ECB、金融政策の会合ですが質問はギリシャに集中 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ECB、金融政策の会合ですが質問はギリシャに集中 欧州/ユーロ圏 ギリシャ

ギリシャ向け第3次金融支援合意直後に開催されたECB政策理事会ということで、やはりギリシャが話題となりましたが、質疑応答では、ユーロ圏の債務返済危機におけるECBの役割や立場が示唆される内容となりました。

ECB政策金利据え置き:ギリシャ第3次支援合意後最初の政策理事会

欧州中央銀行(ECB)は2015年7月16日に政策理事会を開催し、主要政策金利を0.05%で据え置くと共に、下限となる中銀預金金利と上限の限界貸出金利をそれぞれマイナス0.2%とプラス0.3%に維持しました。

どこに注目すべきか:量的金融緩和、ELA、EFSM、ESM

ギリシャ向け第3次金融支援合意直後のECB政策理事会ということで、記者会見では通常の金融政策への質問よりも、ギリシャ関連が話題となりましたが、質疑応答を通じて、ユーロ圏の債務返済危機におけるECBの役割等が示唆された内容が見られました。

まず、今回の会見で金融政策に関してECBから新たな情報は多く示されていませんが、量的金融緩和による債券購入の前倒し(夏の購入を減らし、5~6月を増やす)については、 5月と6月に30億ユーロずつ前倒し購入し、7月は小幅減少、8月も減らすことを明らかにしました(7、8月は今後の購入であり数字には言及せず)。また、600億ユーロの債券購入は2016年9月まで(インフレ率に大幅な変化がない限り)継続する意向を示唆しています。

次に緊急流動性支援(ELA)に関連する質疑応答では、ギリシャ金融支援におけるELA並びにECBの役割が示唆された次の2点に注目しています。まず、ドラギ総裁は、向こう1週間にわたりELAの上限を従来の897億ユーロに9億ユーロ上乗せすることを明らかにしました。ECBはELAが個別銀行の流動性不足への対応手段と捉えていたため、ELAデータの公表を控えてきました。しかしELAはギリシャの銀行全体、ともすればユーロ圏全体の金融システムに関わる問題であるため、ELAの公表に前向きの考えを示しました。

2点目は、ELAをECB独自の判断でとめる可能性があるかという問題です。ドラギ総裁はECBは規則に基づく機関であり、ユーロ加盟国のユーロ圏残留に関する決定を下すのはユーロ圏各国政府の役割であると繰り返し述べてきています。したがって、ECBはギリシャがユーロ圏に残るという前提で行動してきたと述べています。その意味では、第3次金融支援に関する合意がユーロ圏の政治家の間で行われていた時に、ECBがELAを停止するリスクを指摘する声も市場の一部にありましたが、その可能性は低かったのかもしれません。ただしドラギ総裁は担保の質など検討すべき課題が残されていることなどELAの問題点を強調しています。

なお、その欧州の政治家によるギリシャ政府への支援ですが、欧州連合(EU)加盟国の財務相は、つなぎ融資(7月70億ユーロ、8月50億ユーロと推定)に、欧州金融安定メカニズム(EFSM)を活用することで一致し、第3次金融支援に関しては欧州安定メカニズム(ESM)を活用するとしています。ESMの利用にはユーロ圏19ヵ国財務相の全会一致が必要ですが、緊急を要する場合は出資比率85%の承認で支援を実行できると定められています。ドイツ、フランスなどは承認する方向であり、第3次金融支援が承認される可能性は高いと思われます(図表1参照)。


図表1:ユーロ圏の主な国のESM出資比率

出所:ESMのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

しかし、ドラギ総裁はギリシャが債務の持続可能性を維持するには債務減免が必要であることは議論の余地がないと述べています。国際通貨基金(IMF)も7月14日にギリシャ債務の(債務削減の一つの手段として)元本削減の必要性を示唆しています。一方で、フィンランドは反対の立場を示すなど、ECBの思いとユーロ圏の政治家の間に違いもあるようです。ECBはギリシャ金融支援という政治色の濃い問題をにらみながら、金融システム安定の重責を負う立場にあるようです。

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

ページの先頭へ戻る