今後5年間のグローバル投資環境 ~分散投資と機動的なアセット・アロケーションが必要 | ピクテ投信投資顧問株式会社

今後5年間のグローバル投資環境 ~分散投資と機動的なアセット・アロケーションが必要 グローバル

2018/07/12グローバル

ポイント

世界の経済成長率は年率3%以下に低下する一方、インフレ率は上昇する見通しです。先進国よりも新興国に高い成長が期待できるものの、従来運用の柱であった債券投資のリスクが高まっています。期待リターンが低下する状況下、今後は従来には無かった投資対象を検討する必要があります。今後の運用の柱として分散投資とともに、ピクテのタクティカル・アセットアロケーションに注目します。

 

先進国の経済成長率は鈍化するが、新興国は引き続き高い成長

国際通貨基金(IMF)によると、2018年4月発表の世界の経済成長率は2018年、2019年ともに3.9%成長と予想しています。これを先進国と新興国に分けた場合、2018年は先進国が2.5%成長に対して新興国は4.9%成長、同様に2019年はそれぞれ2.2%と5.1%予想となっています。このように、先進国の成長が鈍化する一方で、新興国の成長が加速する見通しとなっています。(図表1参照)

先進国の中では相対的に成長率が高い米国については、2018年の2.9%成長から2019年は2.7%となる見通しであり、ユーロ圏と日本も同様に、それぞれ2.4%から2.0%、1.2%から0.9%に鈍化する見通しとなります。一方、新興国の中では中国が2018年は6.6%、2019年が6.4%となり、引き続き高い成長が見込まれるものの、ピークアウト感が強まっています。

 

イールドカーブが米国の成長率の低下を示唆

米国の経済成長率の見通しは、イールドカーブから推定することができます。図表2の緑色の折れ線グラフは、米国の実質経済成長率の加速度を示していて、成長率のトレンドからの乖離で表しています。灰色の折れ線グラフは、米国国債のイールドカーブ(長短金利差)を5年先行させていて、米10年国債と2年国債の利回りの差を示しています。1990年から米国の経済成長ペースとイールドカーブを比較すると、両者は概ね同じ方向に推移しています。

2015年末以降、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利の引上げを行い、2018年6月末までに、通算7回実施していて、今後とも継続した利上げが見込まれます。一方、米長期金利は2016年の1.3%近辺の史上最低水準から上昇し現状の3%近辺での推移が見込まれます。結果として、イールドカーブがフラットニングして灰色のグラフは右肩下がりとなり、そのため今後の米経済成長率も鈍化する見通しです。

 

先進国の労働生産性の伸び率および労働人口の伸び率が鈍化

経済協力開発機構(OECD)に参加する国々の労働生産性は長期的に上昇してきましたが、近年伸び率が鈍化しました。(図表3参照) 労働生産性を示す緑の折れ線グラフは対数グラフのため、上方に行っても傾きが変わらない場合、伸びが鈍化していることを示します。

 

常識的に考えるとIT革命やAIの導入等によって、労働生産性は引き続き伸びていくイメージがあります。ところが、一部の最先端の分野では飛躍的に労働生産性が向上している一方、多くの国では低い労働生産性の労働も増えていることを示しています。

また、世界の労働人口の増加率を見ると、1980年代にピークをつけ、その後は概ね低下しています。(図表4参照)

 

 

 

日本の労働人口は2000年にピークを付けましたが、日本より前にドイツ、フランス、ロシアといったヨーロッパ諸国がピークアウトしています。今後は、中国の労働人口が減少に転じる見通しです。
このような労働人口の伸び率の低下は、マクロ経済面に影響を与えます。労働人口の伸びが低下すると、働き手が減って、より高い人件費をかけないと労働者が確保できなくなります。この人件費の上昇が必ずしも製品やサービスの価格に転嫁できない場合は、利益率が低下して企業業績の低下につながる可能性があります。

 

今後の経済成長率とインフレ率についてのピクテ予想

図表5は、ピクテが予想する今後5年間の実質経済成長率とインフレ率を表しています。冒頭に説明したIMFの2018年と2019年の成長率を四半期毎に予想を見直しているのと比較して、このピクテの予想は中長期的な平均値を示しています。全般的な姿はIMFと同様で、世界経済をけん引するエンジンは新興国であり、先進国は相対的に低い成長率となっています。
一方インフレ率を見ると、今後は米国、ユーロ圏や日本といった先進国のみならず、中南米の新興国では経済成長率を上回る伸びが予想されます。低成長下における相対的に高いインフレ率によって、このような諸国における企業業績の伸びが悪化する可能性があります。

 

 

債券投資のリスクが増大するため注意が必要

図表6上段の緑の折れ線グラフは世界国債の利回りの推移を示していて、4%以上の水準から低下して現在ではかなり低い利回りとなっています。反対に、灰色のグラフはデュレーションを表していて、6年程度から8年以上に上昇しています。デュレーションとは、金利水準の変化に対する債券価格の感応度のことです。直近の例では、もし市場金利が1%上昇する場合、デュレーションの8年を掛けて債券価格は8%下落することとなります。
この債券価格の下落を金利収入で埋め合わせるのに必要な年数を示しているのが、図表6下段の灰色のグラフです。現在の状況では、1%の市場金利の上昇による債券価格の下落を取り戻すために約5年必要になることが分かります。このように、債券利回りが低い現状において、債券投資を行う場合には十分注意することが必要です。

 

ピクテのモデル:低下する先進国株式の期待リターン

図表7の折れ線グラフは、米国株式に5年間投資した場合のリターンの推移を、ピクテのモデルで推測したものです。緑で網掛けされている部分が推計リターンの範囲を示していて、実績値は濃い緑の折れ線グラフで表しています。このモデルの前提条件は、今後5年間の米国の実質経済成長率が平均1.8%、同様にインフレ率が2.6%、2023年の米10年国債利回りを3.5%としています。
過去の推移では、米国株式に5年間投資したリターンは概ね推計リターンの範囲内に納まっています。現在、米国株式の5年リターンは10%を超えていて、十分魅力ある投資対象となっています。一方、今後の推計リターンは低下が見込まれ、米国景気次第ではマイナスのリターンも想定されます。

 

 今後の投資先:新興国の情報技術関連企業に注目

米国株式の期待リターンの低下が予想される環境下、相対的に経済成長率が高い新興国の株式に注目します。最近の新興国の株式が、どのような要因によって動いているのかを示しているのが右のグラフです。これは、新興国株式のベータ値における、情報技術、金融、エネルギーおよび素材といったセクターの比率の推移を表しています。すなわち、新興国の株式はどのセクターの動きに最も反応しているかということです。

新興国というと資源やエネルギーの産出国というイメージが強いですが、えんじ色の折れ線グラフがエネルギーと素材セクターとの関連を見ています。確かに、2010年頃までは、エネルギーや素材セクターと密接に関連していましたが、最近この比率が急速に低下しています。つまり、新興国株式は「市況離れ」になっていると言えます。反対に、関連が急速に強まっているのが情報技術セクターです。このように、新しいテクノロジーに関連するIT関連企業が新興国で増えていることに注目する必要がありそうです。(図表8参照)

 

 

今後5年間の予想リターン

ピクテが予想する今後5年間の円建ての予想リターンが以下のグラフです。左から予想リターンの高い順に並べていますが、相対的に経済成長率の高い新興国の株式市場が上位に並んでいます。また、日本を始めとして先進国株式市場も決して悪いリターンではありません。一方、グラフの真ん中より右側の国債市場のリターンは極めて低くなっています。また、グラフの右端のオルタナティブ投資のうち、プライベートエクイティやゴールドも魅力的な水準となっています。加えて、世界のインフレ率予想2.7%も勘案して、投資すべき対象を選別する必要があります。(図表9参照)

 

 

投資行動:期待収益率の低下は不可避な状況

ここまで投資環境ならびに資産ごとのリターンを確認しましたが、今後の期待収益率の低下は避けられない状況です。図表10は、キャッシュすなわち短期金融資産を保有した場合および国債、株式、ならびに株式と債券を半分づつ持った場合の、1950年以降、過去5年間、今後5年間の予想、今後10年超の予想を色分けして示しています。
このように比較して見ると、だんぜんリターンが高かったのは株式でした。過去5年間で年率9.7%のリターンは非常に高い水準です。債券の過去5年間の1.0%も決して悪くはないですが、今後の5年間の予想がマイナス1.9%となるため投資対象になりません。また株式と債券を半々で持つポートフォリオの場合、過去5年間は5.3%と相対的に高かったものの、今後5年間はマイナスとなっています。

 

 

長期成長テーマとオルタナティブ投資

今後5年間の期待収益率が大幅に低下する見通しのなかで、安易に収益率目標を下げるのではなくて、相応のリターンを得るにはどんな点に注目すべきかについて説明します。まずテーマ株投資が挙げられます。図表11は、2008年1月を100として、MSCI世界株式のうち10業種を指数化したものです。ここ数年間だけ見た場合、どのセクターも良好なパフォーマンスであることが分かります。その中でも、情報技術、ヘルスケア、ロボティクスに代表される資本財といった業種の上昇率が高くなっています。今後、期待収益率を高めるうえで、景気循環だけではなくて構造的な利益の伸びが期待できるテーマ株を中核に据えて長期投資を検討する可能性があります。

 

また既に確認しましたが、オルタナティブ投資のうちプライベートエクイティは相対的に高い予想リターンでした。図表12が、プライベート・エクイティと上場株式市場への資金の流入状況を表しています。株式市場への資金の出入りは相当上下にぶれていますが、プライベートエクイティ市場には安定的に資金が流入していることが分かります。これはプライベートエクイティに投資して、ある程度流動性を犠牲にするものの、高い収益率を目指す運用が拡大していることを示しています。

 

ピクテのアセットアロケーション~タクティカル・アセットアロケーションにも注目

これまで見てきたように、今後は先進国の成長率が鈍化して、株式や債券の期待収益率の低下が見込まれます。一方、国や地域によっては、経済成長率を上回るインフレ率になる恐れもあります。このような環境下、ピクテが提案する分散投資とアセットアロケーションを図表13で示しています。

①スタートは、株式50・債券50のバランス型ポートフォリオ、リスクは9%あるものの、期待リターンはゼロ近辺。
②アセットアロケーションを変更し、株式60・債券40の比率とすると、リスクが10%に上昇してリターンが0.7%に上昇。
③次に、株式と債券それぞれの10%を新興国に入れ替えるとリスクが11%まで上昇し、リターンも2%まで上昇。
④株式の10%を長期成長テーマ型投資に入れ替えると、リスク水準は横ばいでリターンは少し上昇。
⑤債券の10%を絶対収益型に入れ替えて、更なるリターンの改善を図る。
⑥インフレ対策および分散投資の観点からゴールドを10%組入れると、期待リターンは3%程度まで上昇。
⑦最後にタクティカル・アセットアロケーションを導入して、下値リスクの回避を図る。

各資産の期待リターンの低下が見込まれる環境下において、伝統的な投資手法である、株式と債券の分散ポートフォリオはリターンを生まなくなっています。そこで単純に株式の比率を高めても、リターンはやや上昇するもののリスクも大きくなります。更なるリターンを追求するために、新興国の相対的に高い経済成長率に着目して、株式と債券それぞれの新興国の組入れを増やすと、リターンは改善するもののリスクも上昇します。

ここからは、いかにしてリスクを抑えつつリターンの向上が図れるかがポイントとなります。まず、株式の一部をテーマ型投資としてより高いリターンを狙うとともに、債券部分も絶対収益型を組み入れて幅広く超過収益の獲得を目指します。また将来のインフレ率の上昇に備えて金を組入れることによって、ポートフォリオの分散が進んでリスクは低下します。最後に、将来的な市場の大幅な下落に備える観点から、タクティカル・アセット・アロケーションを通じて
下値リスクの回避を目指します。

このような分散投資、ならびにアセット・アロケーションに注目する必要があるとピクテは考えます。

(※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変更される場合があります。) 

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。


関連レポート

一覧へ

ページの先頭へ戻る