2016年5月の新興国株式市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年5月の新興国株式市場 グローバル 新興国株式

2016/06/14新興国株式

ポイント

5月の新興国株式市場は、中国経済に対する懸念が再び強まったことや、米国の利上げ観測が高まったこと、米ドル高基調となったことなど受けて、月間で下落しました。

5月の新興国株式市場

5月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で下落しました。4月の中国の製造業景況指数や鉱工業生産、貿易統計などの主要経済指標が市場予想を下回り、中国経済に対する懸念が再び強まったことなどを受けて月半ばにかけて下落しました。その後も米国で予想を上回る経済指標の発表に加えて米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の内容から米国の利上げ観測が高まったことや、米ドル高基調となったことなど受けて新興国株式市場は下落基調が続きました。月末には、4月の米新築住宅販売や耐久財受注が市場予想を大きく上回り、米国経済が利上げに耐えられるとの見方から新興国株式市場も上昇しましたが、月間では下落となりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

しかし、短期的には米国の金融政策動向や米ドル相場の動向などが、新興国株式の株価を左右する可能性があると考えられます。また、引き続き、中国の経済・政策動向にも注視していく必要があると考えられます。ただし、その他の新興国では景気回復がみられる国もあり、また、インフレ率も概ね低下または落ちつきを見せていることから、金融引き締め姿勢を緩めたり、あるいは追加利下げを実施することなどにより景気回復の下支えにつながる可能性もあると考えます。

新興国株式の様々なバリュエーション(投資価値評価)をみると、特に株価純資産倍率(PBR)などの資産ベースのバリュエーション中心に過去平均や先進国よりも割安な水準が続いています。

月間の国別市場

国別(現地通貨ベース)では、大統領選挙終了で不透明感の払拭されたフィリピンが上昇しました。大統領選挙においてダバオ市長ドゥテルテ氏が当選し、新政権の経済政策として前政権の経済政策を継承する方針を表明しました。台湾は、米アップル社の減収見通しなどを受けて月前半は主力のハイテク関連企業を中心に低調となりましたが、その後、蔡英文新総統の就任で経済振興を最優先課題とする方針が強調されたことや、米株高など受けて月末にかけて反発し、市場平均を上回る株価推移となりました。

中国は予想を下回る経済指標の発表に加えて、追加的な景気刺激策への期待が後退したことなどから下落し、月末にかけて反発したものの月間では下落となりました。

トルコは、国際協調を重視しエルドアン大統領の権力拡大につながる憲法改正に消極的であったダウトオール首相が辞任に追い込まれるなどの政治的な混乱に加えて、対外債務が大きいことなどから米国の利上げ観測や米ドル高基調などが経済にとってマイナス要因となるとの懸念などから下落率が大きくなりました。

ブラジルは、政権交代への期待からこれまで大きく上昇した反動や、新たに発足した暫定政権の下で依然として政治的な混乱がみられることや経済運営の先行き不透明感などから下落率が大きくなりました。

月間の業種別市場

業種別(現地通貨ベース)では、情報技術のほか、ヘルスケアや一般消費財・サービスなどが上昇しました。一方、素材、エネルギーセクターの下落率は相対的に大きくなりました。(図表6参照)

バリュエーション水準

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、株価収益率 (PER)では、依然として先進国を下回る水準にあります(図①参照)。また、株価純資産倍率(PBR)でも、先進国を下回る水準にあります(図②参照)。今後の株価動向には注意が必要と考えますが、株価の調整は、長期的な投資機会を提供するものと考えます。

新興国各国の経済状況

リーマン・ショック後の世界的な景気後退を経て、2009年半ば以降は内需関連の成長が寄与し、高い成長率で回復しました(図④参照)。景況感については、中国は景況感の分かれ目である50近辺を推移しています(図⑤参照)。

新興国の経済成長

先進国各国の経済成長見通しは低成長が予想されるものの、新興国平均では2016年に+4.1%の成長が見込まれています。中でも、中国とインドは内需拡大などが寄与し6~7%台の高成長となる見通しです(図⑥参照)。

インフレと政策金利

新興国の物価動向は政策金利の動向を見る上で重要な指標です。アジアの主要国を中心に金融緩和傾向となっています。(図⑦~⑫参照)

 

原油、商品市況

商品市況は、世界景気の不透明感や需給見通しの悪化などを背景に低調に推移してきましたが、一部で需給改善が見られることなどを背景に、反転の兆しも見られています。(図⑬、図⑮、図⑯参照)。

金については新興国における実需に加え、安全資産としての需要もあります(図⑭参照)。原油や商品価格の下落はブラジルや南アフリカなどの資源を輸出する資源国の経済にとってマイナス要因となる一方、その下落が消費を中心にプラス要因となる国もあり、注目の指標のうちの一つです。

 

リスク

新興国経済のリスクの高さを示す指標のひとつであるドル建て新興国債券と米国債との利回り格差は、世界的な信用不安が高まった2008年に急拡大しましたが、その後、世界経済の回復期待などを背景にリスク回避の動きが弱まる中で縮小してきました(図⑰参照)。その後、ユーロ圏諸国の債務問題で一時拡大しました。

直近では、中国の景気減速懸念などがリスクの拡大要因となっています。

 

新興国株式投資 ~ 新興国高配当株式に注目

新興国株式投資において特に注目したいのは、配当利回りの高い銘柄(新興国高配当株式)です(図⑱参照)。

かつて新興国であった日本では、1970年から1980年にかけて大卒初任給は約2.9倍に、1人あたりGDP(国内総生産)は約2.9倍、消費者物価指数は約2.3倍に拡大しました(図⑳参照)。

この間、日本株式市場では経済成長を反映し、株価は日本株式平均で3.2倍に上昇、なかでも高配当の日本株式は6.5倍に上昇し、配当利回りの高い銘柄がより高い収益を得ることができました(図⑲参照)。

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