グローバル・マーケット・ウォッチ:出張報告 中国ヘルスケア・セクターの投資の機会と課題 | ピクテ投信投資顧問株式会社

グローバル・マーケット・ウォッチ:出張報告 中国ヘルスケア・セクターの投資の機会と課題 グローバル 新興国 バイオ医薬品

2018/10/29グローバル

ポイント

ピクテ新興国株式運用チームのアン・マルホーランドは、中国・韓国両国のヘルスケア・セクター投資の可能性を探るため、実態調査の旅に出かけました。以下で紹介するのは、アンの出張報告です。

中国古来の東洋医学を経験

近代的な北京医院の見学ツアーでは、東洋医学部門を見たいと頼んでみました。多くの西洋人がそうであるように、私も東洋の風変わりな治療法に興味をひかれる一方で、信用できるかどうか疑わしいとの思いを拭えなかったからです。

「時差ボケの薬はありませんか?」と冗談半分で聞いてみたところ、私の質問を真に受けた中国人のお医者さんはその場で問診の時間を取り、処方薬の入った二つの小瓶をくれたのですが、私が最も驚いたのは、案内役を務めてくれたミレニアル世代の広報担当者が私の質問に対して示した反応です。東洋医学を試してみたいなんて全く信じられないというそぶりがありありと見て取れました。広報担当者が例外だったというわけではありません。西洋人が中国の伝統的な治療法に関心を示すことに、中国のミレニアル世代は、一様に、驚いた様子でした。

広報担当者の反応の根底には、国民全体が一丸となって西洋医学を取り入れるのだという強い意識があるのではないかと考えます。中国の膨大な人口は、年々豊かになってはいても、医療の恩恵に十分に浴しているとはいえず、最新の治療を求めて巨大な市場を形成しています。 上海、北京、香港、ソウルを巡る今回の出張では、中・韓両国のヘルスケア・セクターのバリューチェーンを構成する約30社を訪問しました。

写真:中国の病院で行列する患者

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

中国のヘルスケア・セクター:投資の好機

中国は、持続的かつ自給自足のヘルスケア制度を必要としており、これを切望しています。このような制度を手に入れる過程で、中国は、ほぼ間違いなく、世界のヘルスケア市場を率いることになると思われます。中国の望みを満たすことが喫緊の課題であることは、「伝統的な」医薬品企業にとっては勿論のこと、バイオ医薬品企業にとっても明らかです。

患者数は数知れず、医療ニーズは計り知れません。病気の種類を問わず、患者数は圧倒的多数に上ります。がんは2010年以降、死因の一位を占めています。昨年は、400万人ががんと診断され、200万人以上が死亡しました。罹患数が最も多いのは肺がんで、胃がんと肝臓がんがこれに続きますが、3つのがんを合わせた患者数を国別に見ると、中国が世界全体の半数以上を占めています。また、糖尿病患者は1億人、高血圧症を患う患者は2億人にのぼり、新規に脳卒中を発症する患者も年間200万人を上回ります。

(膨大な患者数に比べれば)さほど目立たないにしても、問題はこれに留まりません。患者一人当たりの医師数が不足していることや診察時間が短すぎることも危険な兆候です。更に、過剰診療(処方)や薬剤耐性菌感染症も珍しくありません。あるバイオ医薬品企業の最高財務責任者(CFO)が指摘していたのは、中国を含む世界各国で超多剤耐性菌が多数発見されれば、短期間のうちにまん延する公算が高いということです。

患者に必要な薬と医療サービスを届けるには、「医療アクセス」及び「妥当な医療費」(中国語表記では「看病難」及び「看病費」、診療を受けるのが難しく、受けられても医療費が高い状況を指す)という二つの大きなハードルを克服しなければなりません。政府は、新薬の迅速な承認と医療費還付制度の改善でこれに対応しています。

医療アクセス(「看病難」)の改善:誰もが勝者となる

患者に必要な医療が最も行き渡っていないのは、がん、自己免疫疾患、心臓病の3つの分野で、この他に、中国の診断率が世界平均を大きく上回る眼科疾病や精神疾病が挙げられます。医薬品企業にとって恐らく最も有望だと思われるのはがん市場です。中国のがん患者が最新のがん治療を受ける機会は未だ限定的で、米国で承認済の105の標的療法のうち、現在、中国で受けられるのは僅か29療法に過ぎません。また、昨年、中国で施されたがん治療のうち、60%程度が「旧世代型」の化学療法で、米国の10%程度を大きく上回ります。

新薬や革新的医薬品の市場占有率(マーケット・シェア)獲得競争は極めてし烈ですが、見返りがあまりに巨額であることから、敗者は出ないと考えられます。(換言すると、誰もが勝者となる可能性が高いのです)。

“昨年、中国で施されたがん治療のうち、60%程度が「旧世代型」の化学療法で、米国の10%程度を大きく上回ります。”

妥当な医療費(「看病費」)

中国のヘルスケア制度には医療費の支払者が一人しかいません。理論的には、政府が全ての費用を負担することになっているからです。とはいえ、西側主要国のヘルスケア制度と同様、中国政府の財源が縮小する一方なのに対し、医療費を賄うための資金需要は拡大の一途です。従って、現実には、費用の一部を患者が負担せざるを得ず、場合によっては費用総額の90%を負担しています。

医療費抑制の根幹にあるのは、医療費還付の基準となる政府の「国家基本薬品リスト」で、現在、2,535の医薬品がリストに収載されています。医薬品がリストに収載されると、薬価或いは医療費還付の水準が入札によって決められますが、特に先発品や革新的医薬品の場合には、リストに収載される前の薬価が50%引き下げられることも珍しくありません。当リストは、これまで5年から7年ごとに見直されてきましたが、今後はより革新的な医薬品を収載するため、従来よりも遥かに頻繁な見直しが行われる可能性が高いと考えます。実際のところ、2017年に行われた最も直近の見直しでは、45品目が新たに収載され、約半数ががんの治療薬でした。なお、入札プロセスを回避できる医薬品は、高額医薬品、或いは、臨床ニーズが急を要する分野で初めて市場に投入される医薬品とされています。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

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