新型コロナウイルス感染拡大のインパクト | ピクテ投信投資顧問株式会社

新型コロナウイルス感染拡大のインパクト グローバル

2020/02/26グローバル

ポイント

各国とも新型コロナウイルスの感染拡大阻止に苦慮しており、世界的に流行するとの懸念が強まり、世界の株式市場は連日大幅安となっています。世界の株式市場は、FRBの金融緩和や景気モメンタムの下げ止まりなどの動きを受けて、高値更新の動きを見せていましたが、企業業績に対して株価は割高感が高まっていました。こうしたなか、今回の新型肺炎の影響が世界的に拡大・長期化するとの見通しが広がったことで、楽観的な見方が修正されたことが、連日大幅安の最大の理由と考えます。しかし今後、各国の金融緩和や緊急財政策などが歯止めとなるものとも期待されることから、今のところは割高感の修正の範囲で留まる可能性もあり、現時点では大幅な景気腰折れシナリオに立つ必要はないと考えます。

市場動向

各国とも新型コロナウイルスの感染拡大阻止に苦慮しており、世界的に流行するとの懸念が強まり、2月24日の世界の株式市場は急落し、25日も連日の大幅安となっています。米国株式(S&P500種)は4営業日続落となり、下落率は7.6%に達しました。一方、米国債や金といった安全資産は底堅く推移しています。

米疾病対策センター(CDC)は国民に対し新型コロナウイルス流行に備えるよう注意喚起しました。新型ウイルスの感染はイタリアや日本など各国・地域で拡大しており、利益への悪影響を見込む企業が増加しています。業種別では、特にエネルギーや情報技術(IT)、金融セクターなどの下げが大きくなりました。

一方、安全資産を求める動きが強まり、米国債市場で10年債利回りは一時、過去最低となる1.3055%まで低下しました。

今後の見通し

世界の株式市場は、FRBの金融緩和や昨年秋以降の景気モメンタムの下げ止まりなどの動きを受けて、高値更新の動きを見せていました。しかしファンダメンタルズの裏付けは乏しく、図表1にもあるように、12ヵ月先EPS × 平均PERで導かれるS&P500のフェアバリューを大きく上離れていました。PERも表示期間の平均が16.9倍なのに対して直近で19.1倍と、企業業績の高い伸びなしには正当化できない状況だったと考えています。今回の新型肺炎の影響が世界的に拡大・長期化するとの見通しが広がったことで、楽観的な見方が修正されたことが、昨日のダウ平均1000ドル安の最大の理由と考えます。しかし昨日の下げでも年初からの上昇は吐き出したとは言え、未だ割高な状態は解消されていません。

図表1: 米国株式(S&P500)のフェアバリューレンジ

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

新型肺炎が問題化し始めた1月央の時点では、株式市場の反応は比較的限定的でした。これは一つに、新型肺炎がもっぱら中国や日本など東アジアの問題として捉えられていたからと考えます。ところが図表2にあるように、中国以外での新規罹患者が2月21日を境に急増し始めたことで世界的な感染拡大が懸念され始め、欧米の投資家も経済への影響を我が事として認識し始めたと見られます。

図表2: 中国内外での新型肺炎の新たな罹患者・死亡者数

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

二つ目の理由として、2003年のSARSが比較的短期間で終息した教訓から、ブローカー各社も今回の新型肺炎も1四半期の落ち込みで済むとの見方が一般的でした(図表3)。しかし先週、中国政府が全人代を予定を定めず延期したことで終息の目処が立たなくなり、市場が経済への影響の長期化を織り込み始めたものと思われます。ちなみに武漢市周辺には自動車や情報技術など、日本への影響も高い産業が集積しており、経済への影響は欧米以上に大きいのは言うまでもありません。

図表3: 新型肺炎が世界経済に及ぼすインパクト(ブローカー各社の予想をピクテが集計)と武漢市周辺に集積する産業

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

こうした状況を踏まえれば、今後数週間は新型肺炎の世界的広がりと影響の長期化という2つの「誤算」を、市場が消化する必要があると見られます。図表1を例に取れば、S&P500が3000ポイント程度にまで下落すれば、バリュエーション面の割高さが解消されると思われます。

ただし今回の新型肺炎の影響が予想以上に広範囲に広がり、世界経済が景気後退期に入るという前提に立てば、上記のシナリオでも楽観的になる可能性があります。しかし各国の金融緩和や緊急財政策などが歯止めとなるものと期待されることから、今のところは割高感の修正の範囲で留まる可能性もあり、現時点では大幅な景気腰折れシナリオに立つ必要はないと考えます。

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