ピクテ・マルチ・アセット・ストラテジー7月:根拠なき熱狂 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ピクテ・マルチ・アセット・ストラテジー7月:根拠なき熱狂 グローバル

2019/07/19グローバル

ポイント

米国の利下げ期待がリスク資産を押し上げていますが、積極的な金融緩和を見込んだ投資家の期待は打ち砕かれる可能性が高いと考えます。市場は、7月を皮切りに、FRBが今後1年で計1%の利下げを行うことを織り込んでいますが、この見通しは楽観的過ぎると見ています。そのため資産配分については引き続き慎重な姿勢を維持します。具体的には、債券を株式同様アンダーウェイトとしました。また、キャッシュをフルオーバーウェイトとしました。

利下げ期待を好感した株式市場の上昇

FRBが早ければ7月末にも利下げに転じるとの可能性が高まって、グローバル株式の6月の月間騰落率は6%近くとなり、債券を上回りました。また、米・中が近日中に貿易交渉を再開するとの楽観的な観測が強まったことも、市場の支援材料となりました。米国株式市場は他市場を上回って上昇し、MSCI米国株価指数は約7%の上昇、一方、S&P500種株価指数は過去最高値を更新しました。

業種別セクターでは、米中貿易交渉の妥結を巡る期待が再燃し、素材および情報技術セクターが8%を超える上昇となりました。また、エネルギーや情報技術等、景気循環に最も敏感なセクターが、公益事業等のディフェンシブ・セクターを上回りました。景気敏感セクターは、景気循環調整後ベースでは、ディフェンシブ・セクターを16%上回って推移しており、プレミアムは長期平均である10%を上回っています。

米国の金融緩和が予想される中、ドルは月間1%強の下落となりました。一方、ドル安は、多くの新興国資産の押し上げ要因となり、輸出依存度の高いアジア株式ならびに現地通貨建て新興国債券は5%強の上昇となりました。

先進国の債券市場では、社債のパフォーマンスが国債を上回り、米国および欧州のハイイールド債は2%強の上昇となりました。

金は全資産クラス中、最も好調でした。ドルの減価と、質への逃避を求める投資家の資金流入が相俟って、月間騰落率は8%を上回りました。 原油は8%を超える上昇となりました。オマーン湾で2隻の原油タンカーが攻撃されたことに対し、米国がイランに追加の経済制裁を課したことから、供給不安が高まりました。また、ロシアとサウジアラビアが日量約120万バレルの減産延長に合意したことから、原油価格には一段の押し上げ圧力がかかるものと思われます

過度かつ拙速に過ぎる

減速しつつある世界経済が、トランプ米大統領のしかけた貿易を巡る論争によって一段と損なわれるリスクが増す中、米連邦準備制度理事会(FRB)は世界市場における存在感を改めて認識させました。このような状況下、複数のFRB理事が、予防的な利下げを講じることで深刻な景気停滞に備える用意があることを相次いで示唆したことから、株式と債券市場は上昇に転じ、6月の月間騰落率は、グローバル株式が約6%、グローバル債券が約1%となりました。

場は、7月を皮切りに、FRBが今後1年で計1%の利下げを行うことを織り込んでいます。S&P500種株価指数は過去最高値を更新し、12兆ドル相当のグローバル債券がマイナスの利回りで取引されています。

もっとも、ピクテでは、米国の利下げを巡る市場の楽観は行き過ぎとみており、資産配分については、債券の投資評価を引き下げ、株式と同様、アンダーウェイト(ベンチマークより低い投資比率)としました。また、既にオーバーウェイト(ベンチマークより高い投資比率)としていたキャッシュの比率を更に引き上げました。 FRBは、米国景気が相対的な観点では引き続き良好さを維持する中、ハト派に転じたものと思われます

株式:夏場が期待される欧州市場

世界貿易が縮小し、企業利益の先行きが危ぶまれる状況では、株式投資に慎重な姿勢を維持することが賢明だと考えます。 ピクテのモデルは、今後1年間の企業の利益成長率が、市場のコンセンサス予想であるおよそ7%に対し、前年比横這いに留まる、或いはマイナスに落ち込む可能性があることを示唆しています(図表1参照)。

米国株式は特にぜい弱です。ピクテのモデル上で最も割高な株式市場であるというだけでなく、米国経済が6ヵ月連続で減速し、主要先進国および新興国の経済成長をいずれも下回ることが、ピクテの景気先行指数によって示唆されているからです。過去のデータは、米国の経済成長率が名目ベースで3%を下回る局面で企業利益が減少する傾向が認められることを示しています。

米国株式市場は、FRBの利下げがあったとしても、追加的な恩恵を享受する公算は小さいと思われます。これは、2019年下半期の大幅利下げが既に織り込まれているからです。 更に、S&P500種株価指数等の主要株価指数はテクノロジー等、規制の強化や貿易戦争に左右されやすい業種の構成比率が高いことにも留意が必要です。 これに対し、ユーロ圏株式の先行きは明るさを増しています。域内の景気先行指数は、マイナス圏に留まるとはいえ、3ヵ月連続で改善し、米国を上回っています。また、ユーロ圏経済の原動力である消費は底堅さを維持しており、銀行融資も改善基調です。株価純資産倍率(PBR)、株価収益率(PER)ならびに株価売上高倍率(PSR)を勘案したピクテのモデルで測定すると、欧州株式は米国株式よりも割安です(13頁図表8-3参照)。

一方、英国株式は、引き続き魅力的です。4.8%と高水準の配当利回りに加え、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る懸念に起因する英ポンド安が、多くの多国籍企業の利益を押し上げています。

新興国株式も魅力的です。ピクテの景気先行指数は、新興国経済が先進国経済を上回って成長し、2020年の企業利益成長率が14%程度と先進国を上回ることを示唆しています。セクター別では、エネルギーや素材等、米ドルの減価の影響が予想されるセクターを、引き続きニュートラルとします。また、金融や不動産等、景気変動の影響を受けやすいセクターも同様です。

シクリカル・セクターとディフェンシブ・セクターの相対パフォーマンスは、シクリカル・セクターがディフェンシブ・セクターをアウトパフォームしています。しかし、世界的に国債利回りが低下する中での出来事であり、逆行する動きが見られます。おそらく、株式市場の見通しと債券市場の見通しの中間くらいが実体を表していると考えられます。(図表2参照)

債券:ハト派が優勢

債券先物に織り込まれた、投資家の1年先までの米国金利見通しには驚かされます。半年前の50ベーシス・ポイント(0.5%)の利上げに対し、足元では100ベーシス・ポイント(1%)の利下げを予想しているからですが、このように大幅な予想の修正は行き過ぎのように思われます。 市場は、実際の利下げの幅に失望することとなり、債券利回りは上昇、価格は下落となる見通しです。グローバル債券市場は半年間の上昇相場を経て割高感が際立っていることから、投資評価はニュートラル(ベンチマーク並みの投資比率)からアンダーウェイトに引き下げます。(図表3、4参照)

先進国の社債は、投資適格債、ハイイールド債ともに引き続き割高です。企業の利益成長率が予想を下回る可能性が高いことを勘案すると、このような状況は先行きを警戒する危険信号のように思われます。同時に、信用格付けは悪化、レバレッジは上昇基調で、金融セクターを除く社債の発行残高はGDP(国内総生産)比47%と過去最高水準に達しており、ITバブル崩壊時の2000年或いはグローバル金融危機発生時の2008年に付けた水準を上回ります。(図表5参照)

景気変動の影響を受け難いディフェンシブ資産については、依然として、米国国債がユーロ圏国債を上回る利回りを提供しており、前者をオーバーウェイト、後者をアンダーウェイトとする根拠となっています。実際に、ドイツ10年国債利回りは-0.3%と、史上、最低水準を更新して最も割高な水準に達しており、ユーロ圏国債の45%は、利回りがマイナス圏に沈んでいます。

一方、現地通貨建て新興国債券の先行きは、域内のインフレ率の低下、金融緩和の可能性、割安な為替レート等を背景に、明るさを増しています。ピクテのモデルは、新興国通貨が米ドルに対して15~20%割安な水準にあることを示唆しています(14頁図表9-1、9-2参照)。

とはいえ、従来、値動きの荒い夏枯れ相場を控え、ドル建て新興国債券をオーバーウェイトからニュートラルに引き下げてリスク水準を落とすべきだとの判断に至りました。ピクテのモデルには、堅調なパフォーマンスの結果としての相対的な割高感が現れています。 金はオーバーウェイトを維持します。6月の月間騰落率は8.6%と全資産クラス中1位でしたが、割高感は全く見られません。また、季節要因やすう勢ともに金の支援材料となっています。

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