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

しかし、今後も当面は米国の金融政策や中国の経済・政策動向、原油価格動向などに市場の注目が集まることが予想されます。市場の先行き不透明感はリスク回避の姿勢を強め、新興国株式市場にマイナスの影響を及ぼすため当面注意が必要と考えます。中国経済の先行きについては景気刺激策の効果により大きな下振れは回避され、安定化に向かうと予想されます。中国経済の先行き見通しに対する過度な懸念が後退していけば、新興国株式市場全体にとってプラスの効果をもたらすと考えます。ここ最近の新興国株式市場の反発は、米ドル安や相当程度冷え込んでいた投資家心理が改善し買い戻しの動きがみられたことなどが背景にあると考えられます。今後も持続的な上昇基調を辿っていくためには、新興国の企業業績の本格的な回復が待たれます。直近では世界的にみると製造業の回復を示唆する経済指標の発表など明るい材料もあり、今後も企業業績動向には注目してく必要があると考えます。

新興国株式の様々なバリュエーション(投資価値評価)をみると、特に株価純資産倍率(PBR)などの資産ベースのバリュエーション中心に過去平均や先進国よりも割安な水準が続いています。特に、ここ最近、業績が低迷し、低バリュエーションとなっている銘柄のうち、今後の景気回復で業績が回復すると見込まれる銘柄については投資家の注目を集める可能性があると考えます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

月間の国別市場

ブラジルは、原油・商品価格の上昇や、ペトロブラスの汚職事件に絡んだルセフ政権に対する弾劾手続きが進み、政権交代への期待が高まったことなどを受けて大きく上昇しました。新政権が誕生することで政治的混乱に終止符が打たれ、喫緊の課題である経済や財政の立て直しが進むとの期待があります。 また、南アフリカはズマ大統領に関する政治的なスキャンダルや国内経済の低迷などのマイナス材料がありながらも、資源価格の上昇などを受けて市場平均を上回って上昇しました。

ロシアも原油価格の上昇や政府が国営企業に対して配当性向の引き上げを指導したことなどを受けて上昇しました。

中国は、製造業部門が依然として低迷する一方、不動産市場が回復をみせるなど中国経済は安定化の兆しも見え始めています。また、政策効果への期待なども加わり上昇となりました。

台湾は月後半、利下げの発表を受けて銀行収益が悪化するとの見方が広がったことや、主力のハイテク関連の株価が伸び悩んだことなどから、市場平均を下回る上昇率に留まりました。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

月間の業種別市場

業種別では、全セクターで上昇となりましたが、中でも原油・商品価格の上昇を受けてエネルギーや素材のほか、金融セクターの上昇率が大きくなりました。一方、ヘルスケアや生活必需品などの上昇率は市場平均を下回りました。(図表6参照)

バリュエーション水準

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、株価収益率 (PER)では、依然として先進国を下回る水準にあります(図①参照)。また、株価純資産倍率(PBR)でも、先進国を下回る水準にあります(図②参照)。今後の株価動向には注意が必要と考えますが、株価の調整は、長期的な投資機会を提供するものと考えます。

新興国各国の経済状況

リーマン・ショック後の世界的な景気後退を経て、2009年半ば以降は内需関連の成長が寄与し、高い成長率で回復しました(図④参照)。景況感については、中国は景況感の分かれ目である50近辺を推移しています(図⑤参照)。

新興国の経済成長

先進国各国の経済成長見通しは低成長が予想されるものの、新興国平均では2016年に+4.1%の成長が見込まれています。中でも、中国とインドは内需拡大などが寄与し6~7%台の高成長となる見通しです(図⑥参照) 。

インフレと政策金利

新興国の物価動向は政策金利の動向を見る上で重要な指標です。アジアの主要国を中心に金融緩和傾向となっています。(図⑦~⑫参照)

  

原油、商品市況

商品市況は、世界景気の不透明感や需給見通しの悪化などを背景に低調に推移しています(図⑬、図⑮、図⑯ 参照)。

金については新興国における実需に加え、安全資産としての需要もあります(図⑭参照)。原油や商品価格の下落はブラジルや南アフリカなどの資源を輸出する資源国の経済にとってマイナス要因となる一方、その下落が消費を中心にプラス要因となる国もあり、注目の指標のうちの一つです。

 

リスク

新興国経済のリスクの高さを示す指標のひとつであるドル建て新興国債券と米国債との利回り格差は、世界的な信用不安が高まった2008年に急拡大しましたが、その後、世界経済の回復期待などを背景にリスク回避の動きが弱まる中で縮小してきました(図⑰参照)。その後、ユーロ圏諸国の債務問題で一時拡大しました。

直近では、中国の景気減速懸念などがリスクの拡大要因となっています。

新興国株式投資 ~ 新興国高配当株式に注目

新興国株式投資において特に注目したいのは、配当利回りの高い銘柄(新興国高配当株式)です(図⑱参照)。

かつて新興国であった日本では、1970年から1980年にかけて大卒初任給は約2.9倍に、1人あたりGDP(国内総生産)は約2.9倍、消費者物価指数は約2.3倍に拡大しました(図⑳参照) 。

この間、日本株式市場では経済成長を反映し、株価は日本株式平均で3.2倍に上昇、なかでも高配当の日本株式は6.5倍に上昇し、配当利回りの高い銘柄がより高い収益を得ることができました(図⑲参照)。

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