ギリシャ、ようやくたどり着いた合意だが | ピクテ投信投資顧問株式会社

ギリシャ、ようやくたどり着いた合意だが 欧州/ユーロ圏 ギリシャ

ギリシャがユーロ圏首脳会議で支援の条件を受入れたことで、ギリシャの債務返済問題は当面リスクが低下したと思われますが、合意を受けても通貨ユーロはむしろユーロ安傾向となっています。その理由を以下のように見ています。

ギリシャ金融支援:ユーロ圏首脳会議、ギリシャ救済について合意-ユーロ圏残留へ

ギリシャのチプラス首相は2015年7月13日、ユーロ圏にとどまるのに必要な期間5年の第3次金融支援を受けるための交渉で債権団が求める改革案に合意しました。

主な合意内容は次の通りです。

①欧州安定メカニズム(ESM)によりギリシャ向け第3次金融支援プログラムの交渉開始の準備をすること、支援総額は820~860億ユーロ程度

②ESMによる第3次金融支援は、ギリシャ議会(7月15日)を含めた幾つかのユーロ圏加盟国の議会承認が不可欠

③各国議会の承認の後、ユーロ圏財務相会合が交渉を開始し、ギリシャの短期的な資金ニーズ(7月70億ユーロ、8月50億ユーロ程度)に対しつなぎ融資による対応方法について緊急協議を実施

④500億ユーロのギリシャ国有資産を新たに創設するファンドに移管、民営化などを通じた収入のうち、250億ユーロを銀行の資本増強に活用、残り250億ユーロの半分ずつを債務削減、ギリシャ政府の投資に活用などが声明等で明らかになっています。

どこに注目すべきか:議会承認、米国利上げ時期、国有資産売却

ギリシャがユーロ圏首脳会議で条件を受入れたことで、ギリシャのユーロ圏離脱のリスクは当面、低下したものと思われます。ただし合意後のユーロを見ると動きは鈍く、合意を好感してユーロ高というよりは、むしろユーロ安傾向が見られます。その主な理由は次の通りと見ています。

まず、形式的にはギリシャへの金融支援には議会通過が必要で、議会を通らないリスクがあることです。確かに7月11日のギリシャ議会におけるチプラス首相が提案した緊縮策を盛り込んだ財政改革案への投票でも与党から数十名の反対が出るなど連立与党内も一枚岩ではない点に注意は必要です。しかし、ギリシャ議会での可決の可能性は高いと思われます。理由は一部の野党が第3次金融支援を受けるための改革案で賛成に回る模様だからです(図表1参照)。


図表1:ギリシャ議会議席数の分布

 

出所:ギリシャ議会ホームページ

2つ目は、恐らくユーロが軟調な最も大きな要因で、ギリシャの債務返済問題に目処がつき、市場の関心が米国の利上げにシフトした可能性があることです。交渉の合意により市場の懸念が後退し、米国の年内利上シナリオが再び注目されています。一方でユーロ圏は金融緩和の継続が想定されるため、合意を受けて、ドル高・ユーロ安傾向が現れやすくなった可能性があります。冷静に考えてみれば、紆余曲折は想定されても最後は合意が市場で想定されていたギリシャの債務返済問題に比べ、米国の利上げの影響はより大きいと考えるべきなのかもしれません。

3つ目は、合意により、ギリシャの目先の問題は後退した格好ですが、中長期的な問題は残る点も懸念です。

例えば、救済条件の一つは500億ユーロ規模の国有資産の売却(左記④)ですが、ギリシャの過去の救済(構造改革計画)でも国有資産の売却は計画倒れに終わっています。2011年のパパンドレウ政権ではギリシャ資産開発基金の実績は35億ユーロ程度にとどまります。また、今回目標とする500億ユーロの半分は国内銀行の支援(資本注入)に充当することとなっており、売却が進まなかった場合の銀行の運営に一抹の不安を覚えます。

現段階では議会通過を確認する必要があるとはいえ、ギリシャの目先の懸念は後退が期待されるものの、中長期的な課題は先送りされた印象も残る合意であったと思われます。

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

ページの先頭へ戻る