まことの黒田節か? | ピクテ投信投資顧問株式会社

まことの黒田節か? アジア 日本

黒田総裁の発言で円高ドル安が進行しましたが、内容を振り返ると円安から円高への転換よりも、円安のスピード調整の意味合いが強く、ファンダメンタルズを反映した円安シナリオを基本的に維持すべきと考えています。

黒田日銀総裁:実質実効為替レートで見ると円安になっているのは事実

日本銀行の黒田総裁は2015年6月10日、衆院財務金融委員会の質疑の中で外国為替市場について、実質実効為替レート(図表1参照)から見て「ここからさらに円安はありそうにない」との認識を示しました。これを受けて外国為替市場で円高ドル安が進行しました。黒田総裁は「実質実効為替レートで見ると円安になっているのは事実」と述べました。また、為替レートはファンダメンタルズを反映した範囲で推移するのが望ましいとも述べています。

図表1:円(対ドル)と円の実質実効為替レートの推移
(月次、期間:1973年1月~2015年4月、円ドルは17時時点月中平均

出所:日本銀行のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:実質実効為替レート、米国成長率、貿易収支

黒田総裁の発言で円高ドル安が進行しましたが、発言の内容を振り返ると円安から円高へ転換させるというよりも円安のスピード調整としての意味合いが強く、中長期的にはファンダメンタルズを反映した円安・ドル高を基本シナリオとして維持すべきと考えています。

黒田総裁の発言で注目したのは以下の通りです。

1つ目は、言及された為替レートはドル円のような特定の国との為替レートでなく、実質実効為替レートである点です。実質レートは日本がインフレだと上がり、デフレだと実質レートは下がる仕組みです。日本の実質実効レートが過去20年下落傾向だったのは、日本が概ねデフレだったことがその背景とも見られます(図表1参照)。黒田発言は円安を懸念しているようで、実はデフレ対応を進めることで、実質の円安からの転換、脱却を示唆した様にも聞こえます。

2つ目は足元の(125円に向かう)円安スピードを抑制するのに絶妙のタイミングであったと見られることです。最近内外で(円安)ドル高に対する懸念も聞かれます。例えば、6月5日の米国雇用統計は強い数字であったにもかかわらず、その後の講演でニューヨーク連銀のダドリー総裁はドル高懸念を表明しています。また、世界銀行や国際通貨基金(IMF)が最近公表した世界経済見通しでドル高を懸念しています。国内でも早すぎる円安に不満の声も聞かれます。また、日本の貿易収支を見ると2010~14年頃のように減少していればともかく、足元貿易収支は改善傾向です(図表2参照)。このように声高に円安を示唆する政策を推し進めにくい環境の中、日本の当局としても(海外からのあらぬ疑いを避けるために)「突出した」円安には、小言が得策なのかもしれません。


図表2:日本の貿易収支と円(対ドル)レートの推移
(日次、期間:2010年6月10日~2015年6月10日、貿易収支は月次)

 

所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

先の国際機関の中長期的な経済見通しを見ても米国の予想成長率は日本を上回るなど潜在的な円安ドル高要因に変化は見られません。そのため基本的に円安シナリオを維持すべきとは思われますが、スピードには注意が必要と見ています。

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