ロシア中銀、外貨準備高復活の道 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ロシア中銀、外貨準備高復活の道 欧州/ユーロ圏 ロシア

ロシア中央銀行が外貨準備高の回復を目指して外貨買い・ルーブル売りを開始することは、短期的にはルーブルの変動要因と見られるものの外貨準備高を増やせる環境が続くならばルーブルの見直しが進む可能性も考えられます。

ロシア中央銀行:外貨準備高の増加を目指し外貨購入を再開

ロシア中央銀行は2015年5月14日、ホームページのプレスサービスで外貨準備高を回復させるため、5月13日より国内為替市場で外貨購入を開始する方針を公表しました。購入額は1日に1億から2億ドルと述べられています。ロシア中銀は今回の外貨購入でルーブルを特定のレートに固定する意図はないと説明しています。また、為替市場の状況によっては購入額の変更もあり得るとしています。

ロシアは2014年11月に完全変動相場制に移行、ロシア中銀はルーブル安の抑制に外貨準備を売却したため、外貨準備高は1年前の約5,000億ドルを超える水準から足下では約3,580億ドルと大幅な減少となっています(図表1参照)。


図表1:ロシア外貨準備高とルーブル(対ドル)の推移
(週次、期間:2010年5月14日~2015年5月8日)

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:外貨準備高、ルーブル、停戦合意、原油価格

ロシア中央銀行がルーブル市場の落ち着き(正常化)を理由に、外貨準備高の回復を目指して、(ドルなどの)外貨買い・ルーブル売りを開始することは、短期的にはルーブルの変動要因となる可能性もあります。しかし外貨準備高を増やせる市場環境が続くならばルーブルの見直しが進む可能性も考えられます。

まず、外貨購入開始が公表された5月14日のルーブルの動きを見るとルーブルは公表後1ドル=約50ルーブル付近での取引となっており、14日開始直後の1ドル=48ルーブル台からルーブル安となっています。外貨準備高を増やすのはルーブルを売って外貨を購入するオペレーションであるため当然といえば当然の市場の反応となっています。

ただし外貨準備高を増やすことによるルーブル安への影響は小幅にすむ可能性も考えられます。ロシア中央銀行が外貨準備高をどの水準まで回復させるのか不確かですが、仮にウクライナ危機以前の5000億ドル程度まで戻すとすると約1,500億ドル増やす計算で、1日あたり1.5億ドル購入するとすれば大雑把には約4年も費やすこととなります。時間をかけることで影響を低く抑える運営が想定されます。

一方で現在のルーブルの水準は1ドル=50ルーブル程度と、危機前の25~30ルーブルに比べルーブル安に放置されています(図表1参照)。ロシア中銀がルーブル防衛に追われ(外的ショックの吸収に有効な)外貨準備が大幅減となった際には信用力低下が懸念されてのルーブル安進行の動きも見られただけに、反対に外貨準備高の漸進的な増加はルーブルの中長期的な下支え要因となる可能性もあります。

ただし、(ルーブル下落の原因ともなった)次の要因に注意が必要です。1つ目はウクライナとの和平を進展または、少なくとも停戦合意が遵守されるかです。2つ目は原油などエネルギー価格の落ち着きです。原油価格は指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の2015年6月物が1バレル60ドル近辺での取引となるなど、40ドル台まで下落した時期からは回復しています。しかし先進国の景気回復の足取りは重く、中国の経済成長も減速傾向で、石油需要の回復は鈍いとみられます。また調整が進んでいたと見られる供給側も、先日石油開発機構(OPEC)が増産を表明するなど先行きは不透明です。先日の(緊急的に引き上げられた)政策金利の引き下げに加え、外貨準備高の増加を開始できるほどルーブルを取り巻く環境はひとまず改善したとみられますが、今後の政策運営に焦りは禁物と思われます。

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