ムーディーズ、ブラジルの見通しをネガティブに | ピクテ投信投資顧問株式会社

ムーディーズ、ブラジルの見通しをネガティブに 中南米 ブラジル

2015年12月9日、ムーディーズがブラジルのソブリン格付けに対してネガティブ・ウォッチを付与しました。問題山積みのブラジルですが、政治の混乱を収拾することが、問題解決の第一歩と思われます。

ムーディーズ:ブラジルの格付け見通しをネガティブ・ウォッチに

2015年12月9日、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがブラジルのソブリン格付けに対してネガティブ・ウォッチ(格下げ方向で検討)を付与することを発表しました。なお格付けについてはBaa3(投資適格級では最低のBBB-に相当)に据え置かれています。通常、ネガティブ・ウォッチが付与されてから数ヵ月以内に格下げなどの判断が示される場合が多く、仮にブラジルが格下げとなった場合に、ブラジルはムーディーズから投資適格のステータスを失うこととなります。ネガティブ・ウォッチ公表直後、市場では債券や通貨レアルが一時下落しました(図表1参照)。

どこに注目すべきか:経済環境、政治の混乱、投資不適格の影響

ブラジルの格下げ懸念は、ある程度、市場で織り込まれているとみられますが、仮に大手格付け会社2社以上から投資不適格が付与されることになれば、ブラジル債券への売り圧力が高まる懸念に注意は必要と思われます。

まず、ムーディーズがブラジルにネガティブ・ウォッチを付与した理由を確認すると、主に2つが挙げられます。

1つ目は、マクロ経済指標が急速に悪化し、財政状況の改善が遅れるとの見込みであることです。例えば、ムーディーズはブラジルがBaa3の格付けを維持する目安としてGDP(国内総生産)成長率+2%程度を想定していますが、同水準への回復は2016年には困難とムーディーズは見込んでいる模様です。

2つ目は不安定な政治動向を受け、財政の改善に対する不透明感が一層、高まったことです。ムーディーズは経済が厳しい状況にある中、歳入の伸びが期待できないことを背景に、2016年もブラジルの財政収支が悪化すると想定しています。また、ルセフ大統領の弾劾裁判などの政治不安も財政収支の見通しを悪化させている要因のひとつとなっています。実際に、ルセフ大統領の弾劾裁判開始が決定された後、ムーディーズとフィッチは格下げの可能性について言及したコメントを発表しています。

弾劾裁判開始が決められた直後は、支持率の低いルセフ大統領が失職することで、むしろ政治の膠着状態が解消されるとの期待が一部で広がり、通貨レアルは上昇する局面も見られました。しかし弾劾裁判で大統領が失職となるには、上院・下院で3分の2以上の賛成が必要となるなど、終結までに長い期間を要する可能性があります。ブラジルでは現在、財政改革への道筋をつけるべく、2016年予算の策定中ですが、弾劾裁判により審議が長期化することも想定されます。

仮にムーディーズが格下げを決定した場合には、ブラジルが大手格付け会社2社から投資適格の格付けを失うことになります。現在のブラジルの格付けを確認すると、スタンダード&プアーズはBB+(外貨建て長期債格付け)としています。2社目の投資不適格付与が視野に入ってきたことで、ブラジル債券を売却する動きが出る可能性も考えられ、今後の動きには注意が必要と言えます。

ブラジルの厳しい状況を作り出している要因は、経済から政治まで様々で、事態の解消は容易ではありませんが、政治の混乱を収拾することが、その第一歩と思われます。

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