中国人民銀、短期金融市場でやんわり緩和策 | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国人民銀、短期金融市場でやんわり緩和策 アジア 中国

中国人民銀行が短期金融市場で緩和姿勢を示したのは、短期的には新規株式公開(IPO)の再開による金利上昇を防ぐ狙いと見られますが、年末に向けた中国の短期金融市場金利の上昇を抑制する狙いもあると見られます。

中国人民銀:市中銀向け短期貸出金利引き下げや資金供給額を増額

中国人民銀行(中央銀行、人民銀)は2015年11月19日、資金供給(7日物リバースレポによる公開市場操作)で200億元(約3900億円)規模の資金を短期金融市場へ供給、通常の金額から倍増させました。週2回の入札での資金供給提示額は過去、100億元が供給されていました。

また、同じく19日に、人民銀が商業銀行システムに資金を供給する政策手段である短期流動性ファシリティー(SLF)に関し、貸出金利の引き下げを発表し、オーバーナイトと7日物の金利をそれぞれ現行のオーバーナイト金利を4.5%から2.75%、7日物を5.5%から3.25%へ引き下げるとしています。適用は20日からが示唆されています。

どこに注目すべきか:リバースレポ、資金供給オペ、SLF

中国人民銀行は短期金融市場において緩和姿勢を示しています。短期的には新規株式公開(IPO)の再開による金利上昇を防ぐ狙いと見られますが、年末に向けた資金需要の高まりで上昇する傾向のある中国の短期金融市場金利(図表1参照)をアナウンス効果で抑制する狙いもあると見られます。

まず、19日のリバースレポによる資金供給は7月に凍結された新規株式公開(IPO)の再開を控えた、借入コスト上昇の抑制を図ったものと思われます。もっとも、200億元は資金供給規模としては小額です。人民銀は市場の資金ニーズが高まると短期金融市場金利抑制のため資金供給を行いますが、最近では10月の中国の連休明けに1,200億元(10月8日)、8月の人民元引下げ後の元安加速を防止する元買い為替市場介入による流動不足への対応でも多額の資金供給を行っています。むしろ今回の目標は、例年なら短期金利がじわじわ上昇し始めるこの時期に、人民銀の緩和姿勢を示唆することで、市場へメッセージを送った点にあると思われます。

次に、貸出金利の引下げですが、引下げ幅は2%前後で、こちらも短期的にはアナウンスメント効果により年末に向けた金利の上昇抑制を意図したものと思われます。しかし、より注目したいのは、今後の可能性として、人民銀は、(政策)金利の変動範囲の上限を設定する上で、SLF金利の役割を促進し、市場原理に基づく金利形成メカニズムの構築を想定していると説明していることです。この意味は、人民銀は短期金利を誘導するためにSLF金利とレポ金利を利用し、SLFを上限金利とすることを想定していると見られるところです。今後は政策金利を変動範囲(金利コリドー)で運営するスタイルを導入することが見込まれます。

最後に、今回の(小規模な)金融緩和は、今後の主要政策金利と預金準備率引下げの布石となる可能性があると見られることです。サンフランシスコ連銀が11月23日付のエコノミックレターで指摘したように、中国の成長の源泉を投資から消費へ転換させることは長期的に必要な政策であっても、短期的には消費(サービス)主体で経済を下支えすることは、消費のGDP(国内総生産)に占める割合が相対的に低いことから、不十分と見られます。中国の10月の大都市不動産価格は上昇傾向に頭打ちが見られました。一部に回復の兆候が見られ始めた中国経済ですが、回復を示してきたデータの中に、早くも勢いにかげりが見られます。当局は、金融緩和、並びに財政面からの下支え政策を継続するものと思われます。

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