市場の不透明感高まるなか、ディフェンシブ性の高い公益株式に注目 | ピクテ投信投資顧問株式会社

市場の不透明感高まるなか、ディフェンシブ性の高い公益株式に注目 グローバル

2018/11/08グローバル

ポイント

10月の株式市場は景気敏感セクター中心に大幅下落となりました。一方、公益などのディフェンシブセクターは底堅く推移しています。景気敏感セクターのディフェンシブセクターに対する相対パフォーマンスの圧倒的優位の状況に変化が見られます。過去の実績でも、景気減速局面では、ディフェンシブセクターが景気敏感セクターをアウトパフォームする傾向が見られました。その際にはローテーションは比較的短期間で起こっていることから今後の動向に注目です。

 

市場下落の背景~米国金利上昇、貿易戦争、米中間選挙懸念などがきっかけ

10月の株式市場は景気敏感セクター中心に大幅下落となりました。急落の背景には、①米長期金利の急激な上昇、②IMFが貿易戦争の影響に言及し世界経済見通しを下方修正したこと、③ヘイリー米国連大使の辞任など中間選挙を前にトランプ陣営にとって逆風が強まったこと、などの外部環境が厳しさを増していることが大きな理由と考えます。

10月9日には、国際通貨基金(IMF)が最新の世界経済見通し(WEO)を公表し、世界全体の成長率予測を2年ぶりに下方修正し、貿易戦争が拡大した場合の最悪のケースでは世界経済の成長率が19年以降に最大約0.8%下振れすると警告しました。

米中貿易戦争の影響懸念再燃により、影響をより受けると懸念される情報技術(IT)セクターや資本財サービスなどをはじめとした景気敏感(シクリカル)セクターの下落率が大きくなりました。一方、公益や電気通信サービスなどのディフェンシブ(景気に左右されにくい)セクターは相対的に底堅く推移しました(図表1-1参照)。

その後も、米中貿易戦争の深刻化や、イタリアの財政問題などのリスク回避の姿勢が強まり続落しました。10月末にかけても、企業決算に一喜一憂する展開となり、月を通じて大幅下落となりました。

これまで株式市場をけん引してきたFAANG(フェイスブック(IT)、アマゾン(一般消費財・サービス)、アップル(IT)、ネットフリックス(IT)、アルファベット(IT))などの米国巨大企業の決算が発表されました。

これらの企業の時価総額合計は米国のS&P500種株価指数の1割超を占めることから市場への影響が大きくなっています。 FAANG各社は過去最高売上高を更新するなど業績の伸びを示したものの実績や第4四半期の会社予想などが市場予想を下回ったことなどから株価は大きく下落し、情報技術(IT)セクターはじめ景気敏感セクターの下げをけん引しました。個人情報の扱いや取引のルールについて規制を設ける動きが各国で進んでおり、これらも株価のモメンタムに影響を与えていると見られます。

注目点~景気敏感セクターからディフェンシブ・セクターへのセクターローテーション

  • 情報技術(IT)や資本財サービスなどの景気敏感(シクリカル)セクターが公益や電気通信サービスなどのディフェンシブ(景気に左右されにくい)セクターに対してパフォーマンスで圧倒的優位であった状況に変化が見られます。景気敏感セクターの株価収益率(PER)はディフェンシブセクターの株価収益率(PER)を大きく上回っています。
  • 過去の実績では、景気減速局面では、ディフェンシブセクターが景気敏感セクターをアウトパフォームする傾向が見られました。その際にはローテーションは比較的短期間で起こっていることから今後の動向に注目です。
  • 公益株式の投資戦略 ~ 市場の不透明感高まるなか、ディフェンシブ性の高い公益株式に注目

    中長期的には、電力などの需要拡大や価格上昇が予想されており、世界の公益セクターの事業環境は良好と見ています。市場の不透明感が強い局面では財務体質が健全で、配当や利益の安定成長が期待できるディフェンシブ性の高い銘柄に注目です。実際、市場の不透明感が高く景気サイクルの後半では公益株式(MSCI世界公益株価指数)は市場平均(MSCI世界株価指数)を上回って推移する傾向が見られました。(下図参照)

    米国では追加利上げが見込まれています。日欧では金融緩和を継続していますが出口戦略を模索しており、今後主要国では金融政策から財政政策へのシフトと長期金利の上昇が想定されます。長期金利の急上昇は配当利回りの相対的な魅力を低下させ、金利負担増となることなどから公益企業の株価にマイナス要因となりますが、規制下の公益事業では金利負担コストはタイムラグはあるものの公共料金に反映でき、景気の回復は増益・増配をもたらし株価の押し上げ要因となります。このため金利上昇による株価の調整は公益株式への投資機会を提供すると考えられます。

    また、世界的なエネルギーをはじめとした物価の上昇も想定されるため、物価の上昇をより料金に転嫁し易い事業比率の高い企業や物価上昇率を上回る増配を目標に掲げている企業などが注目です。

    新興国の公益株式に関しては、投資機会と捉えており、事業地域の規制環境が良好な銘柄などが注目です。

    市場見通し ~ 好材料と悪材料が拮抗

    経済サイクル、流動性、センチメント、バリュエーションなどを複合的に勘案すると、今後経済は減速し、インフレ圧力が高まり、企業業績のモメンタムは低下すると見ています。ただし、10月の株価調整を受けてこれまで上昇してきたバリュエーション(投資価値評価)も低下したことから、短期的に株価上昇の余地があると見ています。

    好調な企業業績、安定的な経済成長、これまでのところは貿易戦争の経済への影響が顕在化していないこと等の好材料が、米連邦準備制度理事会(FRB)によって世界の金融システムから流動性が継続的に吸収される流動性逼迫の影響を緩和してきました。こうしたなか、企業業績は好調さを維持しているものの、利益の伸びの鈍化を示唆する兆しが散見されはじめたこと、貿易戦争の影響を抑えてきた駆け込み需要や中国元安、国際課税方式の改定による米国への資金の還流などの影響が薄れてくれば、貿易戦争の影響が顕在化し、市場のセンチメントにマイナスの影響を与えることには注視が必要と見られます。

    好材料と悪材料が拮抗する状況は今後数ヵ月間継続することが予想されます。悪材料としては、FRBのバランスシートの縮小が継続しています。また、欧州中央銀行(ECB)の資産購入プログラムは今年中にも終了の予定です。英国のEU離脱、イタリアの財政悪化懸念など外部環境の厳しさが残ります。

    好材料としては、このような環境下、米国では2019年第1四半期(1-3月期間)中に財政刺激策の大半が実行に移されるものと予想され、中国では、景気減速の兆しが鮮明になった後、政府が過剰債務圧縮の手を緩め始め、中央銀行は流動性供給を拡大しています。

    米国の足元の企業業績予想は実績の長期トレンドを大きく上回っています。企業業績は増益を継続しているもののモメンタムは低下傾向にあります。市場の増益期待が大きいことから少しでも市場予想を下回ると株価にマイナス影響を及ぼします。逆に市場のセンチメントが企業業績に弱気のスタンスとなっていることから少しでも業績のポジティブサプライズがでれば株価にプラスに働くことになるでしょう。

    雇用や消費動向などは底堅く、ショック時のような経済環境にはなっていません。例えば、リーマンショックやITバブル崩壊などの景気の後退局面では米国長短利回り格差が縮小し、マイナス(逆イールド)となる現象が見られました。現在は同利回り格差は縮小を続けていますが、現在のところはプラスを維持しています。また、米国の金利上昇による住宅や自動車販売などへのマイナスの影響はみられるものの、現段階では米国の家計の可処分所得に占める家計負債の割合はリーマンショック時の水準を大きく下回っています。このため現状はショックに陥る環境ではないと見られます。

    11月末にはブエノス・アイレスでのG20会議が控えており、この前後で米中貿易戦争に関して何かしらのサプライズがある可能性には注視が必要と見られます。

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