ブラジル財務相の退任で財政改革は元の木阿弥(もくあみ)か | ピクテ投信投資顧問株式会社

ブラジル財務相の退任で財政改革は元の木阿弥(もくあみ)か 中南米 ブラジル

経済不振や高インフレ率に加え、ルセフ大統領への弾劾裁判、投資適格格付けの喪失といった問題に対応を迫られているブラジル、レビ財務相の退任による財政政策の不透明感という新たな難題を抱えた格好です。

ブラジル市場:通貨レアル下落、国債利回り上昇、財務相交代の懸念が尾を引く

ブラジル市場では2015年12月21日に通貨レアルは対ドルで節目と見られていた1ドル=4レアルをあっさり割り込みました。また、国債(グローバル債、ドル建、2025年1月7日償還)利回りも上昇(価格は下落)しました(図表1参照)。下落の主な背景は12月18日に公表されたレビ財務相の退任を受け、後任に指名されたバルボザ企画・予算管理相はブラジルの財政赤字抑制に向けた取り組みにそれほど積極的でないとの懸念が広がったことなどによります。

どこに注目すべきか:ブラジル財務相退任、緊縮財政、格付け

経済不振や高インフレ率に加え、ルセフ大統領への弾劾裁判、投資適格格付けの喪失といった問題に対応を迫られているブラジル、レビ財務相の退任による財政政策の不透明感という新たな難題を抱えた格好です。

2015年1月に発足した第2次ルセフ政権の財務相として民間金融機関から起用されたレビ氏は「シザーハンズ(映画の題名:はさみの手の意)」の異名そのままに歳出削減と増税による財政規律の維持を重視してきました。しかしブラジル経済が深刻な景気後退と高インフレに直面する中、レビ氏の緊縮的な財政運営には与党内部でも反対が見られ、市場では退任は時間の問題との見方もありました。

レビ氏はブラジルの格付けを維持するために緊縮財政を優先してきたと思われます。しかしブラジルの格付けはスタンダード&プアーズ(S&P)が9月に、フィッチ・レーティングスが12月に投資不適格級へと、レビ氏退任の前に、格下げしています。海外の投資家は格付け悪化により資金を引き上げる恐れもあるだけに、投資適格を維持できなかったことがレビ氏退任の背景との見方もあります。

ブラジルの債務に占める非居住者の割合は増加傾向です(図表2参照)。もっとも、割合は20%程度で他の新興国(例えばメキシコは4割近い)に比べ相対的に低い水準ですが、それでもブラジルの資金調達(例えばレアル建国債の非居住者保有で)をサポートする有力な資金源と見られます。

レビ氏の後任に指名されたバルボサ氏、市場では財政赤字抑制に消極的との見方が広がりブラジル債券、レアルが下落しました。もっとも、本人が今後の財政政策を語る前に市場が判断した動きとも見られ、足元の報道ではバルボサ財務相は就任の記者会見で財政赤字抑制を約束しています。

レビ氏退任を受けた21日の債券やレアル下落は当然として、はしゃいでも不思議でない株式市場まで下落したことが財政状況の深刻さを物語っていると思われます。仕切り直しとなったブラジルの財政政策と市場への影響に注視が必要です。

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