ブラジル、「安定的」との見通しで多少の猶予が | ピクテ投信投資顧問株式会社

ブラジル、「安定的」との見通しで多少の猶予が ブラジル 中南米

2015年8月11日に格付け会社ムーディーズがブラジルの長期債格付けをBaa2からBaa3に一段階引き下げました。一方、見通しについては「安定的」としており、投機的等級までは多少の猶予が生まれたものと考えます。

格付け会社ムーディーズがブラジルの長期債格付けを引き下げ

2015年8月11日に格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、ブラジルの長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をBaa2(BBB格に相当)からBaa3(BBB-格に相当)へと1段階引き下げました。なお、見通しについては弱含み(ネガティブ)から安定的(ステーブル)へと変更しており、向こう1年~1年半は現在の格付けが維持される公算が高いと考えられます。

ムーディーズの試算ではブラジルの債務比率(対GDP(国内総生産))が安定するためには、最低でも+2%のGDP成長率と、対GDPで2%のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字が必要と見込まれていますが、2015年並びに2016年にブラジルがこの経済成長率とプライマリーバランスの黒字を達成することは難しいとの見方が今回の格下げの背景にあります。

どこに注目すべきか:経済成長、プライマリーバランス

ムーディーズが格下げに至った背景に経済の低成長とプライマリーバンスの悪化が挙げられることは既に説明しましたが、今後についてはどのように考えればいいでしょうか。

まずブラジルの経済成長についてですが、2014年4-6月期から4四半期連続でマイナス成長となるなど、厳しい状況が続いています(図表1参照)。今後の経済成長率についても、ブラジル中銀が2015年8月7日に発表した週次エコノミスト調査でも2015年が-1.97%、2016年が±0%の成長が予想されています。一方、インフレ率は高い水準で推移していることから、景気刺激のための利下げ実施は厳しい環境にあり、ムーディーズが債務の安定化のために必要と考える+2%を上回る経済成長達成には時間を要するものと考えます。

図表1:ブラジルGDPの推移
(四半期、期間:2010年7-9月期~2015年1-3月期)

 

※基礎的財政収支予測:基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の対GDP比率、ブラジル中央銀行がエコノミストの予測を集計して作成
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

次に、プライマリーバランスの状況ですが、ブラジルのレビ財務相は財政赤字削減のために歳出削減策や増税の実施など一連の施策を実施しています。しかし、経済がマイナス成長となる中での財政改善は難しく、政府は2015年7月22日にプライマリーバランスの黒字目標をムーディーズが必要と考える対GDP比2%を大きく下回る水準である1.1%から0.15%に引き下げており、市場予想も低下しています(図表2参照)。

図表2:ブラジル基礎的財政収支予測
(日次、期間:2013年8月12日~2015年8月12日)

 

※基礎的財政収支予測:基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の対GDP比率、ブラジル中央銀行がエコノミストの予測を集計して作成
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

このようにブラジルでは、足元、経済の低成長と財政改善の遅れが見られますが、ムーディーズは格下げ後の声名の中で、2015年、2016年共に経済環境は低調であるものの、現時点では投資適格級の格付けが脅威にさらされるほどの著しい債務状況の悪化は予想していないとしています。

今回、ムーディーズが「安定的」との見通しを付与したことで、主要格付け会社3社(S&P、ムーディーズ、フィッチ)のうち、2社以上が投機的等級まで格付けを引き下げる事態に至るまでには、多少の時間的猶予が生まれたものと考えられます。

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