ブラジル格付け見通し引下げ。残り時間は少ない | ピクテ投信投資顧問株式会社

ブラジル格付け見通し引下げ。残り時間は少ない 中南米 ブラジル

ブラジルの格付け見通しがS&Pに引き下げられるなど、格付け会社のブラジルに対する評価は厳しくなっています。S&Pのコメントを参考にブラジルの問題点を見ると、経済成長率の低下と政治の結束の欠如が問題と思われます。

S&P:ブラジル信用格付け見通しを引下げ
将来、投資不適格債への可能性も

格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は2015年7月28日、ブラジルの格付け見通しを従来の「安定的」から、格付けが下方に向かう可能性を示す「ネガティブ」に修正し、ブラジルの信用格付けを投機的水準に引き下げる可能性があることを明らかにしました。ブラジルの外貨建て長期債格付けはすでに投資適格級で最低のBBB-となっています。自国通貨建て長期債格付けはBBB+となっています。他の主要格付け機関のブラジルに対する格付けは、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をBaa2(BBBに相当)とし、フィッチ・レーティングスも長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をBBBとしています。両社の格付けは投資不適格級の2段階上となるため、S&Pがブラジルの投資適格性に深刻な疑問を投げかけた格好です。

どこに注目すべきか:格付け見通し、プライマリーバランス、レアル

ブラジルの格付け見通しがS&Pに引き下げられたことで、ブラジルが今後1年から1年半程度で投機的水準にまで格付けが引き下げられる可能性が高まっています。他の格付け会社も追随する可能性もあり、ブラジルは限られた時間の中で、格下げを回避すべく早急な対応が求められています。

ではどこが悪いのか?S&Pは声明文で、ブラジルが財政改革と経済の両面で困難に直面していると指摘、2期目のルセフ大統領の改革への姿勢は評価しつつも、財政改革の結果に対しては懐疑的な見解が示されています。

見通し引下げのきっかけは7月22日に2015年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字目標をGDP(国内総生産)比で従来の1.1%から0.15%に引き下げたことと見られます(図表1参照)。同比率は2014年後半から低下、それに伴いレアル安も進行しており、米国利上げ懸念などに並びレアル安の背景と見られます。格付け会社もプライマリーバランス悪化に示唆される財政改革の遅れを懸念しています。


図表1:ブラジル基礎的財政収支予測とレアルの推移
(日次、期間:2013年7月29日~2015年7月28日、PB予測は週次)

※基礎的財政収支予測:基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の対GDP比率、ブラジル中央銀行がエコノミストの予測を集計して作成

その財政悪化の原因には景気回復の遅れも影響していると見られます。S&Pは2015年のブラジルのGDP成長率が-2%程度と見込む中(図表2参照)景気低迷により税収(歳入)が減少すると見ているからです。


図表2:ブラジルGDPの推移
(四半期、期間:2010年7-9月期~2015年1-3月期)

 

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

最後に、政治への懸念です。ブラジル与党は連立政権ですがルセフ大統領の労働党は少数で議会運営はギクシャクしています。インフレ抑制に必要な管理価格の変更や歳出(補助金)削減が遅れ気味なのもそれが原因と見られます。そのため景気が軟調でも利上げの必要に迫られています。米国の利上げ懸念や商品市況の悪化は他の新興国にも共通しますが、政治の結束の弱さはブラジル固有の問題と見られます。

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