グローバル・マーケット・ウォッチ:米中貿易戦争:中国の景気対策は、なぜ成長見通しを助けるか? | ピクテ投信投資顧問株式会社

グローバル・マーケット・ウォッチ:米中貿易戦争:中国の景気対策は、なぜ成長見通しを助けるか? グローバル 新興国 米国 中国

2018/10/31グローバル

ポイント

中国の成長重視の金融・財政政策が、来年の実質GDP(国内総生産)成長率を押し上げると思われます。

米国の追加関税に対する中国の反応

中国の金融・財政政策は、米国の追加関税対策として、成長重視により軸足を置いたものとなり、来年の実質GDP(国内総生産)成長率を0.5%程度押し上げると思われます。もっとも今回の景気対策は、過去の金融緩和局面における施策と比べると、実現に時間を要し、大きな効果が期待できない可能性もあると考えます。

通商政策

中国は米国からの輸入品1,100億ドル相当に対する関税率を25%に引き上げる一方で、国内の輸入業者、企業、消費者を対象とした関税率は引き下げ、追加措置も計画しています。また、最恵国待遇(MFN)の国に対しては、11月1日実施の追加引き下げを予定しており、MFNの平均関税率を、現行の9.9%から7.5%に引き下げます。米国以外の国からの輸入品に対する税率を引き下げることで、米国の関税引上げの影響を被るMFNの負担軽減を図るものとみられます。

金融政策

中国は、4月以降、預金準備率の引き下げ(計250ベーシスポイント(2.5%))を通じて、明確なシグナルを発しています。7-9月期には、不動産や製造業の設備投資が加速しています。

“2019年3月までには、更に100ベーシスポイントの引き下げが予想されます。”

預金準備率の引き下げが金融緩和を示唆

中国の預金準備率(%、左軸)と消費者物価指数(CPI、%、右軸)の推移とインフレ目標(%、右軸)

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

財政政策

景気対策には、年間1.3兆元の減税の形を取った積極的な財政拡張策が含まれます。減税の規模は、2017年のGDPのほぼ2%に当たり、うち、5,000億元超は、10月1日実施の個人を対象とした所得減税です。

“2019年には追加の施策が予定されており、インフラ投資に対する財政支援、増値税(付加価値税)減税、法人税減税などが特に注目されます。”

課題は山積:資本流出、インフレ、債務圧縮

中国の金融・財政刺激策は、以下の3つの課題に直面しています。 ・米・中の金利スプレッド(米・中の10年国債利回り格差は40ベーシスポイントと7年ぶりの水準に縮小)ならびに資金流出リスク ・消費者物価指数(CPI、7か月ぶりの水準に上昇) ・過剰債務の圧縮:社会融資総量は過去最高を更新

資金流出リスクについては、既に資本規制で対応済みです。インフレ率の上昇については、短期的な現象に過ぎないと見ており、政府目標の3%以下に留まっていることからも深刻な懸念材料とは考えていないようです。また、過剰債務の圧縮については、目先の景気浮揚が最優先課題となっていることから、米・中貿易摩擦の鎮静化を待って再開されると見られます。

資本規制が奏功し、資金流出は低位に留まる

非居住投資家の資金フロー(年初来の資金フロー累計、10億米ドル)

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

中国のネットの資金フロー(年初来の資金フロー累計、10億米ドル)

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

中国の景気対策は、これまでのところ、効果を上げているように思われ、投資家も冷静です。資金流出額は9月に増加したとはいえ、政府の資本規制に因って、2017年12月の半分の水準に留まりました(上のグラフをご参照下さい)。更に、同期間の資金流入額は、前年同期の3倍に達しています(2つ上のグラフをご参照下さい)。

世界の主要株価指数による中国金融市場の組入れが予想されることに加え、中国の資金フローは、投資家が強い確信を維持していることを示唆しています。

 

ピクテ新興国株式チームの見方

アヴォ・オラ、(日本を除く)アジア株式運用チーム、ヘッド

上述の通り、米国の追加関税に備えた中国の景気刺激策の効果が現われ始めています。

中国政府は対ドルの中国元安のお陰で、景気対策の選択を先送りしてきましたが、このような状況が続くとは限りません。

中国政府が選択する公算の最も高い施策の中では、金融緩和策および財政拡張策が、通常、固定資産投資の追い風となるため、アジア株式投資戦略で組入れるセメントや鉄鋼等の建設関連株に着目した投資テーマが有望だと考えます。セメント株や鉄鋼株はバリュエーション面での魅力が高いことに加え、潤沢なフリー・キャッシュフロー創出力は、政府の環境規制強化に起因する供給ひっ迫を下支えとしています。

“供給サイドの構造改革の継続が予想される他、新たな景気刺激策が建設活動の追い風になると考えます。”

環境基準違反企業の操業停止後、鉄鋼業界の設備稼働率が上昇

中国鉄鋼業界の生産能力(左軸、百万トン)、需要(左軸、百万トン)ならびに設備稼働率(右軸、%)、2018年~2020年は予想

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

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