ジャクソンホール会議で示されたパウエルFRB議長の方針 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ジャクソンホール会議で示されたパウエルFRB議長の方針 グローバル 先進国

2018/08/29グローバル

ポイント

パウエル議長のジャクソンホールでの講演で、これまでの定期的な利上げが来年まで継続する見通しです。また、グリーンスパン元議長の政策を踏襲する意向が表明されました。

カンザスシティー連銀が、ワイオミング州ジャクソンホールで開催した年次の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)のテーマは、「変化する市場構造と金融政策への影響」でした。ところが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演内容が、このテーマを含んでいなかったことに注目が集まりました。

弁護士であるパウエル議長は、代わりに参加者がより興味を持つ分野について言及しました。つまり、米国の金融政策を決定するにあたり、経済モデルにおいて、例えば「自然失業率」をu*といった星印で表わすように、様々な指標が不確実であることを話しました。つまり恒星が近くに見えて実は遠い場所にあるように、「中立金利」や「自然失業率」といった指標は不確実との例を示しました。同議長は、現状はこのような不確実な経済モデルでも、慎重な金融引締め政策の裏付けになると結論付けています。この金融引締め策は、イエレン前FRB議長の理論を、パウエル議長が「リスク管理」アプローチと呼んでいるものです。

最終的な結果として、パウエル議長は、米金融政策はまだ道半ばであり、現実的な政策遂行を目指していることを強調し、米国内経済の堅調さを示す最近の経済指標にもかかわらず、FRBは従来通りの金融政策を継続することを示唆しました。別の表現では、現行の四半期ごとの0.25%の政策金利の引き上げを行う、定期的な金融政策を目先継続する見通しです。そのため、9月26日に予定されている次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定会合において、追加の0.25%の利上げを行い、政策金利の上限が2.25%となる可能性が高まりました。

米政策金利見通し:FRB予想(灰色)、市場予想(青)(%)

  

パウエル議長の金融政策は、グリーンスパン元議長の時代を踏襲

パウエル議長の講演の要旨のうち、FRBの金融政策はアラン・グリーンスパン元議長の政策を踏襲していることに触れたことが目を引きました。重要なことは、以下の鍵となる事項によって政策を実行していることです。①理論上の中立的金利水準は低水準とみなしていて、利上げは限られていること、②低い期待インフレ率と、イエレン前議長の時から続く非常に低い平均賃金の伸び率を勘案すると、失業率が低水準にもかかわらず、継続的な金融引締めが可能であること、③生産性の低い伸び率も、今後の政策金利の引き上げの可能性を制限すること。これは、グリーンスパン元議長が、生産性の伸びに対して、より楽観的であったことと対照的です。

グリーンスパン元議長の政策を踏襲する観点から、パウエル議長は、将来の資産バブルといった市場の混乱に対して、金融政策が立ち向かうものではないことを強調しました。つまり、特に政策金利の上げ下げといった金融政策は、金融システム管理の最後の手段として使うべきとの見解です。実際、パウエル議長の講演で最も驚かされた部分は、12回も言及したグリーンスパン元議長への称賛でした。任期の後半にサブプライム・ローンのバブルが形成され、後継者のバーナンキ元議長の時代にこのバブルが崩壊し、以前には2000年から2001年にかけてのITバブルの形成と崩壊に、グリーンスパン元議長の責任を問う声があるのも事実です。

FRB:GDP成長率予想(年率、%)

  

左から順に、赤の棒グラフ:2017年9月時点、灰色の棒グラフ:2017年12月時点、青の棒グラフ:2018年3月時点、えんじの棒グラフ:2018年6月時点

コア・個人消費支出(PCE)インフレ率(年率、%)

  

左から順に、赤の棒グラフ:2017年9月時点、灰色の棒グラフ:2017年12月時点、青の棒グラフ:2018年3月時点、えんじの棒グラフ:2018年6月時点

FRBの次の政策は

パウエル議長の講演によると、当面は段階的な利上げが適切であるとの見解です。また、FRBは目先のグローバルな貿易摩擦に対して、あまり気にしていないようです。パウエル議長の講演内容は、米国の国内問題に集中していて、意図的に貿易問題については触れていませんでした。地区連銀総裁の何人かは、トランプ大統領の貿易相手国に対する脅しは見せかけと発言していますが、パウエル議長は過去において、米国の経済指標が悪化するならば貿易問題に深刻に取り組む必要が出てくるものの、今はその時ではないと発言しています。

米実質政策金利~インフレ調整後の政策金利は、まだ非常に低い水準(%)

  

実線(赤):実質政策金利(%、コアPCEインフレ率を差し引く)

FOMCの投票権を持つメンバーと政策スタンス

  

FRBの注目指標

コア・インフレ率(個人消費支出(PCE、赤線)、消費者物価指数(CPI、灰色)、前年比、%)

  

失業率(%)

  

平均時給伸び率(製造業(赤線)、全産業(灰色)、前年比、%)

  

実質GDP(灰色)・実質個人消費(赤)伸び率(前年比、%)

  

ISM製造業景気指数(赤)・非製造業景気指数(灰色)

  

米ハイイールド債券スプレッド(ベーシス・ポイント)

  

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

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