ちゅうちょなく現状維持の日銀だが | ピクテ投信投資顧問株式会社

ちゅうちょなく現状維持の日銀だが アジア 日本

日銀は大方の市場予想通り、金融政策の現状維持を決定しました。公表後に為替市場で一時円高が進行するなど、日銀の金融緩和を想定していた動きも見られましたが、米FOMC開催を目前に控え、追加緩和は避けた格好です。

日銀金融政策決定会合:現状維持、黒田流サプライズは不発

日本銀行(日銀)は2015年9月14~15日に開催した金融政策決定会合において賛成8反対1の賛成多数で、年80兆円の資金を市場に供給する等、現在の政策の維持を決定しました。ただ、新興国経済の低迷を受け、海外経済の景気認識を慎重な見方に修正し、輸出や生産の判断も引き下げています。しかし景気全体の基調判断は、緩やかな回復を続けていると述べ、表現を据え置いています。

どこに注目すべきか:インフレ目標、コアコアCPI、経常収支、FOMC

日銀は大方の市場予想通り、金融政策の現状維持を決定しましたが、公表後に為替市場で、日銀の追加緩和への期待と見られる円売りポジション解消の動きが一時見られました。

しかし、米連邦公開市場委員会(FOMC)開催を目前に控えて、日銀の追加緩和は避けられる格好となりました。

まず、日銀が追加金融緩和に迫られる理由もあります。インフレ率が低下傾向と見られることです(図表1参照)。日銀が消費者物価の基調的な変動として言及するエネルギーと食料を除いたコアコア消費者物価指数(CPI)はプラスを維持しているものの、日銀が2%の物価目標の指標とする総合のCPIはゼロ近辺にまで低下しています。消費税増税の影響が除かれたと見られる2015年4月以降のCPIは前年同月比が連続して低下しています。延期が続く物価安定目標(CPI前年同月比で2%)の達成時期を会見で2016年前半頃と述べていますが、新たな対応が求められる状況とも見られます。

図表1:主な消費者物価指数
(CPI、全国)の推移 (月次、期間:2010年7月~2015年7月、前年同月比)

 

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

また、会見では日本の企業部門の収益が好調な点などを指摘しています。しかし経済指標には軟調なものも見られます。例えば、民間設備投資の先行指標と見られる機械受注の7月は前月比-3.6%と2ヵ月連続で減少しています。

反対に、日銀が動けなかった理由の一つとして追加緩和による急激な円安への警戒感が考えられます。例えば、円安により実質賃金がむしろ低下したとの声も聞かれることに配慮した可能性が考えられます。また、黒田総裁が就任した2013年であれば(円高による)国際収支の低下傾向が見られましたが、足元国際収支は(貿易収支は水準的には依然赤字だが)改善傾向であり(図表2参照)急激な円安への気配りが必要となるかも知れません。

図表2:円(対ドル)と日本の経常収支と貿易収支
(日次、期間:2010年7月12日~2015年8月14日、貿易並びに、経常収支は月次、2010年7月~2015年7月)

 

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

予定されていた日程とはいえ、急激な円安への懸念と市場が現状維持を見込んでいる状況で9月16~17日のFOMC前に日銀の金融政策決定会合が開催されたことは不運であったとも言えそうです。仮に追加緩和をした場合、急激な円安も懸念されるためです。ただし10月末、もしくは12月の会合はFOMCの後に開催されるため、米国次第ながら、自由度は幾分高いのかもしれません。

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