世界株式の下落原因と反発シナリオ | ピクテ投信投資顧問株式会社

世界株式の下落原因と反発シナリオ グローバル

2016/01/22グローバル

ポイント

2016年の世界の株式市場は、中国経済への不透明感や下げ止まらない原油価格などを嫌気して、年初から大幅に下落する波乱のスタートとなりました。ピクテは今年の世界経済が3%程度の緩やかな成長を続けると考えており、足下の株価下落は行き過ぎと見ていますが、一方で投資環境は刻々と変化しています。当レポートでは株価下落の原因を整理すると同時に、株価反発のシナリオについて考察を試みます。

2016年の世界経済は3%成長

ピクテは今年の世界経済は先進国を中心に緩やかな成長を持続すると見ています。その牽引役は米国で、燃料価格の下落や労働市場の改善を背景に個人消費や住宅投資が堅調に推移すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)が2~3回の利上げを行ったとしても2%台後半の経済成長は可能と考えます。

一方、中国経済は6.7%成長に鈍化すると見ています。金融・財政政策の発動により景気底割れは回避されるでしょうが、過剰債務・過剰設備という構造的な問題の調整局面が続く限り、中国を含む新興国が本来の力強さを取り戻すには時間を要するでしょう。

以上から、ピクテは2016年の世界の経済成長率を3.0%と予想しています。ただし調整過程にある中国経済や低迷が続く商品市況を考えると、ピクテが推計する潜在成長率を下回る状態が続くと見ており(図表1参照)、物価上昇圧力も限定的と考えています。

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

株価下落をもたらした3つの懸念

上記のマクロ経済見通しに立てば、今年の株式市場は過去数年間のような高い上昇率は望めないものの企業業績の伸び程度のリターンは期待できるとピクテは考えています。ところが年初からの世界の株式市場は、NYダウ工業株30種平均で-9.5%、日経平均株価で -13.8%、上海総合株価指数で-15.9%(1月20日終値、現地通貨ベース)と、ピクテの見立てに反して大幅に下落してのスタートとなっています。年明け以降に突然株価が下落に転じた原因として、次の3つの懸念が市場で強く意識され始めたからと思われます。

(懸念1) FRBが追加利上げに踏み切れば米国は景気後退に陥るのではないか
2016年に入ってから発表された米国のマクロ経済指標を見ると、新規雇用者数の伸びや自動車販売などで好調が続く一方、鉱工業生産や住宅着工件数、製造業景況感など予想を下回る項目も見られ始めています。このため米景気の先行きに対する不確実性が高まっていることも事実で、仮に米国経済が景気後退に陥ることになれば、足下の水準から更に10~15%程度の株価調整も覚悟しなければならないでしょう。

しかしピクテは現時点で、FRBの利上げによって米国が景気後退に陥るとの立場を取っていません。好調な米国経済は、ガソリン価格の低下や家計債務の改善、堅調な雇用や住宅市況といった複数の要因で支えられており、FRBの金融政策の「正常化」によって腰折れるほど脆弱でないと思われるからです。

ただし米国経済を支えている雇用情勢が悪化することがあれば、見通しの修正が不可避となります。中でも失業率や消費者信頼感などの経済指標に鈍化の兆しがないか注視していく必要があるでしょう。

(懸念2)中国経済は予想以上に厳しく、いずれ人民元は大幅に切り下げられるのではないか
中国が固定資産投資に依存した経済構造からの転換を迫られているのは以前から指摘されていることで、特別新しい材料ではありません。加えて直近の新築住宅価格や自動車販売などは中国経済が循環的に上向きつつあることを示唆しており、市場が抱く中国経済への懸念は根拠が薄いように思われます。

ただし中国人民銀行が「人民元が下落を続ける基礎的条件はない」としながらも元安に歯止めがかかっていないなど、当局の政策執行能力に対する不安が高まっています。仮に当局が市場のコントロールを失っていると見なされれば、人民元の大幅下落など市場の混乱に拍車がかかるリスクも否定できないため、警戒を怠ることは出来ないでしょう。

(懸念3)原油安は世界経済の弱さを示しており、資金不足から産油国が株式投資を引揚げるのではないか
好調な米国や中国の自動車販売台数に見られるように世界のエネルギー需要が大幅に落ち込んでいるとは考えづらく、軟調な原油相場は需要不足というよりも供給過多によるものと見られます。このため原油安が世界経済の弱さを示しているとの主張は説得力に乏しいと考えます。

供給過多の状態が解消されないのは、石油輸出国機構(OPEC)が減産の足並みを揃えられていないことも理由の一つです。例えば中東地域での激しい覇権争いを続けているサウジアラビアとイランは、年明け早々に国交断絶という緊張状態へと突入しました。こうした状況で両国間に協調体制が生まれる余地は乏しく、今後もOPECが減産合意に至るのは期待薄と言わざるを得ません。

だとすれば中東産油国が資金不足に陥るのは不可避であり、オイルマネーが世界の株式市場から資金を引揚げるとの懸念は的外れではありません。事実、最近の株式市場には株価水準を無視した換金売りが増えているように感じられます。しかしオイルマネーの換金売りといった需給悪化はあくまでも短期的要因であり、中長期で見れば優良株を割安に仕込む好機とも考えられます。

株価反発のシナリオ

これら3つの懸念が解消されるには一定の時間を要すると思われますが、年初から続く株価下落に歯止めがかかるには、以下の3つのシナリオが考えられます。

(シナリオ1)資源関連の国家ないしは企業の破綻
原油価格が1バレル30ドルを下回るような軟調な市況が続けば、資源依存が高く財政基盤のぜい弱な国家や企業は淘汰される局面を迎えます。資本市場は時に非常に獰猛で、こうした淘汰のプロセスを経るまで行き過ぎた相場が止まらないことが多々あります。ただし、どの国ないしは企業がいつ破綻に追い込まれるのかを予見することは困難ですから、保有資産を極力分散させると同時に、信用リスクを今一度見直しておくことが重要と考えます。

(シナリオ2)出来高を伴った株価の大幅下落
年初からの株式相場は、日々ズルズルと値を下げる展開が続いていますが、下げ相場の最終局面では、出来高を伴ったパニック的な売り(これをセリング・クライマックスと呼びます)が見られるものです。セリング・クライマックスの後には相場の急反発も期待されますが、その前後では資産価値が大きく変動することになりますので、流動性が高く、かつ値動きが相対的に少ない資産の比率を高めるなどして、価格変動への対抗力を高めておくことが有効と考えます。

(シナリオ3)何らかの政策発動
市場が安定を取り戻す可能性が最も高いシナリオは、やはり何と言っても各国が効果的な金融・財政政策を打ち出すことです。もちろん、どのような政策がいつ打ち出されるかを予見することは困難ですが、例えば以下のような政策が出てくれば、市場は一気に反発する可能性もあると見ています。このため目先の相場が不安定だからと言って保有株を売却してしまうのではなく、長期的な視点で相場に臨むことが肝要と考えます。

・FRBが追加利上げを見送る!?
・日銀の追加緩和と公的資金の日本株買い!?
・ECBが追加緩和を行う!?
・中国が元を15%切下げると同時に大規模な財政支出を行う!?

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