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人民元がSDRに採用されたなら アジア 中国

国際通貨基金(IMF)のスタッフが、特別引き出し権(SDR)と呼ばれる準備通貨の構成通貨の一つとして中国・人民元の採用を提案、11月30日に開催の理事会で承認されれば、人民元はSDRの5番目の構成通貨となる運びです。

人民元、SDR通貨バスケット採用へ:IMFスタッフ採用提案、30日理事会で承認の見通し

国際通貨基金(IMF)のスタッフは、2015年11月13日、特別引き出し権(SDR、Special Drawing Rights)と呼ばれる準備通貨の構成通貨の一つとして中国・人民元の採用を提案しました。現在SDRはドルとユーロ、英ポンド、円で構成されていますが(図表1参照)、人民元が11月30日に開催予定の理事会で承認されれば、SDRの5番目の構成通貨となります。米国などIMFの主要な出資国は、(IMFの基準を満たせば)人民元のSDR採用を支持するとしており、承認はほぼ確実な情勢です。

どこに注目すべきか:SDR構成割合、外貨準備、金利自由化

中国当局が8月に、市場にとっては唐突なかたちで事実上の人民元の切り下げを実施したことは、人民元安による輸出拡大よりも、SDR構成通貨に採用されるための準備であったと見られます。今後の注目点は次の通りです。

まず、SDRに採用された場合、各国が外貨準備等として人民元の保有を拡大させる可能性があります。SDRは準備通貨であり、本来の通貨ではないものの、IMFはSDRを加盟国に配分、万一加盟国が危機に見舞われた際、SDRを他の加盟国に自主的な交換(両国間の合意)もしくは指定制度(IMFが融通を指定)を利用することで、外貨(SDR構成通貨)と交換できる仕組みとなっています。したがって、IMF加盟国は外貨準備等公的な外貨資産でSDR構成通貨を保有する傾向があります。IMFが調査した公的外貨建資産(主に外貨準備)のシェアを見ても現在のSDR構成国4ヵ国が上位となっている一方、人民元のシェアは低くなっています。

次に、人民元が採用となった場合どの程度組入れられるかですが、当初は小規模な構成割合になると見込まれます。前回の見直し(2010年)では輸出額などをベースに構成割合を決定していたため、仮に同じ基準で算出した場合、市場では人民元の構成割合は英ポンドを上回るとの推計結果も見られます。しかし、SDRは危機の際の融資の金利が構成通貨の加重平均で決められるため、人民元を多く組入れると融資金利が上昇してしまうため低く抑えるとの見方が大勢です。

それでも人民元を採用するメリットを列挙すると、IMFとしては、人民元を自由に利用可能な通貨とすることで、人民元のみならず中国の金利の自由化の進展を促し、IMF本来の業務である金融システムリスクへの対応強化を目指すものと思われます。中国にとって想定されるメリットは、人民元が外貨準備として保有される国際化進展という象徴的な意味合いに加え、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)で、現状ではドル建融資が多いと見られる中、将来的に人民元建融資の拡大につながることを期待している可能性も考えられ、短期的よりも、中長期的に評価を下すべきと見ています。

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