長期金利上昇のなか高配当公益株式は底堅く推移 | ピクテ投信投資顧問株式会社

長期金利上昇のなか高配当公益株式は底堅く推移 グローバル

2017/01/24グローバル

ポイント

米大統領選でのトランプ氏勝利により、米国の財政支出拡大に対する期待の高まりが、期待インフレ率を高め、長期金利の押し上げ要因となりました。米国大統領選でのトランプ氏の勝利決定後の世界高配当公益株式(MSCI世界高配当公益株価指数、以下同じ)は、一時世界的な長期金利の急上昇を背景に下落したものの、その後2016年11月14日をボトムに上昇に転じ、他の主要資産のパフォーマンスを上回って上昇しています。米国の長期金利は足元2017年1月17日現在で2.3%ですが、世界高配当公益株式の2016年12月末の配当利回りは4.7%と相対的に魅力的な水準です。

 

 

注目ポイント

・ 過去の実績では、米国の長期金利上昇時の米国公益株式のパフォーマンスをみると、金利上昇直後は下落する傾向が見られましたが、その後、利益の回復、増加とともに株価は上昇する傾向が見られました(図表3-1、3-2参照)。

・長期金利上昇当初に下落し易い傾向がみられる背景には、

(1)発電所などの建設のためなどの借り入れに伴う利払い負担が増加する懸念、(2)資産やキャッシュフローの現在価値が低下すること、(3)相対的な配当利回りの魅力が低下することなどがあげられます。

・ その後上昇する傾向が見られる背景には、

(1)借り入れコストはタイムラグをおきながらも電力料金に価格転嫁されること、(2)金利上昇の背景ともなるインフレ率の上昇は、電力料金などの公共料金引上げの算定ベースにもなっており、利益、配当の増加につながること、(3)利益・配当の増加は配当利回りなどのバリュエーション(投資価値評価)の魅力を高め、株価が上昇する傾向が見られることなどがあげられます。

詳細編
米国金利と米国公益株式~イールド・カーブのフラット化に注目

米国では2015年12月に利上げを開始し、2016年12月には追加利上げを実施しました。今後も追加利上げが予想されています。景気回復を伴う緩やかな金利の上昇は、公益株式にプラスに働きます。景気回復・インフレ率の高まりなどにより、実際に量的金融緩和終了に次いで、政策金利の引き上げが行われると、短期債利回りは上昇しています。この際には長期金利は既に織り込み済みであることが多く、利上げがあっても上昇しない傾向も見られます。こうした局面は公益株式にとってはプラスとなります。

なぜならば、短期金利は通常物価上昇とともに上昇するため、公共料金を値上げすることになる一方、長期金利が低下あるいは短期金利以上に上昇しない(イールドカーブがフラット化する)局面では、借入れコスト負担が(相対的に)減り、公益企業の収益にプラスとなるためです。

一方、急激な長期金利の上昇は公益株式にとってマイナスとなります。

2013年5月の米国金融緩和縮小の発表を受けて、米国の長期金利は一旦大きく上昇したあと2014年に入ってから2015年1月末にかけては低下してきました。一方、短期金利は上昇してきました。こうした環境(長期金利低下による借入れコスト負担減と短期金利上昇(物価上昇)による公共料金値上げ)は米国の公益株式にとってプラス要因となり株価は堅調に推移しました。(図表4-1、4-2参照)

2016年には公益株式は長期金利の上昇で市場平均を下回って推移し、米大統領選直後も長期金利が大きく上昇し公益株式は一時下落しました。その後足元では長期金利がやや低下し短期金利が上昇することでイールドカーブがややフラット化する局面が見られ(図表4-3参照)公益企業にとってプラスとなっています。

2004年-2007年の米国公益株式の上昇時にもイールドカーブがフラット化

過去の例をみると、米国ではITバブル崩壊後の景気後退局面を経て2004年6月に利上げを開始していますが、その後米国公益株式は続伸しました。世界の高配当公益株式も米国の公益株式の上昇が寄与しバブル崩壊前の高値を更新し上昇しています。

この時期の米国国債のイールドカーブの形状変化をみると、利上げ開始後、2004年6月から2007年12月にかけては米国長期金利は低下する一方、短期金利は上昇し、フラット化しています。(図表4-2、4-4参照)

(※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。)

詳細編
過去の米国金利引き上げ時の公益株式~
市場をアウトパフォームした2004年の要因

過去の実績では米国の公益株式は、米国の利上げ開始後1年ほどのタイムラグをおいて、市場をアウトパフォームする傾向が見られました(図表5-1参照)。

この背景には、公益株式は利上げ前から利上げによる調達コスト負担増やバリュエーション(投資価値評価)の調整などを織り込み、市場をアンダーパフォームする傾向が見られ、マイナスの影響を織り込んだ後は業績の改善とともに、市場をアウトパフォームしています。

サザン(米国、電力)などの規制下の事業比率の高い公益企業では利上げによる金利負担はタイムラグをおきながらも公共料金に上乗せされ利益は安定する傾向が見られました(図表5-2参照)。

また、米国の公益株式が市場をアウトパフォームした2004年の米国の利上げ時の環境を振り返ると、(1)政策金利引き上げで期待インフレ率が抑えられ、長期金利が大きく上昇しなかったこと、(2)米国債利回りの長短スプレッドが縮小傾向にあったこと、(3)米国の公益株式の配当利回りが国債利回りと比較して高い水準にあり公益株投資の魅力が高かったこと、(4)ドル安となりエネルギー価格が上昇し、電力価格の上昇率も高かったこと、(5)M&Aが活発化していたことなどがあげられます。 (図表5-3、5-4、次頁6-2参照)

2004年の引き上げと今回の引き上げ時の状況を比較すると (1)に関しては期待インフレは高まりつつあるものの大幅に上昇はしていません、(2)に関しては長短スプレッドは足元拡大していますが利上げ前と同水準となっています、(3)配当利回りは相対的に高い水準となっています、(4)「エネルギー価格が上昇し、電力価格の上昇率も高かった点」に関しては、今回は、ドル高に加え原油の供給過剰で原油価格は低迷してきましたが、足元では反発しています、(5)のM&Aは金額ベースで2004年、2005年の水準を上回っています。

原油価格上昇局面では、エクセロン(米国、電力)のような自由化市場での事業比率が高く、エネルギー価格の変動の影響を受け易い、業績改善が期待される銘柄に着目します(図表5-5参照)。一方、原油価格が低迷し、景気が悪化した局面では公益株式の中でもサザンのような規制下の事業比率が高く、業績が公益の中でもより景気に左右されにくい銘柄に着目します。

(※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。)

 

詳細編
長期金利の上昇は公共料金を決定する指標の水準を引き上げ、利益増要因に

世界の主な規制下公益企業の電力、ガス、水道料金は企業が投資した資本に対する利益を確保できる水準やインフレ率などをもとに決定されます。この算定ベースとなるのが、株主資本利益率(ROE)ですが、ROEは、10年国債利回りと高い相関を示します。利回りが相対的に高い水準で常態化する局面では、ROEも高水準となり、利益が増加する要因となります。実際長期金利上昇局面では電力価格の上昇や利益の増加が見られました。(図表6-1、6-2参照)

企業寄りの共和党が優位な政権下ではエネルギー政策促進、規制緩和が進む傾向

これまで米国の民主党優位の政権では、「環境問題への取り組み」が積極的に行われてきました。一方、企業寄りの共和党のトランプ大統領はエネルギー政策の促進や環境政策に関して規制緩和を唱えており主な公益企業にとってもプラス要因になると見ています。

過去の大統領選挙前後の公益企業に影響する事象をみてみると、クリントン氏の民主党政権(1991年~2000年)下では、施行されていた新資源リビュー(NSR)(既存の発電施設の取替や改修を行う際に排出規制の達成を義務付ける法律)が、公益企業にとってコスト負担となり、足かせとなっていました。

2000年11月の大統領選の前には、共和党のブッシュ候補が、この規制に関して、古い箇所だけの取替えや耐用年数の延長を認めるなど民主党のゴア候補よりもより緩和的な規制を掲げていました。

また、民主党クリントン政権下で1994年以降の上院・下院で共和党が過半数を占めていた時期には、米国での電力自由化なども共和党が中心となって推進されていました。このため共和党政権になった場合の規制緩和的な政策は公益企業にとってプラスとの見方もあり、大統領選が行われた2000年の米国の公益株式のプラス要因となりました(図表6-3参照)。

(※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。)

詳細編
中期的にはインフラ投資拡大、インフレ率上昇は業績、株価のプラス要因

中期的には、

1)トランプ大統領が提唱する10年間で1兆ドル(約110兆円)という巨額の規模のインフラ投資の拡大は、公益、パイプライン、運輸等、各セクターの将来の成長をけん引すると考えられること、

2)トランプ共和党政権が進めると期待される規制緩和が事業拡大の機会をもたらすと期待されること、

3)規制下で事業を展開する企業は、インフレ率の上昇は、電力料金をはじめとした公共料金の算定ベースの上昇をもたらすことなどから増益が期待されること、

4)送・配電事業などは、特に景気循環の影響を受けにくく、利益の透明性が極めて高い事業であることから注目されると見られること、などが今後公益企業の業績や株価にプラスとなるものと見られます。

トランプ政権の公益関連政策は様々なインフラ投資拡大を支持する現実的な方向へ

トランプ大統領は2020年以降の温暖化対策「パリ協定」を「地球温暖化は信憑性がない」として、離脱すると宣言し、石炭業界の再生と環境規制の撤廃を提唱しています。政策が偏っていることは確かですが、それは、石炭火力発電業界に大きな恩恵をもたらすものでも、風力や太陽光発電などの再生エネルギー事業に破壊的な打撃を与えるものでもないはずです。トランプ政権の電力・公益インフラ政策は、これまでの発言に沿ったものになるとするなら、あらゆる種類のインフラ投資拡大を支持する中道派色の強いものになると思われます。ピクテがトランプ大統領のエネルギー政策の枠組みに詳しい筋からの情報等に基づいて想定した、公益企業への影響の概要は以下の通りです。

米国環境保護局(EPA)が制定した「クリーン・パワー・プラン」(CPP)の廃止と、規制を通じた気候変動対策の大幅な縮小は、トランプ大統領の明確な公約です。トランプ大統領及び共和党は既存の原子力発電、新設の原子力発電ともに信頼できる電源として支持しています。環境規制の撤廃は唱えていても、風力・太陽光発電自体を反対している訳ではありません。このためトランプ政権は、原子力エネルギーを支持する公算が高く、再生エネルギーに関連する現行の優遇税制を強引に変更する公算も低いと思われます。太陽電池等のエネルギー貯蔵技術の研究・開発(R&D)も支援するかもしれません。

また、再生可能エネルギーの定義に原子力発電ならびに水力発電を含めるよう、連邦法ならびに州法の改正を推進する可能性が考えられます。直近では共和党が有力なイリノイ州やニューヨーク州ではエクセロン(米国、電力)の原子力発電の補助金継続の認可などがおりており、同社の株価にプラスとなっています。

また、配当可能利益の大半を投資家に分配することで、税制面での優遇措置が受けられるマスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)適格資産の定義が、再生エネルギーならびに原子力・電力送電を含むものに拡大される可能性があるとのことです。

再生エネルギー関連のインフラ投資は、現行の優遇税制や、州毎に規定される「再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(RPS)」に支えられ、複数の地域で、経済的に自立しつつあり、2020年までには、化石燃料に比べ、コスト面での競争力が大きく改善される公算が高く、また、現行の優遇税制に替わってMLP適格資産としての地位を得ているかもしれません。

当ファンドの上位銘柄である北米の再生エネルギー最大手ネクステラ・エナジーなどは地球温暖化の原因のひとつとされる二酸化炭素削減に向けた再生可能エネルギー促進のための税額控除などの恩恵をうけてきたため、大統領選後、株価が大幅に下落していますが、2020年までに既に決定している税額控除等は維持され、政策に沿った事業に方向転換する余地もあり、逆に政策転換が有利になる可能性もあることから、引き続き注目しています。

共和党トランプ大統領、エネルギー政策にて規制緩和を提唱

共和党トランプ大統領は、大統領選前の2016年5月26日にエネルギー政策を発表し、大統領に就任後100日以内に実行するとしています。

トランプ大統領が提唱するエネルギー政策は、更なる化石燃料の生産拡大と環境規制の緩和です。

(※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。)

世界高配当公益株式の注目点(1):魅力的な配当利回り

2016年12月の主要資産の利回りは上昇しているものの、依然2008年に比べて低い水準にあります。一方、世界高配当公益株式の配当利回りは当時を上回っており依然魅力的な水準です。

世界高配当公益株式の注目点(2):魅力的な配当利回り

公益株式は、株式のなかで相対的に時価総額が大きく、流動性、配当利回りも高く安定的な業績が見込まれる銘柄群です。

・2016年12月の主要資産の利回りは上昇しているものの、世界高配当公益株式の配当利回りは相対的に高い水準となっています。

・こうしたなか、世界高配当公益株式の配当利回りと世界国債利回りの利回り差異は過去最大水準となっており、利回り差異でみると世界高配当公益株式に投資妙味があります。
利回り差異:世界高配当公益株式配当利回り-世界国債利回り

・過去の実績では、利回り差異が大きい(配当利回りが債券利回りより高い)時には世界高配当公益株式のほうにより投資妙味があり、その後株価は利回り差異が縮小し低水準をつけるまで上昇する傾向が見られました。

・利回り差異が小さい(あるいはマイナスの)時には世界高配当公益株式のほうの投資魅力が少なく、その後株価は利回り差異が拡大し高水準をつけるまで下落する傾向がみられました。

(※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。)

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