2016年4月の新興国株式市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年4月の新興国株式市場 新興国株式 グローバル

2016/05/19新興国株式

ポイント

4月の新興国株式市場は、中旬以降に原油価格やその他の商品価格が上昇したことを背景に産油国や資源国を中心に上昇しましたが、月末には予想を下回る企業決算の発表が相次いだことから下落し、月間では小幅な下落となりました。

4月の新興国株式市場

新興国株式市場は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で世界経済の成長減速に対する懸念が示されたことや、サウジアラビアが原油の生産調整に慎重な姿勢を示したことを受けて原油価格が下落したことなどから、上旬は下落基調となりました。しかし中旬以降は、国際エネルギー機関(IEA)が原油の需給が改善するとの予想を発表したことや米国の原油生産の減少などを背景に原油価格が大幅に上昇、その他の商品価格についても反発したことから、新興国の中でも産油国や資源国を中心に上昇しました。また、中国で発表された主要経済指標が予想を上回る良好な内容となり、中国経済に安定化の兆しが見られ始めたことも、中国をはじめとした新興国株式市場の追い風となりました。しかし、月末に予想を下回る企業決算の発表が相次いだことなどを受けて下落し、月間でも小幅下落となりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

しかし、今後も当面は米国の金融政策や中国の経済・政策動向、原油価格動向などに市場の注目が集まることが予想されます。市場の先行き不透明感はリスク回避の姿勢を強め、新興国株式市場にマイナスの影響を及ぼすため当面注意が必要と考えます。中国経済の先行きについては景気刺激策の効果により大きな下振れは回避され、足元では安定化の兆しも見られ始めたと考えます。中国経済の先行き見通しに対する過度な懸念が後退していけば、新興国株式市場全体にとってプラスの効果をもたらすと考えます。

足元の世界的な景気動向は足踏み状態となっているとみられ、こうした状況は新興国の輸出関連セクターにとっては業績見通しや株価に影を落としていると考えられます。一方、プラス材料としてはここ最近の商品価格の上昇が資源国通貨に安定感をもたらしており、インフレ圧力も緩和しつつあるようにみられます。こうした国々では金融緩和余地が生まれ、景気の下支えが期待できるとも考えられます。

新興国株式の様々なバリュエーション(投資価値評価)をみると、特に株価純資産倍率(PBR)などの資産ベースのバリュエーション中心に過去平均や先進国よりも割安な水準が続いています。投資資金フローの状況などから新興国株式に注目する投資家も徐々に増え始めているように見られますが、本格的な新興国株式の回復には業績改善が待たれると考えられ、業績動向にも注視していく必要があると考えます。

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

月間の国別市場

ブラジルは原油・商品価格の上昇やルセフ大統領に対する弾劾が議会下院で可決し、政権交代に一段階近づいたとの見方などを背景に上昇率が大きくなりました。

原油・商品価格の上昇を受けて、ロシアなどその他の産油国・資源国の株価は概ね上昇となりました。

中国は、3月の貿易統計や工業生産、固定資産投資などの主要経済指標が予想を上回る内容を示し、景気の先行きに対する懸念が後退したことなどから中旬以降上昇しましたが、月末に予想を下回る企業決算の発表などを受けて下落し、月間では小幅下落となりました。

台湾は米アップルのスマートフォン販売の伸び悩みなどを受けて同社に部材を供給するハイテク関連企業を中心に下落しました。

ポーランドはスイス・フラン建て住宅ローンを自国通貨ズロチ建てへの転換を促す計画が議論されており、この際に発生する為替差損分を銀行側が負担を強いられるとの懸念の高まりなどを背景に銀行セクターを中心に下落しました。

 

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月間の業種別市場

業種別では、原油・商品価格の上昇を受けてエネルギーや素材セクターの上昇率が大きくなりました。一方、ヘルスケア、一般消費財サービス、公益などが市場平均を下回ったほか、情報技術セクターの下落率が相対的に大きくなりました。(図表6参照)

バリュエーション水準

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、株価収益率 (PER)では、依然として先進国を下回る水準にあります(図①参照)。また、株価純資産倍率(PBR)でも、先進国を下回る水準にあります(図②参照)。今後の株価動向には注意が必要と考えますが、株価の調整は、長期的な投資機会を提供するものと考えます。

 

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新興国各国の経済状況

リーマン・ショック後の世界的な景気後退を経て、2009年半ば以降は内需関連の成長が寄与し、高い成長率で回復しました(図④参照)。景況感については、中国は景況感の分かれ目である50近辺を推移しています(図⑤参照)。

新興国の経済成長

先進国各国の経済成長見通しは低成長が予想されるものの、新興国平均では2016年に+4.1%の成長が見込まれています。中でも、中国とインドは内需拡大などが寄与し6~7%台の高成長となる見通しです(図⑥参照) 。

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インフレと政策金利

新興国の物価動向は政策金利の動向を見る上で重要な指標です。アジアの主要国を中心に金融緩和傾向となっています。(図⑦~⑫参照)

  

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原油、商品市況

商品市況は、世界景気の不透明感や需給見通しの悪化などを背景に低調に推移しています(図⑬、図⑮、図⑯ 参照)。

金については新興国における実需に加え、安全資産としての需要もあります(図⑭参照)。原油や商品価格の下落はブラジルや南アフリカなどの資源を輸出する資源国の経済にとってマイナス要因となる一方、その下落が消費を中心にプラス要因となる国もあり、注目の指標のうちの一つです。

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リスク

新興国経済のリスクの高さを示す指標のひとつであるドル建て新興国債券と米国債との利回り格差は、世界的な信用不安が高まった2008年に急拡大しましたが、その後、世界経済の回復期待などを背景にリスク回避の動きが弱まる中で縮小してきました(図⑰参照)。その後、ユーロ圏諸国の債務問題で一時拡大しました。

直近では、中国の景気減速懸念などがリスクの拡大要因となっています。

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新興国株式投資 ~ 新興国高配当株式に注目

新興国株式投資において特に注目したいのは、配当利回りの高い銘柄(新興国高配当株式)です(図⑱参照)。

かつて新興国であった日本では、1970年から1980年にかけて大卒初任給は約2.9倍に、1人あたりGDP(国内総生産)は約2.9倍、消費者物価指数は約2.3倍に拡大しました(図⑳参照) 。

この間、日本株式市場では経済成長を反映し、株価は日本株式平均で3.2倍に上昇、なかでも高配当の日本株式は6.5倍に上昇し、配当利回りの高い銘柄がより高い収益を得ることができました(図⑲参照)。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

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