問題山積みのブラジル、格下げの理由 | ピクテ投信投資顧問株式会社

問題山積みのブラジル、格下げの理由 中南米 ブラジル

ブラジルの格下げは信用力の水準からある程度、市場に織り込み済みと見られますが、タイミングは早かった印象で、今後はS&Pが格下げの理由とする財政状況の悪化や政府と議会の対立に市場の視線が集まる展開が想定されます。

ブラジル格付け:S&P、ブラジルの財政悪化懸念を受け格付けをジャンク級に引き下げ

格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は2015年9月9日、ブラジルの外貨建て長期債格付けをBBB-からBB+に、自国通貨建て長期債格付けをBBB+からBBB-へそれぞれ引き下げました。また、見通しは弱含み(ネガティブ)としています。外貨建て長期債は投資不適格級(ジャンク債)となっています。格下げに加え、格付け見通しがネガティブとされたことで、追加格下げの可能性が示されています。今回のS&Pの発表を受け、レアルは対ドルで一時1ドル=3.9レアル台まで下落しました(図表1参照)。

図表1:ブラジルCDSスプレッドとレアル(対ドル)の推移
(日次、期間:2013年9月10日~2015年9月10日)

 

※CDS(クレジット・デフォルト・スワップ):信用リスクを対象としたデリバティブ商品のことでスプレッド上昇(低下)は信用力悪化(改善)の目安
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:CDSスプレッド、プライマリーバランス対GDP

ブラジルの格下げは信用力の水準から判断してある程度織り込まれていたと見られますが、タイミングは早かった印象です。S&Pが格下げの理由としている財政状況の悪化と政府と議会の対立に市場の視線が集まる展開が想定されます。まず、タイミングについてです。S&Pがブラジルの見通しを弱含みとしたのは7月28日と1ヵ月半ほど前です。見通し変更後通常6カ月間から2年程度検討することが多く、今回の格下げは通常の想定よりは早かった印象です。

ただし、信用リスクを対象としたデリバティブ(CDS=クレジット・デフォルト・スワップ)の取引水準を見ると既に投資不適格となっているロシア等と同様の水準となっていたなど、市場はある程度、格下げを織り込んでいた模様です(図表1参照)。では、何が格下げの背景となったのか。声明文では、ブラジルの財政見通しの悪化と、政局への不安が指摘されています。例えば、ブラジル政府は2016年のプライマリーバランス(PB,基礎的財政収支)のGDP(国内総生産)比率を当初2%黒字、その後0.7%の黒字に引き下げました。また、8月31日に提出された2016年予算案では0.3%の赤字(公式には0.7%の黒字を維持)へと議会と政府の対立を受け、たびたび変更されたこと(図表2参照)が今回の格下げの背景と見られます。

図表2:ブラジルプライマリーバランス対GDP比率の推移
(月次、期間:2010年9月~2015年7月)

 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

  また、S&Pはブラジルの軟調な景気見通し(2015年2.5%減、2016年0.5%減)も懸念しています。インフレ率が高く、当分政策金利が据え置かれる(結果利払い負担が大きい)公算が高いブラジルはPBを黒字化し借金を減らすことが返済能力を改善する方法で、そのためレビ財務相率いる経済チームは歳出削減ないし増税で財政健全化を進める方向でしたが、ルセフ大統領の支持率が10%を下回る中、議会の支持を得られていない状況です。

S&Pは声明で更なる格下げの確率を3分の1程度と述べています。また、他の格付け会社も年内もしくは年明けに行動する可能性も考えられます。反対に、格下げを回避する可能性を声明に求めると、議会と政府が一体化して財政再建に取り組むことが示唆されています。またS&Pも指摘するようにブラジルは管理価格の削減や変動相場制の維持など財政再建の過程において前向きな変化も見られただけに、足を引っ張り合う議会と政府の関係はもったいないようにも見えます。

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