ギリシャ国民投票、勝者なき勝利 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ギリシャ国民投票、勝者なき勝利 欧州/ユーロ圏 ギリシャ

ギリシャのチプラス首相は国民投票の結果がノーであったことで勝利宣言をしていますが、EU側からのギリシャに対する譲歩は域内の結束を重視するため見込みがたく、勝利者のいない選挙結果に終わるものと思われます。

ギリシャ国民投票:市場の予想に反し反対が賛成を上回る結果に

ギリシャで2015年7月5日に実施された国民投票は開票が終了、欧州連合(EU)が金融支援の条件としている財政緊縮策の受け入れに「反対」が61.3%、「賛成」が38.7%で、反対が賛成を大きく上回りました。投票率は986万の登録有権者の62.5%となります。ギリシャのチプラス首相はテレビで演説し、勝利を宣言したうえでギリシャ国民は、ヨーロッパと、持続可能な支援策を交渉する力を与えてくれたと述べると共に、今回の国民投票で示された民意を後ろだてに今後EU側との金融支援をめぐる協議に臨みたい考えを示しました。また、優先事項として銀行の再開と、ギリシャの経済システムの安定を強調し、預金の引き出し制限などの資本規制をできるだけ早く終わらせる意向を示しました。

どこに注目すべきか:国民投票、資金繰り、ELA、ユーロ圏離脱

ギリシャの今後の資金繰りを考えると、国民投票の結果は緊縮財政にノーであったとしても勝利とは程遠いものに終わる可能性が高いと思われます。域内の結束に重きを置くEUがギリシャに対して譲歩することは見込みがたく、結局、勝利者のいない選挙結果に終わるものと思われます。

ギリシャが勝者と考えられない理由は次の通りです。

まず、資金繰りの苦しさには何ら変化がない点です。報道等で、ギリシャ政府の発表として、ギリシャは2015年6月末時点に6億ユーロ程度の剰余金があるとも伝えられています。仮にそれだけの残高があり、ギリシャの短期証券が(懸念はありますが)年金などによりロールオーバー(資金繰り越し)されたとしても7月20日の約36億ユーロの国債償還(欧州中央銀行(ECB)保有分)は極めて厳しい状況です(図表1参照)。


図表1:2015年7月、ギリシャの主な返済日と返済額

※図表1はギリシャの主な債務のみを示しています 出所:ブルームバーグ、各種報道等を基にピクテ投信投資顧問作成

またギリシャ民間銀行の資金の原資ともなっているECBの緊急流動性支援(ELA)は国民投票後は継続されたとしても、7月20日の国債償還が仮に債務不履行(デフォルト)となればELAの継続も停止される懸念があります。チプラス首相はATMからの1日当たり引出し額が上限を60ユーロに制限されていた銀行業務の再開を約束した模様ですが、報道ではギリシャの銀行は支払い資金に余裕がなく、むしろ引出し額の上限を下げる可能性が伝えられています。ギリシャの資金繰りは、ECBも含めたEU側に握られている状況です。

また、今回の国民投票の意味がギリシャ国民にとって不明確です。形式的には、今回の国民投票は欧州金融安定ファシリティ(EFSF)の第2次支援の条件としての緊縮財政に反対、賛成を質した格好です。しかし、2次プログラムはすでに失効しており、今回の投票はギリシャ国民の緊縮財政に反対する気持ちが示されただけの結果に終わる可能性もあります。

また、仮に第3次プログラムを交渉の土台に、ギリシャとEUがテーブルについたとしても、EUの譲歩は見込みがたい状況です。例えば、ドイツ議会は、ギリシャへの3回目の金融支援実施を強行に反対しています。スペインやイタリアはユーロ懐疑派の野党(スペインのポデモス、イタリアの五つ星運動)をかかえており、現政権はギリシャに甘い顔はできない状況だからです。 また、今回の投票はユーロ圏離脱の可否を質した形ですが、形式的にはユーロ圏離脱とは関係ありません。そもそも、ユーロ圏離脱の手続きは定まっていないからです。この点はEU側も負い目があり、ユーロ離脱の手続きがない点を指摘されながら対応を怠っている点はEUの中長期的な課題です。

結局、国民投票の結果は、ギリシャ(債券等)には厳しく、他のユーロ圏にとって当面の影響は相対的に小幅と見られます。

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