2016年6月の新興国株式市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

2016年6月の新興国株式市場 グローバル 新興国株式

2016/07/13新興国株式

ポイント

6月の新興国株式市場は月間で上昇しました。月半ば以降、英国のEU離脱を問う国民投票を巡って上下する展開の中、EU離脱の決定を受けてリスク回避の動きが広がり世界的な株安となりましたが、各国政府による政策期待などから新興国株式市場も反発し、先進国株式市場を上回る推移となりました。

6月の新興国株式市場

6月の新興国株式市場(現地通貨ベース、配当込み)は月間で上昇しました。新興国株式市場は米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が利上げ時期の後退を示唆したことや需給改善期待などから原油価格が10ヵ月ぶり高値を付けたことなどを受けて、月前半は上昇基調となりました。その後、中旬にかけては英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票を巡り上下する展開となりましたが、23日に実施された英国の国民投票の結果、英国のEU離脱が決定したことを受けてリスク回避の動きが広がったことから世界的な株安となる中、新興国株式市場も下落しました。しかし、月末にかけては各国政府による政策期待などから世界の株式市場が反発する中、新興国株式市場も反発し、月間でも上昇となり、先進国株式市場を上回る推移となりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。しかし、英国のEU離脱を巡って今後も欧州では政治的なリスクが残る一方、11月には米大統領選挙が控えています。先進国における政治的な動きは、米ドル相場や商品価格の変動を通じて新興国株式市場にも影響を及ぼす可能性があると考えられ、注視が必要であると考えます。政治的な不透明感は消費者心理や企業の投資意欲に悪影響を及ぼしかねず、欧米ではインフラ投資などの経済対策が打ち出される可能性があると考えられます。一方、これとは別に既に新興国のいくつかの国では、インフラ投資を加速させています。大規模な例では、中国が主導する「一帯一路」構想などがあります。新興国のみならず先進国でもインフラ投資拡大などの景気刺激策が打ち出されれば、様々な資源や鋼材需要の拡大につながると予想されます。こうした場合、新興国は大いに恩恵を受けるとみられ、新興国市場の株価を押し上げるものと期待されます。

新興国の企業業績改善の鍵を握ると考えられる新興国の輸出統計をみると、数量ベースでは依然として減少傾向が続いていますが、米ドルベースでは悪化に歯止めがかかりつつあるなど、変化の兆しが見られ始めています。ひとたび世界的な需要が拡大に向かえば、新興国の企業業績は大きく改善するものと考えられます。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

月間の国別市場

国別(現地通貨ベース、配当込み)では、ブラジルの上昇率が大きくなりました。月初に発表された1-3月期のGDP統計でマイナス幅が大きく縮小したことをはじめ、深刻な景気後退からの脱却の兆しがみられはじめたことや、原油や商品価格の上昇、企業の買収・合併(M&A)などが手がかりとなりました。

インドネシアは、利下げに加えて景気刺激策の発表などが追い風となり上昇しました。

台湾は、良好な月次売上高や見通しを発表した主力のハイテク関連が上昇したほか、追加緩和期待の高まりなどを受けて上昇しました。

一方、中国は、深セン-香港株式相互取引開始への期待や、中国人民銀行による大規模な資金供給などは下支え要因となりましたが、5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)をはじめとした主要経済指標の内容が中国の景気見通しに対する懸念を払拭するには至らなかったことなどから市場平均を下回る推移となりました。

ロシアは原油価格の上昇はプラス要因となりましたが、経済制裁下ではあるものの依然としてEUとの貿易関係も深く英国のEU離脱による影響を受けやすいとみられることなどもあり、市場平均を下回りました。

インドは市場予想通り、政策金利が据え置かれたものの、緩和方向の政策を続けることが示されたことなどはプラス材料となり、底堅く推移しましたが、市場平均を下回りました。

また、英国のEU離脱によるマイナスの影響を受けやすいとみられるポーランドなどの東欧諸国などは下落率が相対的に大きくなりました。

 

月間の業種別市場

業種別(現地通貨ベース)では、素材、情報技術、電気通信サービスなどが上昇した一方、一般消費財・サービスや資本財・サービスは下落となりました。(図表6参照)

バリュエーション水準

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、株価収益率 (PER)では、依然として先進国を下回る水準にあります(図(1)照)。また、株価純資産倍率(PBR)でも、先進国を下回る水準にあります(図(2)参照)。今後の株価動向には注意が必要と考えますが、株価の調整は、長期的な投資機会を提供するものと考えます。

新興国各国の経済状況

リーマン・ショック後の世界的な景気後退を経て、2009年半ば以降は内需関連の成長が寄与し、高い成長率で回復しました(図(4)参照)。景況感については、中国は景況感の分かれ目である50近辺を推移しています(図(5)参照)。

新興国の経済成長

先進国各国の経済成長見通しは低成長が予想されるものの、新興国平均では2016年に+4.1%の成長が見込まれています。中でも、中国とインドは内需拡大などが寄与し6~7%台の高成長となる見通しです(図(6)参照) 。

インフレと政策金利

新興国の物価動向は政策金利の動向を見る上で重要な指標です。アジアの主要国を中心に金融緩和傾向となっています。(図(7)~(12)参照)

原油、商品市況

商品市況は、世界景気の不透明感や需給見通しの悪化などを背景に低調に推移してきましたが、一部で需給改善が見られることなどを背景に、反転の兆しも見られています。(図(13)、図(15)、図(16)参照)。

金については新興国における実需に加え、安全資産としての需要もあります(図(14)参照)。原油や商品価格の動向は新興国株式市場と連動性が高いため、注目の指標のうちの一つです。

リスク

新興国経済のリスクの高さを示す指標のひとつであるドル建て新興国債券と米国債との利回り格差は、世界的な信用不安が高まった2008年に急拡大しましたが、その後、世界経済の回復期待などを背景にリスク回避の動きが弱まる中で縮小してきました(図(17)参照)。その後、ユーロ圏諸国の債務問題で一時拡大しました。

直近では、中国の景気減速懸念などがリスクの拡大要因となっています。

新興国株式投資 ~ 新興国高配当株式に注目

新興国株式投資において特に注目したいのは、配当利回りの高い銘柄(新興国高配当株式)です(図(18)参照)。

かつて新興国であった日本では、1970年から1980年にかけて大卒初任給は約2.9倍に、1人あたりGDP(国内総生産)は約2.9倍、消費者物価指数は約2.3倍に拡大しました(図(20)参照) 。

この間、日本株式市場では経済成長を反映し、株価は日本株式平均で3.2倍に上昇、なかでも高配当の日本株式は6.5倍に上昇し、配当利回りの高い銘柄がより高い収益を得ることができました(図(19)参照)。

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