ブラジル中銀の為替介入、その背景と今後 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ブラジル中銀の為替介入、その背景と今後 中南米 ブラジル

金融・財政政策に手詰まり感がみられる中、ブラジル中銀はレアルの変動を抑えるため為替市場への介入を示唆していますが、更なる格下げを避けるため財政改革も必要で、外貨準備を用いる介入は短期的と思われます。

ブラジル中銀:レアルの変動抑制を目指し通貨スワップなど為替市場に介入

ブラジル通貨レアルが下落傾向となる中、2015年9月23日にレアルは対ドルで4レアル台での取引となるなど、最安値を更新しました(図表1参照)。このような状況に対し、ブラジル中銀は2015年3月以降控えてきた為替介入を再開、23日に通貨スワップの一部を売却(実質の為替介入)し、24日にも同規模の売却の実施を表明しました。同時にブラジル中銀のトンビニ総裁は2016年7月と同9月を買い戻し期日とするドル売りをスポット市場で行うと発表(今後外貨準備の使用をも示唆する)、為替介入への姿勢を示したため、レアルは3.9台へと買い戻される局面も見られました(図表1参照)。
図表1:ブラジルレアル(対ドル)レートの推移
(日次、期間:2014年12月末~2015年9月25日(日本時間正午))

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投顧問作成

どこに注目すべきか:通貨スワップ、外貨準備高、予想インフレ率

金融・財政政策に手詰まり感がみられる中、ブラジル中銀はレアルの変動を抑えるため為替市場への介入を余儀なくされた格好です。しかしブラジルは更なる格下げを避けるため財政改革が必要で、外貨準備による介入は次の点を考慮すれば短期的と思われます。

まず、意外なのは財政改革を推し進めるレビ財務相が為替介入に一定の理解を示していることです。ブラジルの外貨準備高は足元でも約3,700億ドルと世界でも有数の保有国となっています(図表2参照)。ただし、外貨準備の減少は外貨建て債務の多いブラジルのような国では特に、対外ポジションの悪化懸念を生む恐れが強く、長期的に外貨準備を使用しての為替介入は考えにくい状況です。

図表2:ブラジル外貨準備残高の推移
(日次、期間:2010年9月30日~2015年9月23日)

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投顧問作成

次に、ブラジル中銀がレアルの変動を抑制する動きに出た背景を考えます。ヒントとしてブラジル中銀が9月24日に公表したインフレ四半期報告です。この中でブラジル中銀のインフレ率予想のメインシナリオでは政策金利は(現在の)14.25%、為替レートは1ドル=3.9レアルが予想期間中続くと仮定しており、その結果、インフレ率は2015年に9.5%、2017年7-9月期には4%にまで低下すると予想しています。レアルは9月24日には1ドル=4.2レアル台まで一時下落しており、通貨安がインフレ率予想の達成を困難にする懸念もあったことが介入姿勢の変化を余儀なくさせられた一因と考えられます。

また同インフレ四半期報告ではブラジル経済について2015年の成長率見通しを前回のマイナス1.1%からマイナス2.7%に引き下げています。景気後退が深刻なため(通貨防衛のための)政策金利の引き上げには困難が伴う一方、インフレ率を引き下げるため政策金利は現行水準が維持される公算です。

(他の新興国通貨同様に)米国利上げ懸念を背景とした通貨の下落に対し、ブラジル当局の対応は限られているようにも見られます。しかしレアルの場合、格下げ後に他の新興国通貨よりも下落幅が拡大したようにブラジル固有の要因も考えられます。中でも最大の要因と思われるのが、格下げの理由でも指摘された、議会と政府の対立です。政治が一体化することで財政改革の遅れが解消できるかに注目しています。

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