中国、富むことなく、先に老いることを避けるために | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国、富むことなく、先に老いることを避けるために アジア 中国

5中全会を終え明らかとなった中国の今後の成長目標である「中高速成長の維持」には、投資や輸出主導の高成長からの脱却と、中国の人口動態に起因する長期的成長の抑制要因への対応という2つの意味があると思われます。

中国新5ヵ年計画:中高速成長の維持を目標、習国家主席、最低6.5%の成長必要

中国共産党は2015年11月3日、第13次5ヵ年(2016~20年)計画の草案(10月29日に閉幕した党中央委員会第5回全体会議(5中全会)で採択)を公表しました。中高速成長の維持という目標を達成するために、生産年齢人口の引き上げのための方針などが示され、高齢化の進展や働き手の減少に伴う経済成長の鈍化への懸念を示しました。

習近平国家主席は同日、自身による「計画の解説」も配信、2010年に比べて2020年までにGDP(国内総生産)と所得水準を倍増する目標を示唆し必要となる成長率を向こう5年間で年平均6.5%以上が最低ラインと述べています。

通常、中国では(今回の)草案に対しより具体的な数値目標を、2016年3月に予定されている全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)で正式に決定する運びです。

どこに注目すべきか:中国人口動態、未富先老、一人っ子政策

5中全会を終え明らかとなった中国の今後の成長目標である「中高速成長の維持」には、投資や輸出主導の高成長からの脱却と、中国の人口動態に起因する長期的成長の抑制要因への対応という2つの意味があると思われます。

まず、当レポートでも指摘しているように、中国の構造問題の一つは2桁の成長率の源泉が投資や輸出に偏っていたことで、維持可能な成長には消費主導に転換すべきと見られる点です。習主席が示した6.5%以上の成長率への引下げは投資から消費への構造変化の推進を反映したものと考えられます。一方、中国には人口動態を背景とする構造問題もあり、対応を間違えれば、成長率の抑制要因となることが懸念されます。そこで中国の人口動態を出生率をベースに振り返ると、中国では1960年代に第1次ベビーブームが見られました(図表1参照)。このときに生まれた世代が親となる(1980年以降)前に一人っ子政策が導入されています。

その結果、人口の抑制にはある程度目処がついたものの、出生率低下に伴い少子高齢化、もしくは労働人口の減少という副作用が目立つようになり、一人っ子政策は2000年頃から緩和されています。この状況を中国では「未富先老」(一人当たりGDPが豊かになる前に少子高齢化が進むの意)とも表現されるようです。GDP総額では確かに世界2位の中国ですが、一人当たりGDPは約3,800ドル(実質価格表示2014年)と日本の10分の1で、数字的には成長の余地も見られます。しかし、中国の60歳以上の総人口に占める割合は15%強と上昇傾向で、高齢化が潜在成長率の低下を招くことも懸念されます。

そこで対策ですが、今回の5中全会では「一人っ子政策」の撤廃(すべての夫婦に第2子出産を認める方針、二人っ子政策)が示されました。過去の一人っ子政策の緩和では教育費用の増加などを背景に出生率の改善は期待はずれでした。今回の一人っ子政策撤廃にも過度の期待は禁物ですが、労働力増加の点で他に注目の方針も見られます。例えば定年退職年齢の段階的引き上げ(現在は原則、男性60歳、女性50歳)による労働力の確保、農村部の余剰労働力を都市部で受け入れやすくするための戸籍制度改革などが示されています。いずれの政策も短期的効果は期待できないものの中国の人口動態問題への対応に注目が必要と見ています。

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

ページの先頭へ戻る