グローバル・マーケット・ウォッチ:新興国債券~嵐の後の投資の好機 | ピクテ投信投資顧問株式会社

グローバル・マーケット・ウォッチ:新興国債券~嵐の後の投資の好機 新興国債券 新興国 グローバル

2018/11/01グローバル

ポイント

新興国債券のファンダメンタルズは、2018年の市場の下げ後も引き続き魅力的です。

新興国市場は年初来、市場の動揺に見舞われてきましたが、今年の下げ局面は過去の危機時と比べて遥かに健全です。市場が全面安となっても、経済のファンダメンタルズは、多くの場合、健全さを維持しており、十分な情報を入手できる投資家には投資の好機が提供されています。

新興国債券市場の今年の下げ局面は過去の市場の動揺時とは異なって、世界経済の急激な悪化や、株式市場や資源価格の急落が引き金となって起こったわけではありません。新興国社債の発行増に起因するリスク、米ドル高がドル建て債務を膨らませた国に及ぼす影響、世界の流動性の持続的な縮小、米金利の上昇、(2017年の驚異的な市場の上昇がもたらした利益の確定を投資家に促すこととなった)米国発の貿易戦争の余波等、緩慢な動きを見せる脅威が相俟って市場の下げを引き起こしたのです。

底値買いの基盤

新興31ヵ国の通貨バスケットの相対価値(対ドル、貿易非加重)と過去のトレンドからの乖離幅(標準偏差、%)

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

昨年の新興国債券市場の急騰は、力強い経済基盤を背景に展開されました。新興国経済は、債務を削減し、資源あるいは海外からの資金流入への依存を減らし、内需志向を強める中で、かつてないほどに国民の富が増し、生産性が改善していたからです。とはいえ、ドル建て新興国債券や新興国通貨建て新興国債券等、一部の新興国資産クラスのバリュエーションはあまりにも大幅かつ急速に上昇していました。このような状況下、トランプ大統領が世界貿易を巡る緊張を強め始めた時点で、投資家の懸念は、米国の関税引上げの影響に留まらず、経済成長の脅威となり得る国内要因にも及んだのです。

その結果、多くの新興国通貨に対して米ドルが急騰しました。

確かに新興国債券や新興国通貨に対する市場の再評価の一部は正当化されました。貿易を巡る不透明感が強まる環境下、新興国の成長見通しは下方修正され、新興国と先進国の成長格差は拡大していません。また、この間、新興国は、米連邦準備制度理事会(FRB)の持続的な金融引き締め(金融緩和の巻き戻し)に対する調整を迫られています。

とはいえ、市場の上昇が度を越していたのと同様に、その後の下げも行き過ぎでした。景気の先行きは以前ほど明るいとは言えないにしても、経済成長はプラス圏に留まっており、新興国経済のファンダメンタルズは底堅さを維持しています。政府債務残高は低位に留まり、国際収支や外貨準備は良好で、内需も堅調です。

魅力的なリスクプレミアム

中国の状況が懸念されます。トランプ大統領の対中政策が世界貿易の崩壊につながる状況が予想し難いのは、大統領が財政支出の拡大を決めれば、経常赤字の一段の拡大を引き起こす公算が高いからです。また、米国の対中貿易の殆どは、輸出競争力の高い中国以外の新興国との貿易で代替される公算が高いと思われます。

一方、人民元は、年初来、対ドルで8%減価しており、トランプ政権が賦課した10%の追加関税の影響をほぼ相殺しているため、中国の輸出業者には殆ど影響が及んでいません。ピクテのエコノミスト・チームは、対米輸出5,000億ドル分に対する追加関税が100%実施されたとしても中国のGDPは1%強押し下げられるに過ぎないと試算しており、現状では、0.25%の押し下げに留まると見ています。

新興国の政策立案者は、利上げや赤字削減を通じた財政基盤の強化等、総じて、入念に検討した施策を導入することで難局に対処してきました。この間、変動為替レートも市場の動揺を抑える一助となりました。その結果、大方の新興国が市場の嵐を無傷で乗り切っています。新興国の最も直近の景気先行指標は、四半期移動平均ベースで改善に転じており、過去3年平均を遥かに上回っています。

もっとも、巨額のドル建て赤字を抱え、国際収支がぜい弱な新興国は例外です。経常赤字が膨れ上がり、海外からの資金流入に過度に依存するトルコとアルゼンチンは困難を極める状況です。両国経済の不均衡を懸念した投資家が資金を引き揚げた結果、通貨が暴落し、物価が高騰したため、中央銀行は利上げを余儀なくされたわけですが、利上げは市場の動揺を抑えるには足らず、経済成長を抑制したため、経済の下方スパイラルを煽る結果となりました。

“市場の上昇が度を越していたのと同様に、その後の下げも行き過ぎでした”

相次ぐ国政選挙がブラジルに限らず新興国全域で状況を一段と複雑にしていますが、新興国資産クラスの暴落の規模や範囲を正当化する要因は見当たりません。市場の暴落による価格調整はアクティブ・マネジャーに投資の好機を提供しています。南アフリカやメキシコ等、成長見通しが良好で経済が健全な国の通貨と債券は、再び、割安感を強めています。

新興国債券のリスクプレミアムは、総じて魅力的です。

1990年代後半のアジア通貨危機を教訓として、多くの新興国政府が金融制度を強化するための措置を講じ、将来を見据えた慎重な経済政策を導入したことの効果が表れています。多くの国に見られるのが穏やかなインフレ環境や良好な成長見通しで、中間所得層が急増し、有権者全体に占める割合も増加の一途です。

ピクテのモデルは、対ドルの新興国通貨がこの20年で最も割安な水準にあることを示唆しています。新興国通貨全体では対ドルで20%以上割安であり、人民元は購買力平価ベースで市場最安値を更新しています。また、ドル建て新興国債券利回りは約6.4%と米国国債の2倍を上回ります。

このような局面での投資には、若干の勇気と綿密な分析が必要ですが、これに見合った見返りが期待できる可能性があることは注目されてよいと考えます。

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

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